2008年10月25日(土)
誰かと、何かを、つなぎたい


 しかし今週は早かった(素)。洗濯はたいてい週末にまとめてやっているんですが、今日洗濯籠から出しながら、この服いつ着たんだっけ?と思い出せないぐらいにあっという間でした。とりあえず山場は越えたかなぁ……。


[伝書鳩返し]

・>そーさんは兄属性ではないとは思うのですが…。
 >さくらのあやね、という人の妹属性ぷりがすごいと
 >思ってしまいましたです。。。
 >あの状況(見開きポート最後の壮さんの膝の中にあやねちゃん)で、
 >全然あだるとのにおいがしないなんて!!

 それでようやく私もグラフを買ってきました。そう!私もまったく同じ感想でした。あやねちんの妹属性と、更に加えるならば壮一帆さんの倫理感(彼の中で近親相姦は絶対にナシなはず)がぶつかってああなるんだなぁと。でも表紙を見ると「鬼畜御館様とその奇行を全て知り且つ受け入れている奥方様」にも見えます……(そんな自分が心底イヤ……にはなってないか)(笑)。


・>六実さんのレポ、とても楽しい(というか、イメージしやすい)ので大好きです。
 >オネエなセルフつっこみ、ちゃんとナツキさんの声で聞こえますもん(笑)

 わー、そういっていただけるとすごく嬉しいです。マイデマンドとは言え自己満足とはいえ(笑)がんばった甲斐がありました。えへ(照れるな)。


 という訳でご期待に答えられるかわかりませんが。


[ソロモンの映画メモ]

 最初は午後休取るんだったらと、東宝×映画×ライブの3連コンボを考えていたんですが、エダマメさんの「私映画ダブルしますよ」にその手があったか!と目ウロコ的に予定変更。それで開演前にまたエダマメさんナンパしてお茶してました。彼女のオギー作品への読み込みがすごく面白かったです。最終的に「じゃあオギーマニアに100の質問をやればいい」という話になって「つうかオギーに100の質問したくね?」という話に(笑)。そんな話に夢中になっていたのでうっかり気付いたら開演10分前を切っていて慌てたのはご愛嬌です(日本語おかしい)。


 で、ソロモンの映画。私的にはものすごく面白くて評価高いんですが、世間的にはそうでもないんですかね……(ちらりとネットの海をさまよいつつ)。ま、私の感性が世間と違うのは今に始まったことじゃないので、それはそれでずらっと印象的だった事を。


・はじまりからぐわん、とキタのが、タイトルロールの前に、海の場面で走り去るミストレスの背を追うガスパールの背中からのスロー映像(モノクロ)に、あの場面でナツキさんがひとりで踊り始めるときの「ぴちょん」という雫の音が入って、本当に始まる前にその映像がまるでひとしずく、おちた、みたいでそれだけで「うわきてよかった!」と思いました。

・映画の第一印象というか、ナツキさんのアップが映った瞬間に思い出したのは、実相寺監督が撮った宙組エリザTCA映像です。外部というか映画になるとこの縮尺になるのか、と。ただ、宙組エリザの時はあれはものすごくナシだったのですが(TCAの舞台映像として出すものとして、て意味でね)、今回逆にそれが「ああ、これいつものTCA映像じゃないんだ」と、すとんとオチました。
 改めて思ったのですが、タカラヅカの映像って「誰が写っているか」なんですよね。当たり前ですが、それがタカラヅカのショービジネス、というかスタービジネスなんだと。今回はそれと真逆、タカラヅカなのに「誰か」っていう視点は不要なんだなぁと、思いました。

・もうちょっと補足すると、映像の撮り方が「誰か」を認識するには不向きなんですよね、オーバーラップの多様、流れるようなカメラワーク。なので「誰か」を認識しようとするとものすごくフラストレーションがたまる映像だったと思います(笑)。

