2013年09月29日(日)
びよんどメモその3


 更に続きです。




[びよんどめも:最後の扉らへん]

 二部で中詰め盛りあがった後は、再びダークファンタジーな世界へ。
 一部で開けた扉の先の物語、かな?
 舞台中央の階段つき扉が上手に寄せられて、枠だけになったドアたちを鳥居のように並べて、そこに扉をあけて出てきて、何かを探すように求めるように、鳥居をくぐってくる(笑)夏希さん。
(どの場面も夏希さんは「扉から出てくる」で始まってるのだなぁ)
 白のノースリーブのロングドレスと思いきや、下はフレアパンツで、ガチっとゴールドのぶっといベルト(ご丁寧にちょうちょw)を締めていて。ミュシャの絵にでてくるような?感じふわっとしたドレープの衣装。
 BGBBで一緒だった原田さん振り付けのコンテンポラリーダンスがあったんだけど素敵だったなぁ。言葉はなくとも伝わってくる、扉をあけて一歩踏み出すための勇気。かろやかに舞いつつ、一歩足を踏み出して、とまどって引き下がる。そんな動きが印象的だったなぁ。
 歌も何曲かあったんですが、歌詞はあんまり覚えてなくて(笑)ただ舞台いっぱいに広がった白い光の中で、白い衣装の夏希さんがいて朗々と歌いあげる。技術はさておき(笑)、DIVA(歌姫)みたいで、すごくきれいだった……
 ドレスの胸元がゴールドの刺繍のはいった、シャーリング風に縫ってある仕様だったのですが、その胸のふくらみがだんだんさがっていっていたのはご愛敬(笑)いや、ああいう服って乳があってなりたつんだよね……(爆笑)

 三つ目の扉、ラストは夏希さん作詞のオリジナル曲の「To the next stage」扉を開けた先の希望の明るい楽しい曲、キャスト総踊りで、夏希さんがふわっと三井君にきれいにリフトされてたのが印象に残ってます。歌詞もすごくよくてねーー、と歌詞の話はまた後に譲りまして。みんなほんと楽しそうに歌い踊ってた。最後に「To the next stage!!」で高らかに歌いあげて幕。最後にどかんと盛り上がって、ショー「Beyond the Door」が終了、暗転。


 明転して、挨拶。「ここまでが、ショー「Beyond the Door」ですから!」と強調する夏希さん。
 そしてここからはいつものトーク&ライブなノリに休憩なしではいっていくのですが、とりあえず私のレポはいったんここできります。


 なんか最後の扉の文章量が極端に短いですな(笑)。別に時間が短かったとか、くいつけなかったとかではぜんぜんないので!(笑)っていうかほかの扉がいろいろ情報量多すぎたよ(笑)




[びよんどめも:扉の向こうのネクストステージ]

 今回のショーで、オリジナル曲は二曲。前述している通り第一部最後の「Beyond the Door」、そして第三部最後の「To the next stage」
 どちらも夏希さん作詞。そしてどちらも赤裸々に夏希さんだったなぁと。

「Beyond the Door」
 いつからかあった扉、その向こうに君がいるのはわかっていたのに、開けられなかった、扉の前で流した涙、開くんだこのドアは開けるんだこのドアを、鍵は今私の手の中にある

 そんな感じの歌詞なんですが、でてくる語彙はすべて夏希さんだったなぁ。「お稽古場のバーにしがみついてリノリウムの床に落ちた涙」なんて歌詞、夏希さんじゃなくちゃ書けないし、あ、夏希さんの事なんだなと。

「To the next stage」
 扉のあけた次のステージへ飛び出していこう。
「なんにだってなれる」
「誰にだってなる」
 それが私のスタイル、私の道、私の人生。
 
 そんな感じの歌詞なんですが、この歌詞にあった「なんにだってなれる」「誰にだってなる」ってのにうっかり涙ぐみまして。
 退団して三年たって、いろいろ試行錯誤をした上で「舞台でやっていこうと決めました」と今年の5月のファンミで話ていて、舞台人ミズナツキが好きな自分としては、それがたまらなく嬉しかったんですよね(その決意は遅いという人もいるけれど、夏希さんは三年必要だったんだよ)。
 そんな「決意」夏希さんがこんなに楽しそうに、希望に満ちて歌っているのがほんと嬉しくてね嬉しくてね。


