MOTOYANの日々題
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2020年11月10日(火) 原油入り温泉

30年ほど前の夏に目的地もなく車で北上して6日後に北海道の稚内までたどり着いた。ついでに礼文島・利尻島まで足を延ばした。出発するときに東シナ海にいた台風とそこで出会って大荒れの船の旅だった。その日のうちに稚内に帰り着いてそのまま南下し始めた。
夜も遅くなり、宿を探し始めたが北海道の広大さのためになかなか集落が見つからない。9時過ぎになり、焦っていると温泉旅館の看板がある町にたどりついた。公営の宿泊施設のようなところに飛び込んだが、満室だったが、親切にもいくつかの宿に問い合わせてくれて空きのある宿を紹介された。
かなり古い建物で狭苦しい室内で6畳の和室に通された。さっそく温泉に浸かることにしたが、お湯が黒い。温泉のイメージは透明・白濁・鉄分の入った薄茶色だったので黒いお湯のしかもかなり独特なにおいがする。先祖伝来のたれではないが、お湯を長く入れ替えていないのではないかと思えるほどの「汚い」お湯だった。
しかし、旅の疲れとからだの汚れはとれたようだったので次の朝は突然の宿泊への対応に感謝して旅を進めた。夜のことだったので温泉の名前も宿の名前も覚えないままだった。
テレビで北海道の温泉特集をやっていた。北海道は泉源の数は日本一で登別温泉をはじめとして有名どころが多い。そして日本最北端の温泉地で世界に2か所しかない泉質の「豊富温泉」が紹介された。何が珍しいかというと原油の混ざった温泉でアトピー性皮膚炎とかの皮膚病に効能のある湯治場とのことだった。
この温泉だと30年前の記憶がよみがえった。あの黒くてにおいのある物質は原油だったのだ。偶然ではあるが、そんなレアな温泉に浸かれたことを今更ながら感謝する次第だった。


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