『ヘヴン』が気に入ったので、遠藤さんの作品を過去に遡って読んでいます。 『マダムとミスタ−』全五巻(以下続刊?)を読んで思ったことなど。
大金持ちのお年寄りと財産目当て(というのは表向き)で結婚して 三ヶ月後に未亡人になった元メイドのグレースと その家敷に代々執事として務めている若くて有能なグラハムのお話。 グレースが「マダム」でグラハムが「ミスター」
派手ではないけれど、小さな気持ちを大事にして描きこんであります。 ほんの少しの「不思議」をお話にまぜるのも上手。 イギリスが舞台という感じがあまりしないところが少々もの足りないかしら。 ご主人さまと使用人とか、玉の輿とかいった話は 表面的にはそれを維持したまま力関係が逆転したりするところが 醍醐味だと思うのだけれど、そこのところが少し曖昧。 グラハムの前髪がメガネにかかるほど長いのが気になるのでした。 もっとなでつけて、お堅い感じだといいんだけどなあ。
この5冊を含めて10冊くらいを続けて読みましたが 全編を通して、底にあるのはまっすぐな性善説のように思えますが これのどこがどう変わって(あるいは、変わらなくて?) 『ヘヴン』へ行ったのか?というのが知りたいわ。
だけど、こんなにたくさん本が出ていて、わりと好きなタイプなのに すっぽり私の守備範囲から抜け落ちているのは 空白の10年間の根は深いということでしょう・・・
|