「静かな大地」を遠く離れて
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2001年12月03日(月) ソレイユから世界システム/戦略/戦争、そしてチョビ

題:170話 フチの昔話20
画:菊
話:だから非情な理屈だと言っただろう

コンビニで 『Domani』誌を手にしばし凍り付いた。
表紙はクリスマス仕様の川原亜矢子さん、いつもながらキレイ。
で、問題の付録、小さなカレンダー、…あのソレイユの!!
魔が差して買いそうになる。ただでさえ本が増えて困っているので雑誌の
購入は禁じ手にしている。まして分厚い女性ファッション誌など買えない。
付録だけ…関係ない雑誌にコッソリ移して挟み込んで買えばバレないよ♪
と悪魔のささやく声がする。真面目に30秒は悩んだ(笑)
とりあえず、まだ売り切れにはなるまい。明日以降も悩みそうだ(^^;

都市の真ん中なのに「森の生活」を気取れるほど、周囲は緑が多い。

「緑被率」と「緑視率」という言葉があって、前者はランドサットとか
からみたグリーン・ベルトの占める割合、後者は人の目線から見える緑
の豊富さ加減を指すらしい。必ずしも両者が比例するとは限らない。
面としては貧困でも、街路樹が並んでいれば「緑視率」は上がりうる。
それとは別に、いま僕の周囲は「緑被率」は高いのに「緑視率」は低い。

なぜなら街路樹が、すべて“黄葉”したイチョウの樹だからだ。

紅葉ではなく黄葉、というと札幌、そしてニューイングランドを思い出す。
去年ボストンで買った濃紺のハーフコートを数日前から着ているし。
ボストンに留学したら、さぞ楽しかろう、とニセ学生ごっこをしていた
身には、とても面白かったのが↓この本。

■田中宇/大門小百合『ハーバードで語られる世界戦略』(光文社新書)

夫婦交互に章を受け持つという編集スタイルが成功していて興味深い読み物
に仕上がっている。“アメリカへのアンビバレンツ”という思いっきり現在的
な問題を夫婦が体現してくれるのだから面白い。タイトルは大仰だけれど、
わりと若いインテリ夫婦のアカデミック・ミーハー的ボストン滞在記という
感じで読みやすい。だいたい僕がネットで田中宇氏の文章を読むようになった
のもボストンの「知のディズニーランド」的生活を書いた回がきっかけだった。
野良猫のような頻度でエゾリス風のリスが、ちょこまかしている芝生の街。

年に一度くらいしかない観光旅行のチャンスを、アメリカ東海岸、ついで
今年の夏はオランダに注ぎ込んだ背景となる流れを、↓この本なら誰にも
わかってもらえるかもしれない。

■川北稔編『知の教科書 ウォーラーステイン』(講談社選書メチエ)
 世界はひとつのシステムである。
 「ヘゲモニー」「周辺」「反システム運動」
 といったキーワードを用いて、
 近代の仕組みと成り立ちを明かすウォーラーステイン。
 資本主義とは何か、人種とは何か、学問とは何か−。
 彼の思想を基礎から平易に解説し、
 その可能性を読み尽くす格好の入門書。

いまや「メチエ」こそ、“新書マニア”を自称していた僕の注目株(^^)
乱立する新書界は、著者を使い尽くすだけで、ろくに発掘したり育てたりする
暇も意欲もないように見える。『知の教科書』という一寸気恥ずかしい名前の
シリーズは、文化系の学部生を対象にしたものなのかな。悪くない企画だと思う。

飼い慣らされたガクモンの“安全”で“スタティック”な匂いを感じ取ったなら
『知の教科書』など放り投げて、↓これを手に取るべし。

■副島隆彦『テロ世界戦争と日本の行方 アメリカよ、驕るなかれ!』(弓立社)
 http://soejima.to/index.html

もともと小室(直樹)系、英語系からだから、この著者の本とのつきあいは古い。
できればウェブの文章をまんま集めたこの本の前に、過去作を一冊読まれると
ベターだろう。世界の富、利権、支配構造。江戸時代の蝦夷地で起こったことは
現在の世界でも他人事ではない。『ヌナブト』を読んで「周辺」の“現場”へ
目を向けてみる、そして逆に副島本で、思いっきり大上段から思考してみる…。
一方をやる人は多い。両方に届く想像力が欲しい、と思うと疲れるハメになる。

さぁ、今夜も『動物のお医者さん』再読運動に身を投じてから眠ろう♪



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