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2004年02月08日(日)  この真実
この真実。

朧気にその全体像が私の心の中に浮かび上がってきた。
彼の言ったことといま私が見ているもの、兄が言ったことと父の気持ち、私を苦しめた根底の要因のすべてが、私の目の前に姿を現しつつあった。
もっと知ろうと思えば、知ることが出来る。私が捕まえた真実に手を伸ばそうとしたら、朧気にいまは霞がかかっているものも、はっきりと明確になるだろう。

別れた恋人が見つめているもの。
父と異母兄が見つめているもの。

私は、真実の尻尾を掴んでしまった。

私が何も知らずにいると思っているの?
私があなたたちの言ってることすべて信じていると思うの?
あなたたちは私に気づかれないようにそれを隠した。
いつかは私が知ることになるであろうその真実を、あなたたちは必死に隠した。
私が何も知らず、そしてすべて忘れられると思っているの?
馬鹿げている。
あなたたちの必死の姿が、今となってはあまりにも滑稽で、今となっては複雑に絡み合っていたと思っていた糸は、とても単純にほどけた。するする、するすると。

怒りの後には嘲笑が漏れた。
それはあなたたちに対する嘲笑です。
嘲笑のあとには、自己嫌悪に陥った。
踊らされていたのは私のほうで、騒ぎ立てたのは私のほうで、
あなたたちが望むように私は充分に傷ついた。
それ以上、なにがあるというの?
惨めでたまらなかった。
プライドを失った。
自分を失った。
時間を失って笑うことも泣くことも失って、
思考と感情と生きることを失った。


縺れていた糸が、やっとどの糸に繋がっていたのか見えた。
欠片が繋がってやがてパズルは完成するのかもしれない。
もう少し時間がたてば、私の惨めさは決定的になるのかもしれない。
いまの私に、それ以上知る勇気があるのか?
それを引っ張りあげる準備が整っているのか?

突然に、しかしタイミングよく、すべての真実を私は知ろうとしているのかもしれない。
パンドラの箱を開けるか、否か。
今以上の苦しみに耐えられるか、否か。
最後に残ったものは本当に希望なのか、否か。

みっつの嘘とみっつの真実。
探ろうとしていたものはすぐそばにあった。
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