私は少年誌や青年誌をまったく読まないので、ネットのお友達に貸してもらわなければ 一生読むことはなかっただろう。『大阪豆ごはん』 とてもおもしろく読めました。 コマの形が変わらない、1ページに6コマで、右→左、上→下の順番に進む。 セリフもキャプションも全部手書き文字。絵は、シンプルで、細くなくて、暖かい感じ。
大阪の街中にある古い日本家屋(料亭のような数寄屋造り)に住む家族の話。 ばりばり仕事をする両親は手間のかかる家を出て、マンションに住み、 家には、長女とそのダンナ、次女、三女、末っ子の長男とネコ一匹が住む。 長女は専業主婦で、働き者。てきぱき家事をこなして、お料理も上手。 ダンナは、北陸生まれの建築士。若いのに建設会社でよいポストについている。 次女はファッションディスプレーの仕事をしている。立体造形の才能があって、 気に入った服を自分で作ってしまう。 三女はモータースポーツ関係のお仕事。 末っ子の長男は、芸大でバイオリンを学ぶが、どこから見ても「お気楽」でぼーっとしている。 しかし料理は上手でイカゲソが好物。
この家族をとりまく仲間もみんな個性的。 大金持ちで美術商を営む大清水さんとか、ドイツ人の母と大阪人の父とのハーフの大橋さんとか どこから見てもあやしい社長さんとか、女に手の早いのとか、オタクな新入社員とか。 身長二メートルのオカマのおねーさん(?)とかとか。
これらの人々がすべて大阪弁を話すところがポイント。 こうやって書き出してみると、意外におしゃれで、トレンディー(死語)な要素満載なんだが 大阪弁は全てを破壊する。いや、無力化する。ひっくり返して違ったものにしてしまう。 彼らは、ロンドンでも、ニューヨークでも、長崎でも、この風景には似合わんなといいながら 大阪弁を話す。買物の時には値切り倒す。どこへ行ってもマイペース。 大阪の中のゴージャス。同じ日本でも違う世界のようだ。
読んでいるうちに、登場人物が実在しているみたいに思えてくる。 大阪の街にはああいうお家があって、わいわい言いながら暮らしているのかもしれないと。 たくさん人が入ると床が抜けてしまうくらい古く、夏は暑くて冬は寒いこの家で ネコと一緒に涼しい風が通る場所を捜して、所かまわず昼寝をするのは さぞ楽しいことだろうと。
サラ良イネス_index http://www2.plala.or.jp/spring/saara/index.html
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