日記

2003年06月04日(水) シルヴィ・ギエム

すばらしいものを観た。
世界でも指折りのバレリーナであるシルヴィ・ギエムの日本公園、“三人姉妹”
と、“マルグリットとアルマン(椿姫)”。
同時に、東京バレエ団の首藤康之と斎藤友佳里の“カルメン”もあり、私は
首藤康之という人もかなり気になっていたはずなのに、あまりのギエムの凄さに
圧倒されて、“カルメン”の印象がほとんど残っていない程だ。

とくに“三人姉妹”が良かった。
チェーホフ原作の戯曲を、バレエ化している。
曲のすべてにチャイコフスキーを使ってあり、クラシックの中でチャイコフ
スキーが一番好きな私の好みにばっちり合っていたというのも確かにあるが。

何より、シルヴィ・ギエムという屈指のバレリーナの存在が、すばらしかった。
何人かと一緒に踊っていても、一人だけ全然違うと思わせる。

ひとり、別の場所にいる。
そんな感じがものすごくするのだ。

そのスタイルの完璧さ。
軽さ。テクニック。演技力。
身体のやわらかさとは裏腹に、たたえるムードは硬質で怜悧。
・・・その、比類の無いうつくしさ。そして優雅さ。

他のだれとも比較できない位置にいる。・・・そんな言葉が、頭に浮かんだ。

昔、兄が、スターとは、運と才能と実力を兼ね備えた人のこと。と言っていた
けれど。
本当にそうだと実感した。

私は5年くらい前に、20世紀を代表するプリマであるマイヤ・プリセツカヤ
さんの、70歳を超えて踊る“瀕死の白鳥”を生で観ることが出来たとき、
その手の動きのすばらしさに感動してしまい、思わず涙したことがあるのだが。
ギエムも、その指先の動きの美しさから、他者の追随を許さない所に立っている。
と思った。
指先まで死んでいない。
それどころか、あふれる情感。っていう感じすらしたのだ。

バレエを観るとき、私は全体の構成も同時に楽しみたいので、基本的に2階席
から観るのが好きなのだが、今回ばかりは近くで観たいと思わせた。
そして、もう一度観たいと思わせた。

世界ってこういうものなのか。こんなにもすばらしいものがこの世にあるのか。
なんて。大袈裟だと言われるかもしれないけれど、そんな風に思って、思わず
息をつめて見つめてしまう。そんな感じだった。

もう本当にすばらしいものを観た。
観れて良かった。って、それだけ。


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dona-chan