よしながさんの同人誌。最初は、商業誌と違う大胆な描写に驚きましたが、 この頃ではすっかり見慣れてしまいました。 見慣れてしまうと、手をかえ品をかえ、のバリエーションを よく思いつくなあ・・・と感心してしまいます。 そして、何度でも読み返すものは、いろんな要素が絡み合ってる お話かな、と思うようになりました。
『西洋骨董洋菓子店』は、本編が複雑なぶん同人誌はシンプルで 主に、小野のゲイライフのお話になっています。 だもんで、三冊とも相手が違うので、けっこうその場限りのお話。 これは、何度も読み返すものではないみたい。
私が好きなのは『銀河英雄伝説』のパロディのシェ−ンコップ×ヤンのお話です。 お話はふたつあります。ひとつめは、会戦終結後のヤンをシェ−ンコップが 「一度だけ」といいながら襲うお話。ふたつめは、結婚後のヤンをシェ−ンコップが やっぱり無理やり襲うお話。 これのどこがいいのか、というと、ひとことではいいにくいんですが、 いやよいやよも好きのうち的おもしろさと言いましょうか・・・
軍隊の中で、上下関係は絶対です。 しかもシェ−ンコップはヤンの軍事的能力を最大限評価して尊敬している。 にもかかわらず、敬語をつかいながら襲うところが何ともおもしろい。 そして、結婚した妻への後ろめたさを感じつつ、瞬間溺れてしまうヤンというのもおもしろい。 ただし、一応、この二人の間には暗黙の了解があって、 シェ−ンコップ側には、ヤンへの尊敬と愛情が、 ヤン側には、上官としての権力を行使しないという余裕と、やっぱり愛情があるんですね。 その上で、確かシェ−ンコップは貴族で、ヤンは平民だったと思うんですが シェ−ンコップの貴族的な悪趣味とわがままさが全開で話は進む。 おそらくそういう世界には全く無縁のキャラであるヤンがそこに絡め取られていく様子がかわいい。 ここまで場を作ったら、あとは、作者のさじ加減でどんな話にもなるはずです。 どちらかが、バランスを崩して身を滅ぼす話も描けるし ふたりとも本気になって、ふたりの世界になってしまうこともできる。 しかし、お話はバランスを崩さない。 「騎士はやっぱり姫君の前にひざまづく」
基本はやっぱりベルばらでしょうか? 制約があった方がおもしろいんですよね。 身分とか不倫とか時間とか。そういう要素を料理することが よしながさんはとても上手です。
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