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2004年05月08日(土)  致命的記憶喪失
最近、眠りが深い。よいことです。
しかし、眠りが深すぎて寝ぼけることが多い。
一人暮らしなので、部屋で寝ていて寝ぼけていても誰にも迷惑をかけることはないので、別にいいのだけど、電話、電話が一番困る。

はっと気づくと、私は受話器を下ろす瞬間だったのです。
あれ。
私は、いま誰かと電話をしていたのね?
あれ? 誰と?
いや、もしかしたら寝ぼけて受話器をとり外したのかもしれません。
いや、でも私はさっきまで誰かと会話をしていたような。していないような。
寝ぼけ中の電話が一番困ります。

高校生のとき寝ぼけて電話をとった私は、翌日の約束を覚えていなくて幾度かすっぽかした経験がある。そんな約束した覚えがないのに、相手はとっても怒って私に電話をよこす。「来たくなかったんだったら、そういえばいいじゃん!」寝ぼけたせいで恋人をなくし友達は減っていくのです。

で、さっき切った電話だけど、んー誰と話していたんだろう。何を話していたんだろう。記憶喪失。
覚えていない時間があるって、けっこう怖ろしかったりするもんです。まあ、何かあったらまた相手から電話がかかってくるだろうと思いなおし、再びベッドへ。そのまますやすやと眠りに誘われた。

で、翌日。翌日と言っても朝4時半。
インターホンで目が覚めた。なに? なにこんな時間に! 怖いんですけど! NHKの取立て? 宅急便? いやいや、こんな時間に来ないでしょう。も、もしかして悪者に追われた人がかくまってくださいとかってことじゃないだろうか。だって、こんな時間だし。怖いから無視してよーっと。無視無視。居留守を決め込んで毛布を頭の上まで引っ張りあげるんだけど、切迫したようにしつこく鳴り続ける。なんだよ、怖いなぁ。恐る恐るインターホンに応答すると、あら友だち。なあにと寝癖がとぐろを巻いた頭でドアを開けたら、ドドドと彼は上がりこんで「だ、大丈夫か?!」と言った。彼は手にゴルフのクラブを持っている。なに? これからゴルフ? まぁ高尚なご趣味だこと。頑張りたまえ。
「おい! いないぞ!」と友人。
「誰が」と私。
「ストーカーだよ!」と友人。
「もう、なに言ってんの」と私。
「だって、ストーカーがベランダからぶら下がってこっち見てるって言ってたじゃんか」と友人。
「なにそれ、初耳」と私。
「何言ってんだよー! どこにもいないじゃんかよー!」と友人。
「いるわけないじゃん」とベッドに入りなおした私。
「お、おまえ、言った……。絶対言った」とへたり込む友人。
「なに寝ぼけたこと言ってるの」と目を閉じつつある私。
「……ハッ! お、おまえ!」と立ち上がる友人。
「ん?」と目を見開く私。
「……やってくれたね」と泣く友人。
「やっちゃったみたいだね」と起き上がる私。

んー、寝ぼけて電話をした相手は、この人だったらしく、私はその電話で「ストーカーが私の部屋をのぞいているのーと言ったらしく、友人は慌てて私の安否を確認しに来たらしく、その際に何かあったらイケナイとゴルフのクラブまで持参したらしく、でももちろんクラブで殴る相手もいるわけがなく、すべてが私の寝言らしく、むはは。
これは本当にあった出来事です。嘘じゃないの。本当なの。素晴らしいね、友情って。この瞬間、私は友情を熱く感じた瞬間だったけれど、きっと彼は友だちの縁を切りたいと思っただろう。
ちなみに、この友人は私が寝ぼけることを知っていて、トイレに行こうと寝ぼけて起き上がった私が、ドアも何もない壁に吸い込まれるように歩いていくところを目撃しているし、真夜中にはたと起き上がって突然足の爪を切り始めたところを目撃している。もちろん、私にはその記憶がない。

このあと、私はねちねちとお説教を喰らったことは言うまでもない。
やばい、やばいね。笑えないね。夢遊病ですか、私は。
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