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| 2004年05月01日(土) パートナー |
| 旅をすることは、通常の生活の中で培われてきた「時間の感覚」を狂わせるものだと思う。 4時間、5時間の移動はざらにあることだし、その時間を如何に過ごすか、そして限られた時間の中でどこへ行って楽しむか何を見て観光するか、効率よく決めなければいけないと思うから。せかせかと時間に追われて旅行をするのは嫌だけど、残念ながら楽しい旅の時間はいつまでも続くわけではない。 私は近頃、とても良い旅のパートナーを見つけた。 一番安いチケットを見つけるのが上手く、長い電車のたびも苦にせず、狭いホテルの部屋でも文句は言わず、ガイドブックに乗っていない場所でも楽しい匂いを嗅ぎ分けられる能力を持っている。もちろん、好奇心もたっぷりと持ち合わせている。予定外の寄り道をすることは何より彼の一番好きな旅の方法だ。 私たちは、ゴールデンウィークを利用して、私の帰省がてら隣県の道後温泉に行く予定を立てた。 彼はちょっとしたイタズラをよくする。到着した空港から駅に向かうタクシーの中、運転手の気のよさそうなおじさんが、ルームミラーで私たちに微笑みかけ「ご旅行ですか?」と問うと、彼はにんまりと笑い「ええ、婚前旅行なんです。」と答えた。そうですかと言うおじさんの祝福の言葉をもらいながら、彼はタクシー運転手の広い情報網から穴場の店や観光スポットを教えてもらう。車を下りるとき「良いご旅行を!」とおじさんは手を上げ、私たちも答えた。 ずっと一緒にいると黙っていたくなるときもある。眠りたくなるときもある。写真を撮りたくてその場に佇むことだってあるし、相手を待たせてしまうこともある。それを気にせずできる相手は、そうそういないだろう。 私たちは、ずっと黙って四国の渓谷や深い緑の山々を抜ける電車からの風景を楽しんだ。 私たちは、これからいくつの旅に出かけるのだろう。 私は、これまで旅行に行くことを億劫に思っていたけれど、彼と一緒に出かけてみて遠くの町の知らない場所へ出かけることの楽しさを知った。家でゆっくり過ごすよりもいくらかお金を使ってでもはじめて訪れる土地を歩くことは、とても有意義なことであると今さらながら知った。 出来ることなら、ずっとこのまま旅に出ていたいと思う。 濃い緑の山々を見つめ、彼と私は黙って同じ時間を過ごしている。その時間がずっと続けばいいのに、と思う。 |
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