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2004年03月16日(火)  獣と眠る
気配を感じて薄く目を開けると、ふたつの光が私に覆いかぶさってこちらをじっと見つめていた。
「何時?」と聞いても光は答えず、ただ湿った光を震わせてこちらをじっと見ている。私もその光に応えようと大きく目を開け、その光をじっと見つめる。光は手足を持ちぎゅっと私の体を締め上げている。私を動けなくするように。月の光が、動かない私たちの影を映している。今日は満月かもしれないね。光にそう呟いてみるけれど耳を持たない動物のように微動だにしない。私は何度か瞬きを繰り返した。けれど光は瞬きさえせず濡れた瞳でこちらを見ている。

おやすみ、私はそう言うとまた眠りに支配されてそっと目を閉じた。
光は私の頬を照らしているだろう。


眠れずに何度か寝返りをうっていた。どんなに大きくベッドが揺れようとも隣に眠る彼は、起きることはないだろう。彼の眠りはとても深くとても冷んやりとしている。鼻を詰まらせているのか彼はずずっと音を立てる。私はそっと彼の耳たぶを噛んでみる。彼の鼻音は少しだけ止まった。いたずらな好奇心が私を刺激して、私は静かに彼の上に跨った。太ももで彼の体を締め付け、腕で彼の顔をはさみ、数ミリもなく私たちの唇は近づいた。彼の唇の向きに合わせて自分の顔を傾ける。ゆっくりと腰を揺らすと眠っている彼は溜息を漏らした。

部屋には私と彼の呼吸音だけが響く。
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