管理人トシの日記

2003年08月31日(日) 音楽に感動

立花隆の秘書が書いた本に、音楽についての記述がある。

立花隆氏は、科学、政治などの分野だけかと思っていたら、音楽についても執筆しているようだ。
ひとつは、現代音楽作曲家の「武満徹」について雑誌に連載している。
武満徹は、青年時代、まずしくてピアノが買えない。彼は、紙に書いた鍵盤に向かって作曲をしていた。道を歩いていてどこからかピアノの音が聞こえるとその家をつきとめて、見ず知らずの家にもかかわらず、「ピアノを弾かせてください」と言って使わせてもらっていたようだ。

立花隆の秘書も経済的に貧しい時代は、CDを買えず、公共の会館でむさぼるように聴いたそうだ。しかし、余裕ができた今は、どうか。こういうくだりがある。
「・・・ところが、CDを所有することでいつでも聴けるという安心を得たことが、音楽と私の距離をかえって遠ざけてしまった。もはや、いましか聴けないというあの切実な集中力で音楽を聴くことはできなかった。・・・」

また、秘書である彼女は、ドイツ人指揮者のカルロス・クライバーについて書いている。クライバーの演奏会のチケットを手に入れ、感動的な演奏にひたるまでをリアルに記述している。

クライバーといえば、相当の大物だそうだが、私が名前を知ったのは最近だ。たまたまBS放送で、クライバーが指揮する「こうもり序曲」だったかな?(自信なし)、白黒の彼が若かりし時代の映像を映していたので録画した。
単なる演奏会の映像だったら、おそらくみてはいないだろう。ここでは、リハーサル風景をやっていたのだ。若いクライバーが指示することに対して、老齢の演奏家が生真面目に応対する部分など、とても興味深く見入った。

立花隆秘書は最後にこうくくっている。
「・・・ブラボーと拍手の嵐の中で、私は途方もない感動に揺さぶられると同時に、人生の願いが一つ叶えられてしまったあとの寂しさに耐えていた。残された人生の中で、あと幾度、こういう胸がジーンとする瞬間に出会えるのだろう。人はなぜ生まれてくるのかというと、それは感動するためだと確信した。」

うむうむ、感動か。あー、どうやったら感動をあたえることができるか。
しばし、無言・・・。


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管理人トシ