| 2006年01月07日(土) |
「幽霊の家」byよしもとばなな |
この「幽霊の家」というお話は、「デッドエンドの思い出」の第一話に収録 されているんですが。
実は最初に読んだとき・・・あれはこの「デッドエンドの思い出」という本が 発売された当初だから、2003年の秋口くらい? その時は、私的には もう本当に仕事がきつい時で、人間関係も一部を除いて最悪、家族関係すら 微妙な感じで(まあ家族に言わせると、私が悪いと言われちゃうんだけど、 それでも私なりに大変だったと言うか。笑)、まあそんな感じで、私の心の 拠りどころは兄とかアブラーズとかひろあきくんとかだけ、しかも色々あって やさぐれていて(笑)、もう恋なんかしないと言うか、しちゃいけないんだと 思い込んでいた。この仕事を続けている限り、誰かを好きになっちゃったり したら、ただでさえ仕事できないのに余計に手につかなくなるから、誰も 好きになっちゃいけないんだと、自分で自分に呪縛・・・と言うか、暗示を かけていた時期だったのだが。(でもその時期に、会社のソフトボール大会で 今好きな人を初めて認識して(=顔と名前が一致して)、「かーわいい」とか 思ってたんだよね!笑 だから今思うと、何らかの予兆はチラっとでも、 もしかしてあったのかも?しれないが。) まあ話を戻しますが、とにかくそんな時期に読んだこの「幽霊の家」、 最初に読んだ時は、ほとんど私の心に響いて来なかったのです。
ところが最近、ばななさんの最新小説「みずうみ」を読んで、その寂しさの 色とか、孤独な感じとか、女の子の方がどこかヒーロー的な感じとかが、 なんとなくつながる感じがして、「あのデッドエンドの思い出の中に入ってる 一番最初の話をそのうち読み直そう」と思っていた。 それをやっと今日になって読んだら、それがとても良かったのだ。
若い二人の、恋じゃないと錯覚するくらいの恋、もしくは通り越した愛みたい なもの。そんなものが描かれている感じがした。 それと、キーポイントとして、幽霊になって出てくる老夫婦。 日々の積み重ね、その退屈さと、実はぜんぜん退屈でもつまらなくもない、 その感じ。それに気付く感じとか、とてもいいな! と思ったのは、私が ちょっとでも成長したってことなんだろうか? 家が店をやっていて、それを継ぐかどうかに悩む感じも。 読んだ当初に、ちょっとなじめなく思っていたセックスシーン、そのばなな さんにはちょっとめずらしいとも思える、具体的な書き方とかも。 あらためて読み直すと、ああ、そういうことだよなあ、わかるなあ。と思う ところがあった。
別れはつらく、その別れを前提として一瞬付き合うこともまた切ないものだ。 でも、運と縁がもしあったら、必ずまた会える。 人生ってそういうものなんだろうとも、思える。
ちょっと私的に(いつも?)見失ってた何かを、取り戻す感じもした。 とてもよかったと思う。今読んで。 そして平凡で退屈に見える毎日でも、単純な人生に見えても、「実は七つの海を 冒険するのに匹敵する巨大な流れに属する何かなのだった。」というラストの 文章は、もう本当にその通りだなあとそう思って、いい気分で読み終わった。 本当にいい小説ってそういうものだという風にも、思います。
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