連載を読んでいてわくわくする漫画がある。 この年になっても、次が楽しみな漫画があるのは幸せなことだ。 連載終了したけれど、『西洋骨董洋菓子店』。 『ヒカルの碁』『バルバラ異界』読みきり連載の『百鬼夜行抄』と『雨柳堂』 『テレプシコーラ』は、とびきりり楽しみなお話だ。 あの山岸さんが描いているのに、少女マンガの王道をいっているんだから。
バレエ団の公演で、千花ちゃんは『くるみ割り人形』のクララに抜擢されたのに 六花ちゃんは本部のクラスの中でただ一人何の役ももらえなかった。 レッスンのあと、「あなたは帰ってね」と先生に言われてしまう。 先生の気持ちの問題や、バレエ団の運営の問題や、力関係の問題が 複雑にからんでいるのだが、そんなことは子供にはわからない。 「だけど涙が出ちゃう。おんなのこだもん」という 昔のアニメの主題歌そのものの展開。(バレエ違いだが) しかし周囲の人たちのバックアップもあって 六花ちゃんは、なんとか負けずにがんばっている。
華やかな姉と大人しい妹。やさしい先生と厳しい先生。 羨望と嫉妬の中、好きなことのためならがんばる少女達。 どんなに多様化が進んで、洗練されていっても マンガのおもしろさは初期のあざといばかりの物語にあるんじゃないか。 24年組は既成の枠を越えて世界を広げてくれたけれど 物語を少し見失わせてしまったかもしれない。 でも、山岸さんは戻ってきた。 しかも、昔に退行したわけではない。 これまで描いてきたものの蓄積の上に、お話が乗っているので このままで済むわけがないと読者の期待は高まるばかり。 それに応えながら、山岸さんは物語を続ける。 千花ちゃんは羨望をはね返し、六花ちゃんは逃げなくなった。 空美ちゃんはいったいどこにいるんだろう。
|