隠喩と暗喩の対話

日々の心象を抽象的な言葉で。隠喩のはけ口、いわばポエム。

目次前日翌日

2001年10月30日(火) :天国への階段

引き続きfra-foaよろしく。



不落老人が今日も報告に目を通す。

FRAC-6808ee808d7b43b673349897f00f5e84の性格はもうプログラムどおり直らんか。FRAC-5cbd3f6c1e1b61a2e9089f6d7a3ffc36の肥満もか。これ以上経費を無駄にするわけにもいかん。処分しておけ。細胞のサンプルをとり忘れるんじゃないぞ。

ふら、くり、むーん。不落老人の遺伝子を持った若きクローン。幾百の失敗作から選りすぐられた影武者たち。



ぬ。BS漫画夜話、昨日は「魁!男塾」だったのか!ガッカリ(´Д`;)

ぬ。椎名法子の出番は今週で終わりか!ガッカリ(´Д`;)

ぬ。ダークロード。おぬしは何者だ!(・∀・)イイ!

ぬ。風呂場の明かりが切れた。暗いけど然して支障は無い(-_-)

そんなことはどうでもいい。あの男は。さんざん俺を弄びやがって。おもちゃのマシーンと同じようにしか思っていないんだ。憎いあいつを殺してやる。いつかあの山に隠したお前の秘密を暴いてやる。「メール送信」ボタンぽちっとな。



不落老人の前に姿をあらわした、二人の青年。姿かたちもコピーそのもの。不落老人は無表情で言い放つ。

FRAC-d67ae9f1c579acaaeb78a77398fb3342よ、お前を「くむ」と名づける。そしてFRAC-3e4000af3c9cc5522fd616fe73e5c126、お前の名前は「りん」だ。記憶を失って二日酔いになるような無様な真似は許さんぞ。しっかりやれ。

ふら、くり、むーん。お前らも処分されたくなかったらヘマをするなよ。



教会からコラールが聞こえてくるが老人は耳を貸さない。



ネクタイを締めた誰かが今日も暴力に正義と悪の境界線を引く。

博士の発明品に食らいついた氏んだ目の餓鬼どもが、痛みの無い暴力にマヨネーズとチョコレートパウダーを付けて食べる。

悪の暴力に分類された教師たちは今日も悩む。自分たちに責任を押し付けられたやむを得ぬ生徒の暴力に。

親は子供を殴らなくなった。子供は親を殺すようになった。

「100人のうち、6人が全世界の富の59%を所有し、その6人ともがアメリカ国籍」

テロは悪。報復は正義。



不落老人が今日も呟く。

愛しい娘よ。ピアノを弾いておくれ。ショパンを弾いておくれ。

嘆きの表情で「革命」を、悲しみの表情で「葬送協奏曲」を、勇ましい表情で「英雄ポロネーズ」を、凛とした表情で「幻想即興曲」を、物憂げな表情で「雨だれ」を、無邪気な笑顔で「子犬の割ルツ」を。私が眠りにつくまで夜想曲を弾いておくれ。お前の「別れの曲」を聴きながら死にたいよ。

せめて、目を開けておくれ。



どっきゅーん



ヤフーめいるが到着した爆音で、不落老人の心臓は止りそうになる。

続く。


目次前日翌日諸悪の根源

下駄不落斎(ふらくやん) |メイル諸悪の根源自己嫌悪(復刻版) profile


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