音楽以外のことになってしまうが、ここでちょっと一息。
私の嗜好は、はっきりいって甘党である。まあ、鶏卵饅頭なら5個は一度に食べる。といってもそれではすぐになくなってしまうので、2、3個でやめるが。太鼓饅頭なら2個といったところか。 そして甘党なるがゆえに、ケーキにも目がない。もう、作ってしまう。ということで、ケーキ談義で一息といきたい。
何年か前は、ちょっと凝っていた。元来、私はのめりこむほうなので、やりだすと、ある程度追求しないと気がすまない。ケーキに関しても、はまってしまった。まずは、専門書の購入からはじまった。そしてその次は、専門の器具と、まずは形から入っていった。といっても、本格的な器具は高価で手が出ないし、購入前に挫折しまうかもしれない。ケーキ作りには必須のものに、大理石の定板がある。しかし高価なため、今もって未購入のままである。
まあ、最初はスポンジ作りから始めるが、これにはあまり興味はない。一応作ってはきたが、特別変わったところはなにもない。やはり真骨頂は、タルト系ではなかろうか。これを作るとなると二日がかりになってしまう。いわゆるショート・ケーキではないのである。タルト生地の仕込みから、寝かせ、そして焼きということになると、朝から作っても一日たっぷりかかってしまう。見た目は、華やかさはないが、じっくりと焼きこんだ、深みのある味は格別だ。このためには、材料がすべてといっても過言ではない。 料理でも同じだ。材料の良し悪しでほぼ決まってしまう。
そういう意味で、この時期には、業務用食材屋によく足を運んだものだ。北海道の双葉製発酵バターがいいという記述があると、それを求めて使用した。生クリームにしても、スーパーに売られているものを使ったことはない。こうして味わってみると、べつにケーキにしなくても、それだけでおいしいことに気づいた。はやい話が焼き方に失敗しても、混ぜすぎて食感が悪くなっても、味はいい。

もうひとつ凝ったものに、隠し味として入れる洋酒の類である。これは、ひとつのポイントなのだが、高級ケーキとその他との決定的な違いともいえる。ヘネシーも使ったし、ラム酒も、その手のブランド品を買ってきた。
ある時、男の道楽のようなものの本に、フルーツケーキの作り方が載っていたので、さっそく挑戦した。まず、木枠からはじめるのである。25センチ角くらいの枠を製作して、それに生地を流し込む段取りとなっている。はっきりいって、妻は完全にあきれかえっていた。いや、そんなことでひるんでいては、大成はできぬ。 レミー・マルタンを買ってきて、おそらく半本をつぎこんだと思う。ブランデーの使い方はこうだ。出来上がったフルーツ・ケーキに、はけで塗りこむのである。それも何日もかけて。本には、半年くらい熟成したほうが味がよくなると書いていたように思う。もちろんそんなに待てるわけがない。これだけたっぷりとブランデーが染み込んだケーキは、まさに大人の味がした。
べつにケーキ作りのプロではないのだが、すでにファンがたくさんいる。そういえば、妻の職場の人も待ち焦がれているが、もう、すっかりご無沙汰してしまっている。今年も、妻に督促されて、職場用を作る手はずで、材料を少しばかり買い集めたが、挫折してしまった。ずっと前の食材も悪くなったので、ドサッと捨てたようだ・・・。
どうも、道楽というものは、気が乗らないと腰があがらない。だから道楽か。
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