愛なき浜辺に新しい波が打ち寄せる
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土曜日、今日のシフトは、早朝から昼までだ。真田は、早出が好きだった。6時からの勤務で、5時に目覚ましをセットしていたが、目覚ましが鳴る前に目が覚めた。早い時間なのに、外はもう明るくて、犬の散歩をしている人もいれば、通勤中らしき人もいて、一日は動き出している。自分の一日も動き出してる。 (時間あるし、今日は歩いて行こう) あ、いつもは自転車です。
あまり忙しくないまま、午前中が終わろうとしていた。いつも納得いかないのは、客が少なくても、すぐにゴミ箱がいっぱいになることだ。家庭のゴミが普通に入ってる。でももう、それにも慣れてしまった。 (上がる前にゴミ捨てとこ) それで、ゴミをまとめていたら、 「おーおー、頑張っとるねー。飲みかけの缶コーヒー、そのままポイしていい?」 それ、一番嫌なパターン。 「ゆう、」 振り返ると、結人の後ろに郭がいて、言葉に詰まってしまう。 「おつかれさま」 「あ、どうも…、こんにちは…」 何故ここで、こないだはありがとうございます、と、さらっと言えない。もう、気持ちが深くて、そんな簡単には、ありがとう、が言えなくなってる。言わなきゃなんだけど。 「お前、何時まで?」 「12時。もうすぐだけど」 「ふーん、じゃ、これからうち来ねえ? なんか適当に買って、うちで食おうぜ」 (それって、三人で、ってことだよな? そんな、急に言われても…。心の準備が…) 真田は動揺する。郭は郭で、結人の提案にちょっとびっくりした(聞いてないから)けど、それは顔には出ない。 「いや、俺は、ちょっとこの後、用事があって…」 「ふーん、そー。ざーんねん。じゃ、また今度な!」
バイトからの帰り道、真田は後悔する。咄嗟に断ってしまったけど、「うん」って言えばよかったかも。行けばよかったかも。でももし、もう一度あの場面になっても、思わず断ってしまう気がしてる。
その後、若菜と郭の会話。 「あいつ、嘘つきやがったな。用事なんかないくせになー」 「あるかもしれないじゃない」 「いやいや、ないない」 「急に言うからだよ」 「あえての急にだぞ。事前に言っといたら、聞いたときからずっと緊張してそうだもん」 「結人の提案に、俺もちょっとびっくりしたよ」 「でも別にいいだろ? 一馬も呼んだってさ」 「俺は別にいいけど、急に言うから」 「いいじゃん。友達になってやれば。あっちはお前のこと、神様だとか王子様だとか言ってたぞ」(王子様なんて一言も言ってない) 「それはちょっと怖いよ」 「確かに(笑)」
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