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| 2004年04月02日(金) 夜桜 |
| 真夜中に病室を抜け出すと、予想外にも外は冷たくなく風がとても心地よかった。時刻はもうすぐ深夜3時をまわろうとしているだろうか。たった一本だけの老木は淋しげで儚げだけれど力強い。老いた枝からはらはらと桜の花びらが舞う。 泣かないで、泣かないでと思う。 1年間我慢し続けた涙を花びらにして流しているように思える。 強い風が吹けば飛んでいきそうな地面の花びらがさやさやと体を持ち上げようとしている。 黒い闇が一層ピンクを際立たせて、私は泣かないで泣かないでと言わずにはいられなかった。 散ることは悲しく、咲き誇る時間は短く、夜のうちに消えていってしまいそうな淋しさは、どうしてこんなにも泣きたくさせてしまうのだろう。 桜が泣いて私も泣いて、みんなみんな泣いて、一体なんのためにそんなに咲き誇ろうとしているのだろう。一体なんのために私はいまここに生きているのだろう。 夜のうちに流れた涙の中でずっとこのまま立っていたかった。今この時間が惜しくてたまらなかった。 白衣を着た看護士が「もう帰ろうよ」と私に声をかけた。 |
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