たまたま古本屋さんのワゴンセールで拾った『愛のひみつ』がおもしろかったです。 初出が何年かわからないんだけれど、30年くらい前の作品じゃないかな。 集英社漫画文庫本で文庫自体が1976年発行だから、もっと古いかも。 武田さんの作品は、いくつか読んだだけれども、 どれもおもしろくて、独特の詩情があって、暖かくて好き。 セブンティーンに載った作品には、おねえさん向けの問題作もあるけれど。
『愛のひみつ』は身寄りが無くて、親戚のラーメン屋さんの出前を手伝いながら 暮らしている貧しい少女が、町で自分とそっくりのお金持ちの少女を知り合って 一週間入れ替わるという話。 お金持ちで家族もいて大きなうちに住んでいるのに、金持ちの少女の家の中は冷たい。 金持ちの少女が原因の事故で片腕を失ったお姉さん。 屋敷の離れに隠すようにして育てられている知恵遅れの弟。 貧しい少女は持ち前の明るさで家庭に明るさを取り戻していくけれど 一週間が過ぎ、もとの生活に戻る。 (金持ちの少女は全然反省していないまま終わるので、ちょっと話としてはしりきれとんぼ)
知恵遅れの弟は切り紙の才能があって、まるで生きているような蝶を作る。 その場面が私の記憶のものおきの、すみっこに残っていました。 読んでいて、その場面とおぼろげな記憶がシンクロして楽しかった。
それはさておき、たまたま山岸作品を続けて読んでいるのですが、 最近読んだ作品ともこの話は呼応しました。 山岸さんの作品に『愛天使(セラフィム)』いう作品があります。
離婚した母と暮らしてた大学生の女の子が、母の死後、再婚した父の家庭に身を寄せると そこの家の離れには自閉症の少年がいたという話。 女の子は少年の心を開かせるけれど、少年は水の中へ天使とともに消える。 (ちょっと『水の中の空』を思い出させるわね) しかし、ラストには女の子と義母との和解があるのでほっとさせられます。
武田京子、水野英子、わたなべまさこ、西谷祥子 昭和30年代以降活躍している少女漫画のパイオニアたちの作品は いろいろと姿を変えて、後の少女漫画の作品に影響を与えているんだなあと 改めて思うのでした。
追記 セラピムのまちがいでした。 セラフィムでは山田ミネコのパトロールシリーズになってしまう。 (シャドウが好きなんだなあ。小角も好きだけど)
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