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| 2004年04月03日(土) オアシス |
| 病室のベッドで横になりながら、ヘッドフォンをしてオアシスを聴いていた。私に初めてオアシスを聴かせてくれた人はずっとずっと以前に会った人だった。オアシスの曲を聴くと否応なしにその人の事を思い出されてならない。 突然に病室のカーテンが開き誰かが立っている気配がした。うとうとしていた目を向けると私はとても驚いた。初めてオアシスを聴かせてくれた彼が、そこに立っていた。息を切らせてそこに立っていた。ゆき過ぎた偶然だった。 私は驚いて少しのあいだ口をきけなかった。入院していることなどあまり人には知らせていないし、見舞いに来る人などほとんどいない。なぜ彼がここへ来ることが出来たのか私はいま見ている光景が幻ではないかと疑ったほどだ。 ちょうど半年前、私たちは車を借りてドライブに出かけた。秋空は晴れることなく始終厚い雲に覆われていて、湘南の海も鎌倉の家並みもすべてが暗く見えた。冷たい雨が降り注いで私たちの髪の毛を濡らした。ちょうど一年前、待ち合わせの場所で彼は私を待ち続け、確信犯のように数時間も遅れていった私を少しも怒りはしなかった。もうすぐ深夜になるところだった。ちょうど一年半前、私は恋人と一緒に歩き、彼は恋人を連れて、雑踏の中で相手を認めそしてすれ違った。 私たちはちょうど半年の時間をおきながら再会を果たし続ける。もう会う理由もとくには見当たらないというのに、私たちは何らかのきっかけによって引き戻されることになる。 やっと離した距離がまた半年たてばもとに戻り、再び生まれた親密さををまた半年という時間が引き離していく。つかず離れず私たちはいくつもの季節を過ごすけれどお互いに寄り添うつもりもなく、かといって完全に離れてしまうには淋しいという曖昧な関係におさまっている。 もう数年前に好意を持っていた人は、今こうして半年たってまた私の目の前に現れた。恋人になることもなく友人とも呼べず、ずっとこんな関係がこれから数年先まで続いていくんだろう。 そんなことを思うと、自分にうんざりしてきた。 |
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