しむちゃんのつれづれ日記
文字サイズは「中」が最適なようです。

2003年11月24日(月) 丸山茂樹の密着取材を見ていて思い出したこと

「努力し続けて少しずつ自分の能力を上げていく。タイガーのような天才でない自分は
そうしていくのがオレが生きていくやり方。」

合理的習得と非合理的習得。
言い替えると、最初から手順を教えてあげて効果が早く表われるやり方と、熟練工の
ように見よう見真似で時間をかけて体で覚えるやり方。
仕事の覚え方、教え方についての考え方です。

新入社員の時に同期のヤツと議論したことです。
同期のヤツは合理派。自分は体得派。

今に至っては、いずれも一長一短があるので二極論で結論付けるのはよくないと考えて
いますが、教える相手のレベル次第といったところでしょうか。

問題は、教える側と教えられる側の認識の違いです。
教えられる方は、当然教えてくれていいと思っていても、教える方は当然知っている
ことだから教える必要はないと考えている場合には、なんで教えてくれないのだろうか、
あるいはその逆の時に、なんでそこまで言われなきゃならないんだと思いますよね。

人によってそのレベルに差がありますから、誰にでも同じことが通用するわけではあり
ませんが、会社の中では最低限のことを伝えるだけで、それ以外のことは自分で覚える、
勉強して知る、といったやり方が一般的です。そして繰り返し経験することで体に染み
込ませる。

機械的にやればいいことは限られていますから、それ以外は時間が解決してくれること。
与えられたことをやる立場まではそれでいいのです。

同期のヤツはそれが気に入らなかった。
時間が経てばと言うが、今教えてくれれば今分かるものを、と言うのです。
これはどういうことかというと、彼は学部を主席で卒業した優秀なヤツ。
だから一度教えてくれれば理解できる、経験なんか必要ないというプライドがあるの
です。自分はそれをプライドとは言わずに思いあがりだと考えました。
学校での勉強と会社での仕事とは質が違う、とね。

でも彼がこう言う背景は分かっています。
それは職場環境が違うこと。自分の職場は事務系学卒の先輩が複数いる職場。
でも彼の方はそのような先輩はおらず、現場のオジサンたちばかり。ということは、
学卒を育てようという環境ではなくて、あくまで自分たちが教わったやり方で教えよう
とするもの。つまり職人気質の古い体質ですから、効率を良くして、より多くの仕事を
片付けるというよりも、「オレの仕事」を大事にするやり方です。
「オレの仕事」とは、他の人にはできないオレ流のやり方。だからそう簡単には他の人
にはそのやり方を教えない。教えたらオレの仕事がなくなるからです。

効率を求めれば、オレの仕事は次の人に譲って、「オレ」はより高度な仕事に向かって
いくはずなのですが、オレの仕事以上の仕事はないと思っていますから、そのオレの
仕事を失えば次にやることがなくなるので、自分の領域を失ってまで他人に譲るように
なることを排除します。会社のためでなく「オレ」のためにね。

「オレ」と若手が圧倒的な能力の差があり、時間をかけないとどうしてもその領域まで
到達できないのとは違い、事務屋の仕事の第一段階は仕事のやり方を覚えること。
第二段階は従来のやり方での問題点を洗い出すこと。第三段階はその問題点を解決する
こと。第四段階は従来以上の結果を出すことであり、いかに時間をかけずにこれらを
達成できるかです。

現場に近い職場環境にいる彼の立場では、時間の進み方が違うのです。
そのことに彼はイラだっていた。そういう背景があることも分かっていました。

能力のあるなしに関わらず、プライドのある人は自分(の仕事)以外のことを見ようと
しない傾向にあります。見ても自分の方がよりいい仕事をしていると考えてしまいます。
そこに他人を吸収しようと考える余地はありません。

ひとつの形を作ってしまえば、その枠に囚われて、枠外の領域に飛び出そうという考え
には至りません。同期のヤツの考えには、その枠に早く入りたいと自分には見えたもの
だから、有能な人間の考えることではないと思いました。

思いもよらないこと、人が経験もしていないことを解決していく能力。
個人としてのプレミアムはここにあると思っていますから、すでに他の人がやっている
ことは素直に流されるか、他の人に任せればいいだけのことであって、そこに固執する
必要は全くないと思います。

人がやっていないことは合理的に習得できない。見よう見真似でも習得できない。
だからこそKKDが大事になってくる。(K=経験、K=勘、D=度胸です。)

素直に流される一方では、なぜこうしているのかという疑問を持ち、それを理解しな
がら覚えていくことが大事で、その疑問を解消するためには当然ながら勉強も必要です。
その積み上げが仕事の本質をつかむ土壌となります。

経験の積み上げが仕事の勘を養い、それが自身の度胸をつけていくことになる。
そう思っていますから、時間も当然かかります。いきなり結果を求めれば、どこかで
落とし穴にはまってしまい、それに気付かずにムダな時間が過ぎてしまうと思っています。
そのムダな時間を作ってしまうことを自分は合理的でないと考えるわけです。
能力の高い人材を作れない会社にとってもいいことではありません。

このことは恐らく時間の考え方が違っているのであって、合理的・非合理的ということ
では片付けられないのでしょうね。まるで政治における経済政策のようです。つまり、
短期的に経済を復興させようとするか、長期的に経済を健全化するかの違いです。
目的はどちらも経済を復興させること。前者は将来に、後者は目先に不安が残る。
この点についても合理性だけでは説明できません。

合理性には他の観点もありますから、その点に付いてはまた別の機会に。

はい。今日は曇り。(東京地方)


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