潮出版社から7年前に出版されて、しばらく手に入らなかった 岡野版『コーリング』がマガジンハウスから復刻されました。全3巻。 7年前に出た時に書店で手にとりながら買わなかったのは、 原作を読んで手に余っていたから。 マンガ版でも読むのがつらい、と思ったせいかもしれません。
原作はパトリシア・A・マキリップの『妖女サイベルの呼び声』 イルスの竪琴で大好きになり、サイベルの世界の雪の降り積もった山のしんとした静寂も とても好きなのだけれど、この話は20年前の私にはきつかった。 サイベルが自分のプライドを打ち砕かれるシーンがつらい。 それを回復するために、愛するものを失うかもしれない復讐に 駆り立てられるところもつらい。 しかし、ゆっくり読めば、そういうものからサイベルが開放される 再生のお話なのですが、、、
岡野版では、生真面目なほど原作に忠実に、茶々を入れずにマンガ化されています。 実は通して読んだのはこれが初めてですが、私も少しは大人になったのか きついだろうと思っていたシーンさえ、しみじみ味わって読めました。 冬の大気のようにぴんと張り詰めて美しい物語。 それを、絵で見ることができるのは幸せです。
ところで、かえすがえすも残念なのは、CDがついていた潮出版社版を 入手しなかったことです。 誰か持っていたら貸してください〜
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