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| 2004年02月16日(月) 風邪、三日目 |
| 風邪、三日目。 今朝の体温 38.2度。 ああ、無理です。平熱からするとかなり熱があります。なんだか昨晩よりも体が重く目が開きません。というか、ベッドと体が一体化されています。 兄が帰ってくるのは、木曜日。まだまだ先です。それまでずっとひとりぼっちです。一階にある兄の仕事場には、木曜まで誰も来ません。絶望的です。孤立してます。無人島で風邪をひいたような感じです。どうしましょう。何も食べてません。何か食べたほうがいいのか。 会社の始まる時間まで待って、会社に電話する。上司に旨を伝える。大切なアポイントが入っているので、誰か代わりに行ってもらうようにお願いする。上司が全員のスケジュールを確認して、電話の折り返しをくれる。 結局、でも想像したとおり、他の営業マンは誰も体が空いてない。上司も。誰も彼も。アポの日時はずらせない。2,3週間くらい粘って、今日のアポをもらえたんだし、行かないわけにはいかないのですよ。 で、行きます。私が。 「大丈夫なの?」と上司は繰り返すけれど、止めはしてくれない。鬼のような上司です。けど、仕方ないのかどうか、よくわかりませんが、行きます。いえいえ、あなたに責任は押し付けませんよ。私の意志で行きますからね。はいはい。 とにかく厚着をしてとにかく人の多い場所に行かないようにして、タクシー拾ってきっかり領収書貰って、会社の経費で落としますよ。8000円なり。なるべくハイテンションで頑張りましょう。打ち合わせ。せきが止まってくれますように。さっきからひっきりなしにのど飴を舐めています。神様お願い、仕事してるときはセキを止めてください。アーメン。 一時間、頑張った。よくやった。自分で自分を褒めます。だって誰も褒めてくれないから。上司に打ち合わせが終わったことを伝え、あとの処理を内勤の人にお願いし、とにかくまたタクシーを拾って、今度は先日行った病院へ直行する。7000円なり。スーツを着て営業バッグをさげて高熱を出しながら病院にいる人が居れば、誰でも怒るだろう。「あなたは、こんなときでも仕事にいったんですか。呆れました」呆れるも何も、だって誰も代わりがいないんだもの。仕方ないじゃないか。たった数時間だけの仕事なんだし。社会は厳しい。どんなに風邪をひいても仕事は放っておけないし、ゆっくり休んでいないと医師から叱られる。社会って本当に厳しいなぁ。 血液を採取しますと、ベテランがかったおばさん看護婦に言われ、腕を差し出すけれど血管が浮き出てこないのか、腕に巻いていたチューブを思いっきり絞られて血管を浮きだたそうとしている。そんなに強く縛ったら、私、気を失ってしまいそうです。バシバシと腕を叩かれ押し付けられ撫でられ、やっと血管が出たところでぶっすり。で、次は注射をしますともう片方の腕にぶっすりと注射。血を抜き取られ何かの液体を注射され、私の体はもうこの医師と看護婦の思うがまま。明日、会社にいけるのであれば、何でも言うこと聞きます。どうにでもしてください。 「明日も熱が下がらなければ、出かけることは禁止です。守れますか?」 と、医師に問われ「はい」と適当に返事をすると、「守れないなら入院してもらいますよ」と脅すので、相手の目を見つめ「帰って寝ます」と答えた。風邪ぐらいで入院なんてしたらぜったい訴えてやる! なぜか私は病院に来るとけんか腰になってしまう。病院なんて叱られるばかりで好きじゃない。私の主治医が受付のところで私を待ち受けていて、にやりと笑った。「熱、38度あるんだって?ちゃんと家で大人しく寝てるんだぞ?」わかっています。わかってるから、にやにやしながら弱っている私を見て喜ばないで下さい。気持ち悪いから。 帰宅して、何も食べる気もせず、そういえば日曜の夜にお菓子をかじったときから何も食べていないなぁ。わびしいなぁ。そう思いながらベッドに入る。 しかし、眠ったのもつかの間、会社の携帯がひっきりなしに鳴っています。内勤の人からの連絡。「○○社の○さんが電話くださいって」「○○のファックス来てますけど、どうしたらいいですか」「先週の○○の件、どうなりました?」おい。急用な用件以外は電話してくるな。それくらい気づいてくれ。けど、私も電話に出ないわけにはいかない。急な用事かもしれないから。んー、困った、一体どうしたら? あまり眠れずぼーっとしながら、徹夜明けのような体のだるさと熱。脳がそろそろ溶けます。立ち上げる気力ももはやない。 夕方、携帯がなる。 電話の相手は最近親密になり始めている仕事相手の男性。 「風邪だって?」 会社の子に聞いたんだな。 「大丈夫か?」 大丈夫じゃないから会社を休んでいるの。 「ちゃんと食べてる?看病してくれる人は?」 食べてないし、看病人もいない。あぁ、この人なら看病してくれるかな。お粥作ってくれるかな。おでこに手を当てて心配してくれるかな。淋しいな、淋しいな。頼っちゃおうかな。気も弱ってきているみたいです。 「まあ、大丈夫。寝てれば大丈夫だから」 電話の相手は、疑いの声を向けて私にあれこれと聞くけれど、いま、頼ってしまうとこれから先、どうなるかわからないので、今日は丁重にお断りしておこう。今日は、じゃなくて、今日も。 「明日、お前と約束あるよな?」 明日、仕事のアポを彼に取り付けてある。もしかしたら行けないかもしれない。行けなさそうであれば朝一に電話して、用件は電話で済ませることにしてもらう。 「無理するなよ」彼はそう言って電話を切った。 そう、私たちは何はともあれ仕事の相手なんだから、あんまり仕事以外の関係を持ってはダメなのですよ。そうそう、仕事相手なのですから。 眠気に襲われて目を閉じる。 地球最後の日の夢を見た。 最後の24時間をどう過ごすか、考える夢。 いま、好きな人のもとに行くか、親友と一緒に過ごすか、家族と一緒に過ごすか、あれこれ悩んだ挙句、別れた恋人の家をたずねたら、「地球最後の日は、おまえだけなんだよ。おまえにとっては最後の日で、他の皆にとっては明日も続くの」 冷たくあしらわれ真実を聞かされ、そうか私だけ明日、死ぬのか。そう思うと悲しくなってわんわん泣いた。 どうしてこんなにも冷たくされるのに、私は彼を求めてしまうのだろう。 おかしな夢ばかり見てしまう。 鬱々とした夢ばかりしか見ないので、明日こそは仕事に行きたいと切に願う。 |
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