・まあそんな難しい話はさておき、やっぱり当初の思惑通り「自分が普段見てないところがたくさんみれました」的な旨味も多かったです。おかしい、私主演のファンなのに(今までと違ってちゃんとまんなかみてるのに)、なんでこんなに見てないところが多いんだ(愕然)、となるのはこれがオギー作品だからだろうな……。

・冒頭の日食の輪を撮る映像が上からカメラを舐めていたので、日食の輪がまるで日の出のように昇っていった(ように見えた)の印象的でした。映像の可能性、というかやっぱり全然違ったものが見えるなぁと。

・ジャングルに入る前の映像で、右隅にナツキさんの横顔だけをパン、と撮った映像があって、これがものすごく綺麗でした。真っ暗な画面に、右隅に衣装ともふもふにさえぎられて、ナツキさんの横顔(目と鼻周りしか見えない)。そこにあの場面の動物の鳴き声が重なって、一瞬だけ、ナツキさんが瞬く。うわ、と思った瞬間に、曲の変わり目で舞台奥の鳥籠に入った地獄鳥の映像に切り替わって、うわうわ、と。うわ、伝わりがたくてすみません(笑)。

・で!このジャングルの場面が「おとづきけいまつり」でした。もうのすっこのあんな顔とかこんな顔とかどんな顔とかがあますところなく!……どこの音月桂メイトのオペラグラスアイかと(笑)。
 でもお陰でこの場面が全然別物に見えてきましたというか一気に18禁になりましたよ……。エロい、というか、なんというかのすっこの表情全てが獰猛で原始的にエロい。それで最後に動物ちゃん達に囲まれてうねるところがアオリで撮られていていて、その瞬間に「ひとがケダモノになった!」と私の中で大恐慌。そこから転じて「人もケダモノもひとつにもどればいい」その戻るところってどこ?人と獣の共通点て何?それって生殖活動(ぼかし)だよね……っ!(激震)という訳で、あの場面がもう全員まぐわっているようにしか見えなくなって……っ!(更に激震)


 で(何事もなかった顔で)、のすっこが「ひとがケダモノのになった」その後ろで、しなぼんが「ケダモノからひと」になったのかなぁと。私、あそこの場面で描かれている「環」は、ジャングルだから食物連鎖としての「環」だと思っていたんですけれど、食物連鎖じゃなくてひととケダモノの進化の「環」なのか、いやそれは「環」ではなくて、表と裏、繰り返し、ひっくりかえり、同じところをぐるぐる回る?……いやあ、もうほんとひどい感じにぐるぐるしましたありがとうのすっこ(というか映画を撮ったひと、か)(つうか感謝なのか)。

・海の場面が本当に海のうねりのような画像で。中心を撮るだけじゃなくて、「海」の娘役ちゃんたちの映像が効果的に流れて。
 印象的だったのが、一旦しゃがんだナツキさんが立ち上がると、その向こうに赤いドレスのとなみが入ってくる……説明になってないけれど、そういうヌキの映像が効果的だなぁと。

・白い風の場面で、ユミコ氏ととなみが踊るところをずっとそこはかとなくエロいなぁと思って観ていたんですが、映画だとあからさまにエロな感じで撮られていました。前回の観劇感想で「ミストレスとバルタザールは繋がっているのでは」と言ったのですが、私の中でその確信を勝手に強くしました。あの場面が私には、指輪を求めていたミストレスがついに指輪(バルタザール)に嵌められた(いっそカタカナで書いてもいいです)んだと思っています。指輪なのに、人を「嵌めて」しまった。ミストレスがバルタザールの手の内に落ちたというか、それを強く感じました。

・もうひとつ、やっぱり自分の観劇感想をひっぱるのですが「一番残酷なのはバルタザール」を、映画を見て更に強く感じました。なんでなんだろう……?

