やっと到着し、岩場にすわると足ヒレを装着してくれる。はっきり言うと、この場所では初心者は何もできない。じっとしているのがやっとだ。ましてあの重いタンクを自分でかつぐことなどできやしない。 足ヒレがはけると、もう少し深みに入っていった。しかし足ヒレがつくとうまく歩けないのだ。 次はエアータンクをかつぐことになる。身体全体を海に沈めると、スタッフがきちんと背負わせてくれた。そうか、海に沈めることで軽くなるのだ。ちょっと拍手を送りたい気分になった。 もうこのときは二人がかりだ。こちらは両手を広げてじっとしているしかない。動くと足をすべらせてしまいそうになる。
三人とも準備が整うと、次は呼吸の練習をしてみる。シュノーケルと違って、海にもぐると、もう簡単に顔をあげることができなくなるから、十分な練習をしておかないと大変だ。 娘は口で呼吸をするのが苦手なようで、うまくできない。顔を水の中につけて練習するのだがすぐにあげてしまう。インストラクターは、少しできるようになるとほめたたえてリラックスできるようにもっていってくれている。ほぼできるようになると次は安全の再確認。
店で事前に、海の中での約束事は聞いていた。海に入るとしゃべることができないわけだから、必然的にジェスチャーでの会話となる。内容はこうだ。 インストラクターがOKサインで聞いてきた場合問題なければOKサインで返す、岩場をつかむ時は手でぐわぐわとする、手招きしたら前進、指差したらその方向を見る、親指を上に向けたら上がる、などだ。 それにホワイト・ボードでの筆談をしてくれる。このボードは磁石で文字が浮き上がるタイプのものだ。幼児がお絵描きをするあれだ。
これらの確認を済ませると少しずつ海に入っていくことになった。まあ、シュノーケリングで少しは慣れていたのでそんなに怖がることはない。足で歩いて中に入るという感じではなく、はいつくばって岩場をつかみながら潜っていくのだ。何度もインストラクターがOKサインを出してくる。そのたびにこちらも返さなければいけない。
海底の岩を手放すとあらぬ方向に行ってしまいそうで必死だ。となりの娘は息をするのがやっとという形相でマスクに入り込んだ海水を出している。どうしても少しずつマスクに海水が入ってくるが、排出方法を伝授してもらっていたのでさっそく実践しているようだ。いやいや、こちらにはそんな余裕はないのだが。 方法はこうだ。マスクの上部を押さえて上を向き、鼻から息を勢いよく「ふん!」と吹き出せば息といっしょに海水も排出されるというわけだ。 〜つづく〜
『Nagi』のホームページは下記のとおり。 http://www.nagi.biz/
ここの凪だよりでは、お客さんのスナップが掲載されている。しかし、しかし、私たちが訪れた7/17だけ「ごめんなさい」の絵文字になっている。ずっとながめてみてもこの日にちだけなのだ。相当くじ運が悪いのだろう。デジカメのトラブルのようだ。 ところで、Nagiという名前、どこからとったのかと思えばホームページを見てわかった。凪だ。そうか、凪でなかったら仕事にならないんだ。祈りのようなものも込められているのかもしれない・・・。

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