「静かな大地」を遠く離れて
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2002年01月28日(月) @港町

題:224話 函館から来た娘14
画:ブリキの金魚
話:もう函館にはいられないだろうけど、函館以外はどこも知らない

函館行きたいなぁ。北海道に居るころ、何度も何度も訪れた、特異な地形の港町。
海があって、坂があって、市電が走ってて、雪の降る街。五稜郭もまた行きたい。
去年『武揚伝』で大騒ぎしてオランダまで行ってからは、まだ函館に行けてない。
イカ・ソーメンが白いんじゃなくて透明なのも特徴ですね(笑)

富良野や帯広みたいな内陸の町も北海道っぽくていいけど、僕は海に開けた港町
が空気感として好きだったりする。散歩向きだし。小樽とか室蘭とか、親しい街。
最近は『星兎』のふるさと、横浜がマイブームだったりするくらいだし(^^)

「異国情緒」が漂う横浜、小樽、函館、神戸、長崎…なんつってロマンティック
に響きだしたのは、きっとその街の獰猛なインフラが翳りを見せ始めてからの話
なのだろうな。経済的に活況を呈しているうちは、ヤクザもいれば芸者達もいた
猥雑な街だったのだ、きっと。金の流れが去れば、彼らは真っ先に裸足で逃げる。
活きている間の函館や小樽は、生臭い「北進日本」の基地だったりしたのだ。
その残り香が、レンガの倉庫だったり、古びた酒場だったりして、観光客を呼ぶ。

欧州でいえばアムステルダム、米国でいえばボストンが、そういう出自の都市だ。
と自分で書いておいて、今さらながら自分の休暇の観光旅行の傾向がわかりやすさ
にあきれる、そして面白い。

「もう函館にはいられないだろうけど、函館以外はどこも知らない」弥生さんの
ライフヒストリーが続いている。語りが妙に巧いのを“『大菩薩峠』の熱心な読者
だから”という言い訳で逃げるあたりなかなか狡くて愉快な御大の小技が楽しい(^^;

弥生さんの時代と比べると、若い女性の「世界」は無限の如く拡がっている。
そのことを肯定的に捉えたくなるような、爽快な一冊↓を読んでいるところ。

■岡崎玲子『レイコ@チョート校』(集英社新書)
(引用、表紙の裏の惹句)
 アメリカ合衆国で三指に入る名門プレップ・スクール(寄宿制私立高等学校)、
 チョート・ローズマリー・ホール。小学校六年生で英検一級を取得した著者は、
 そのチョート校に奨学金付きで合格、15歳で入学した。多彩なカリキュラム、
 広大なキャンパス、充実した設備、互いを研鑽する寮生活…。一流大学進学を
 目的とするプレップ・スクールの中でも、チョート校は学力だけでなく人間性
 の育成を重視したトータル教育によって、ケネディ大統領をはじめ有為な人材
 を数多く輩出している。世界から優秀な生徒が集まる伝統的プレップ・スクール
 では、どのような教育が行われているのか?アメリカ高度教育の驚きの実体を、
 それを体験している側から、楽しい留学生活を通して浮き彫りにする。
(引用おわり)

昔、高校時代にモーリー・ロバートソン氏の『よくひとりぼっちだった』という本
を耽読していたころから、留学記系には琴線があるようだ。チョート校は僕の中で
重要なテーマのひとつとなっているニューイングランドのコア的な場所にある大学。
ボストンの名家出身の、最早期ジャパノロジストにして一流の天文学者、ローエル
についていよいよ書こうかとも思ったけど、明日に差し支えるので、今夜も退散(^^;


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