 結局のところ、ショー「Beyond the Door」は「Beyond the 水夏希」だったなぁと。ショーだから物語はなくてもいいんだけれど、そこに何かテーマを見いだすなら、「水夏希」だったと。そこには確かにこの三年間の水夏希の物語があった。夏希さんが扉の向こうの次のステージにいく為の物語。
 逆を言うと、演出家・水夏希がショーを作るにあたって舞台に提示できるものはこれしかなかったとも言えて。創作にあたって多かれ少なかれ作者自身というのは作品の中に溶け出すものだけれど、夏希さんはストレートにそのまま出してきた。何か新しいものを生み出すわけでもなく、新しい世界を作り出すわけでもなく、自分自身を。あますところなく、体当たりで。

 それは宝塚という有限の、男役という虚構の世界では絶対出せなかったものだよなぁと思うのです。宝塚時代は男役という虚構という枠で、自分の上にどんどん作りこんでいっていた訳で(そして夏希さんの男役像はその虚構のコーティングから夏希さん自身の人間性が浮き出して見えてきているのがとても好きだった)。
 けれども退団後その虚構のコーティングは取っ払われて、そこに残されたのは「水夏希」そのもの。
 それをこの退団記念日(そして女優としてのスタート日)である912にぶつけてきたっていうのもすごく興味深かったです。
 そしてこれは去年にはまだできなかったことで、来年はもうこん風には晒せないかもしれない。

 これって、じつは、すごいことだったんだと思うんですよね。

 と、私は過剰に重いいれ(誤変換だが間違ってはない))(笑)てしまったので、なんともアレですがじゃあ逆にそういう思いいれのない人からみたらこれはショーとしてなりたっていたのかな?という一抹の不安があったりします。なんだかんだで客席はほとんどミズナツキファンな訳だし……それだから出来たことなのかなとは思いますが、それでもそうやって全身全霊で自分をさらけ出してきた事を私は評価したいなぁ。

 なにはともあれ構成演出という媒体をつかって、自分自身を表現してきた、って事だと思うのです。だからこの人はやっぱりクリエーターではなく、パフォーマー(表現者)なんだと思うわけです。

 もし2作目を作るとしたら、それは何を出してくるんだろうなぁ。これきりな気もするし、来年また同じように「Beyond the 水夏希」だったらそれはそれでまた今年と別のものが見られる気がするし、まったく違うものをつくるのでもそれはありだと思う。

 個人的にはまた三年後ぐらいに、同じように自分自身をさらけ出すショーを作ってみてほしいなぁと。そのままライフワークになったらおもしろいと思う(あくまでテーマは自分自身で)。


 今回のプログラムでオギーと対談しているのですが、その中でオギーが
「外の世界になじむのには10年かかる。熱いお湯に水をいれてすこしずつうめていくような」
「今まで男役として作り上げてきたものに、絵の具を混ぜるみたいにいかに本名の自分を溶け込ませるか」
 と言ってて。
 それは今回のこの「自分さらけだしショー」(言葉は悪いがほんとそうだと思う)にもつながるかなぁと。

 身内イベントと言えばそれまでだし、それだからぶつけられたのもあるのかもしれない。
 でもそれは今までには出来なかった事で。

 だからほんとにすごいことだったなぁと、終わって振り返ってみて思うのです。









 長い!重い!めんどくさい!(私が)(笑)

 そんな重い思いを込めて「最終的に」すごくよかったという最初の発言につながります。ほんと最初の「仕事ないから自主公演」なネガティヴ発言からたいした飛躍だと思います(笑)。

 ほんとにねー。屋根〜TATTOOにかけて何かをつかんだ感じがするし、この時点の水夏希をこうしてさらけ出してきたことも、なんというか、こう、一言でまとめると「大好きだ」ってね……


 最後に出待ちでだったかな?今回のショーを通してまた課題も見つかったみたいな、またそこに向かってみたいなこと言ってて、あー、この人もう今回のPDCAのCまで終わらせてるよ、さすが日本PDCA協会検定1級(ないよそんなの)の水夏希さん。

 大好きだ(2度目)




 トーク&ライブパートの話とか、ゲスト(っていうかH&M)の話はまた別途改めます。ってついったーで垂れ流しちゃうだけかもしれないけれど(笑)


 以上、ここまでお読みいただきありがとうございました!






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