★浅田次郎。 『珍妃の井戸』

名作(だと思う)『蒼穹の昴』の続編ともいえる。
ちょっと趣向が違っていて、前作は純粋に歴史の中で独自のストーリーが展開
していったが、今回は光緒帝の愛妃、珍妃がなぜ死んだのかに焦点を当てた
ちょっとばかりミステリ仕立てにも見える。
それぞれの国をそのまま人物にしたような4人が、その真実を知っていそうな
人物の証言をとる形式は、外伝のイメージが強く、セリフ仕立てがあまり
好みでない自分に読めるか不安だったが、前作の勢いと少しばかりの登場
人物への知識もあって、後押ししてくれた。
ただ・・・相変わらず近代史は苦手なので、「義和団」とか出てきた時は、
どうしようかと思ったが;^^)
聞くところによると、浅田氏の作品は「泣くツボ」がある話が多いらしい。
実際「蒼穹の昴」では泣かされた。
今回は・・・・泣かなかったけれど、なんだかそれが罪悪に感じられる
ような、珍妃と帝の深い愛情をひしひしと感じさせてくれた。
こういう愛のかたちもある。
でも、哀しい。凡人のワタシには、そうしか思えない。

2001年10月22日(月)
By ちゃいむ

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