「エースをねらえ!」 最初は10週くらいの予定の連載だったのじゃないかしら。 高校の部活でいじめられつつも、やがて認められる岡ひろみ、くらいの話。 それが全国版の話になり、やがては世界へはばたく話になっちゃった。
私はテニスをしようなんてこれっぽっちも思わなかったけれど、当時楽しみに読んでいた。 何がそんなに読者の心をつかんだのかしら。今、思い返しても、何も残っていない。 (読み返せばいいんだけど、手元に本がない) 確か、それまでのスポーツものにはない、哲学(?)があったのが受けたんだろうか。 宗方仁語録。 女の成長を妨げるような愛しかたをするな。 女であることを超えろ。 だっけ、うろおぼえ。
藤堂さんはカッコよくて、尾崎さんも千葉ちゃんも好きだった。 大人の宗方コーチは厳しいながらも、ひろみのことを大事にしているところが それまであまり無いパターンだった。 その1で紹介した評論では、肉体と精神の問題で語られているけれど、 私は山本さんの漫画のロマンティックな部分が好きだった。 だから初期短編も好きだった。
本筋のテニスももちろんおもしろかったが、今印象に残っているのは ひろみをかばって、前に立った藤堂さんのシャツの白さだの、 学園祭の時に渡された、優勝メダルだの、手編みのマフラー渡した時の 「うれしいよ、ほんとうに」だの、雨の中で、抱き合ってる時の見開きのページだの (お蝶婦人の「雨」「涙?」のシーンも好き)だったりする。
書いてるうちに思い出してきたぞ。だから、妙な精神論で高尚になりすぎて みんなで岡ひろみを育てようなんて話は好きじゃなかった。 そうだ、女は男が支えなければならない。という考え方にいたっては、 あれれなんじゃこりゃ、と思った。 だから、岡ひろみは全然魅力がない。ひろみに自分を重ねて、いろんな 格好のいい男の人が支えてくれる状態がうらやましい、という読者心理が 当時あったかもしれないが。 昔ははっきりわからなかったけど、あの作品の中で一番魅力的なのは お蝶夫人だったかもしれない。父親の支えがあるとはいえ、彼女は自分の足で 立っているようにみえる。
岡ひろみは一体なんだろう。自分の意志があるんだろうか? 周りの力でサポートされて伸びていく素材以上の何かがあったけ? なのになぜ、みんなが岡ひろみに惹かれるのか。、、、謎。
|