愛なき浜辺に新しい波が打ち寄せる
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ある平日の夜、真田が、カップ麺の品出しをしているとき、 (もうちょい詰めれるか) なるべく多く陳列しようと詰めてたら、 (あっ、無理だった!) カップ麺が一つ、棚から飛び出して落ちちゃう。丸いから転がるし。 「あっ」 そしたら、そうです、また、あの人に、郭に出くわしちゃう。落ちたカップ麺を拾って、見つめる郭。郭が見つめているのは真田じゃなくカップ麺だよ。新製品です。旨辛豚キムチ味。 (もう、何でこういう場面ばっかり…。でもなんか、こんな予感がしてた…ような?) 「…すみません!」 真田は、カップ麺を受け取ろうと手を伸ばすが、 「買いますので」 「えっ、あっ、そうですか? でしたら、こちらの、落としてない方を」 「別にこれでいいです」 「えっ…でも」 ほんとにいいですから、と言い残して立ち去ろうとする郭に、 「あの、すみません! 若菜結人から聞いてます。真田一馬と言います」 真田は、思わず呼び止めて、いきなり自己紹介とかしちゃう。 「結人から聞いてます。郭英士です。それより、(レジを指差し)お客さん」 「あっ」 慌ててレジに駆けてく真田。 そして、やっぱり、郭はいつの間にか、隣のレジで会計を済ませて出てってる。 (またこのパターン…。カップ麺似合わない…。しかも旨辛豚キムチ味…) そして、また、お礼言えてないですよ。ちなみに、郭は、家庭教師のバイトの帰りです。 二度あることは三度ある。真田は何か、運命的なものを感じてる。郭は、ますます、「ほんとにこの人は大丈夫なのか」って思ってる。真田は帰り道、郭のことばかり考えてしまう。 もしも、もしもだけど、あの人が女の子なら、または、自分が女の子なら、これは、恋と呼んでも差し支えないのかもしれない。でも、そうじゃないから、この気持ちは、感謝、尊敬、憧れ、…好意…。でも一番は、申し訳ない、って気持ちだけど。 次会えたら、今度こそ、ちゃんと、ありがとうって言わなきゃ。 郭が買ってったカップラーメン、真田も買ってみた。そして後日、食べた。辛いというより、味が濃くて、美味しいとは感じられなかった。無理して食べきったのに、不思議な満足感がある。あの人も、これを、自分と同じものを食べた(食べる)のだろうと思うと。
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