坂田さんの作品は雑誌で読むときと、単行本で読むときでは印象が違う。 普通のまんが雑誌に載っている時は、その画面の密度の薄さから 他の濃い作品の中のオアシス的役割を果している。
でも連載がまとまって単行本になると、その内容の充実度がはっきりと見えてくる。 単行本になって画面が小さくなると、普通の作品は絵の迫力が減ってしまうのだけれど 坂田さんの場合はちょうど良くなるのかしら。画面の密度が適正になって そうなることによって、内容の密度もはっきり見えてくるのかもしれない。
『マーガレットとご主人の底抜け珍道中』は 好奇心のかたまりのようなマーガレット奥さんと、 フツーのご主人の旅行記と、生活雑記。 大きな事件は起こらないけれど、いろいろなアクシデントが楽しい。 そして、風や波や月や星や、不思議なものがたくさんつまっているお話。 麦の穂が風にそよぐたびに見えかくれする遺跡の模様。 呪いをかけられた海の中のルスの都。 ペンギンの幽霊。わけのわからない日本のイメージ。 物事に動じないマーガレット奥さんはお料理が上手。 振り回されながら、楽しくてしょうがないといった感じのご主人。 本を読んだあとに幸せな気分になれます。 雑誌で読んだだけの方は、ぜひ、まとめて読んでみてくださいね。 (文庫2冊で出ています)
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