ホテルの玄関には白のオープンカーが置かれている。どこのメーカーなのだろう。ベンツとかロールスロイスではないようだが。ホテルのPRビデオを見てわかったのだが、ただ飾りで置いているだけでなく、結婚式の際は新郎新婦がこのオープンカーに乗ってチャペルまで移動することになっているようだ。
このホテル、雰囲気を盛り上げる演出が随所に見られる。玄関を入るとそこは全体が吹き抜けになっていて、椰子の木々が植えられた庭にはインコたちがキャッ、キャッと鳴き声をあげている。 シーズンがら、行き交うお客はほとんどがファミリー、カップルのように見える。いわゆる団体さんは見当たらない。
まずは手続きを済ませる必要がある。ここでもなにやらたくさんのクーポン券をくれるではないか。割引料金なのだが、元がちと高い。『JALステージ』のお客様ということで、タオル、それにサンダルの入った水着用の袋をくれた。どれにもJALのイニシャルが入っている。
こうしてまずはお部屋へ。ボーイが荷物を運んでくれる。どうもこちらが申し訳なく思って恐縮してしまう。日頃、人の世話はしてもこうして優遇されることに慣れていないのだ。 部屋のオートロックも苦手である。じつは後日、部屋に鍵を置いたまま出てしまった。というか、部屋の鍵だと思って持ち出したのはジャパレン・レンタカー『ニッサン・キューブ』のキーだったのだ。そしてもうひとつ想い出がある。息子が小さい時、九州に遊びにいったが、ホテルで息子たちは別部屋にしていた。明け方だったか、下の息子が泣きながら私たちの部屋のドアをどんどんたたく音で目を覚ました。どうもトイレに行ったのだが、オートロックなんか知る由もなく部屋に入れなくなったわけだ。 その時のことを思い出したのか、妻がじゅんじゅんと娘に説明していた。
部屋で荷物を解くと、みながそれぞれのベッドに「ゲット!」と言いながらふんぞり返る。なんだかやっと開放されたというゆったりとした時が流れる。 トリプルにしたので、ベッドがひとつ追加で持ち込まれている。部屋はゆったりと広いので問題はないが、このベッドがぎしぎしときしむと娘が文句を言う。しかし位置的には窓際なのでこちらのほうがいいようだ。悩んだ末、「ここでいい!」と納得した。 内心ほっとした。じつは私の側のほうに来られると困る事情があるのだ。まあいいが・・・。
一休みすると、まずはホテルを探検することにする。もう夜7時を過ぎているので薄暗くなりつつある。ちらほらとホテルの内外に明かりがつき始めた。特に海辺にともる灯かりはエキゾチックだ。海上に浮かぶレストランが南国の雰囲気を盛り上げている。あそこで食べるか、でも高そうだな・・・。 〜つづく〜



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