雲間の朝日に想うこと


< 歓べないのですか >


君の体調が悪い。

人伝に聞いた言葉で、
君の旦那から聞いた一言で、
俺の中にほぼ確信に似た予感が芽生えた事を、
この胸の拍動が気付かせてくれた。






其処まで強い確信を持ちながらも、
想いを心配と称する方便で包み隠して、
携帯を握り締めた。



 「大丈夫。」
 「何が?」

 「今居ないから。」
 「まったく・・・」

 「だって・・・」
 「止めろって言ってるじゃん。」



何故隠すのかと、
何度と無く繰り返して来た忠告も、
何ら変化を齎していない事。

俺の親友である筈の旦那から、
俺に対する猜疑心も敵対心も不安感も、
決して消えていない事。


結局聞こえて来た君の声は、
今迄と全く変わらぬ二つの事を、
俺に教えるに留まった。
















解決すべき事柄をその儘に、
遂に柵を振り出しに戻せない時が来てしまった。




即ち其れは。


致命傷を抱えても、
柵を絶つ事が出来ない状態に、
君が陥らぬ様に。

ただ俺の元に、
そう願う事しか出来ない時が来た事を、
暗に意味する瞬間でもあるのだ。








其の事実を知ってか、
それとも知らないからか。



 「出来ちゃったんだよね。」
 「やっぱりそうか。」



全く弾まぬ君の声が、
鼓膜の裏でぶるぶると震え続けて消えない。


2003年04月11日(金)


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2002年04月11日(木) 見えない道を歩けるか
2001年04月11日(水) 不安を消してはくれませんか





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