・そう思いながら最後の楽園の場面に至ったら、そこが最強に残酷な場面に見えました。舞台を見ているときにも思ったけれど、更に、更に残酷な場面に。どうして、どうしてなんだろう。中央のガスパールに浮かんだ言葉は「贖罪」ではなくて「生贄」でした。ひとりだけ血を流す、生贄。そして祝祭。舞台ではなんだかんだでナツキさんを観ているので、舞台上でのお着替え場面も見ているのですが、映像だとあの白×金の中に、突然血染めのナツキさんが映るんですよね。それがぱっ、と散った血しぶきに見えて怖かった。ずっと感じていて不穏な空気が、映像に、二次元に切り取られて恐ろしいまでに残酷に見えて見えて仕方なかったんです……。映像が残酷なのか、オギーが残酷なのか、多分両方かなぁと……って思いっきり主観ですみません。でもほんとそう思ったんです。

・そんな感じにいろいろぐわんぐわんしながら終わりまして。最後にナツキさんのセリ下がりを舞台正面から撮って(ナツキさんが左隅にいる状態で)、あの扉が閉まる音と共に終了。真っ暗な画面に白くて赤いナツキさんがすううっと消えていくその様がなんともいえなかったです。映像で撮ると暗闇って黒になるじゃないですか(劇場で観ると暗闇はまったくの黒ではなくて濃淡があるというか)、二次元と三次元の暗闇の違い、そういうものもものすごく映画として効果的だったかなぁと(前述のジャングル前のナツキさん映像の話もまさにそうかと)。

・で、映画なので最後にエンドロールが流れるのですが、ここの映像に最後のダメ押して「ぐわん」となりました。黒い画面に文字がエンドロールが流れる中、左側に映画から切り取られた場面が流れるのですが、ここが「海」(娘役ちゃんたちの海)の映像と、「手」が交互に流れていくんですよね(音楽ももちろん海の場面です)。鑑定士の指、ガスパールの指、バルタザールの指…、映画中でも効果的に映されていた指がフラッシュバックのように流れていく(ここの指映像は映画中の映像ではなく別映像ぽかったけれど、どうだろう?)。もうそれにぐあんときた。指輪ははどこにあるの、そうだ、指輪があるべき場所は「指」なんだ。あたりまえと言えばあたりまえなんですが、そこにぐわんとキタんです。そしてこのショーのに出てくる三人の指輪の精、ガスパール、バルタザール、メルキオール、そして全ての「指輪」が、最後には、指に、戻っては、いない。

 「愛した人はもういない」


 なんかSSでごめん(笑)、でも、そう思った、んで、すよね…


・と言う訳で、ほんと意味不明なレポートですみません。なんかものすごく舞台とは違う意味で揺さぶられたんですよね、私的に。


 


 ところで、今回アンケートが配られていて、それがクリエイティブアーツ主催だったんですよね。私、それでようやく、今回の企画の主導がTCAだと気付いたんですよ(遅)。いやなんか「東京国際映画祭」な舞台と外部のスタッフと聞いて、よくわからないけれどどっか外部の団体からのオファーで今回の企画になったのだなぁと思い込んでいたんですよね……。
 それでそのTCAのアンケートが、今回の感想と共に「今後への要望」みたいな事も聞いていたんですよ。あ、やっぱり「第一弾」は文字通り続ける気なのか。今回の取り組みは私的には凄く評価したいのですが、でも「第二弾」は微妙です。今回は荻田作品だからこそ、映画化の意味があったかと思うんですよ。たとえば同じものを岡田ショーとか藤井ショーで見たいかと思うと全然思わないし、意義がないと思う。逆に、それをするならもうちょっと「映画化するためのコンセプト(もっと言うとTCA映像との差異化)」を打ち出さないとダメだと思う。今回は「タカラヅカショービジネス(スタービジネス)」を打ち払うことで荻田ショーの何か(上手くいえないんですが)が映画化できたという認識なのですが、他のショー作品だと結局「TCAとは違うアングルで新鮮でしょ?」だけになっちゃうと思うんですよね……ちょっと、今後の展開が気になります。ものすごく。
 で、2回限りの上映じゃもったいないので、私はもっと多くの人に見て欲しいなぁと思いました(予算かけているだろうから、多分これきりの上映にはならないと思うけれどね)。





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