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漫画関連ファイル


2000年03月30日(木)
山本鈴美香 その2

「エースをねらえ!」
最初は10週くらいの予定の連載だったのじゃないかしら。
高校の部活でいじめられつつも、やがて認められる岡ひろみ、くらいの話。
それが全国版の話になり、やがては世界へはばたく話になっちゃった。

私はテニスをしようなんてこれっぽっちも思わなかったけれど、当時楽しみに読んでいた。
何がそんなに読者の心をつかんだのかしら。今、思い返しても、何も残っていない。
(読み返せばいいんだけど、手元に本がない)
確か、それまでのスポーツものにはない、哲学(?)があったのが受けたんだろうか。
宗方仁語録。
女の成長を妨げるような愛しかたをするな。
女であることを超えろ。
だっけ、うろおぼえ。

藤堂さんはカッコよくて、尾崎さんも千葉ちゃんも好きだった。
大人の宗方コーチは厳しいながらも、ひろみのことを大事にしているところが
それまであまり無いパターンだった。
その1で紹介した評論では、肉体と精神の問題で語られているけれど、
私は山本さんの漫画のロマンティックな部分が好きだった。
だから初期短編も好きだった。

本筋のテニスももちろんおもしろかったが、今印象に残っているのは
ひろみをかばって、前に立った藤堂さんのシャツの白さだの、
学園祭の時に渡された、優勝メダルだの、手編みのマフラー渡した時の
「うれしいよ、ほんとうに」だの、雨の中で、抱き合ってる時の見開きのページだの
(お蝶婦人の「雨」「涙?」のシーンも好き)だったりする。

書いてるうちに思い出してきたぞ。だから、妙な精神論で高尚になりすぎて
みんなで岡ひろみを育てようなんて話は好きじゃなかった。
そうだ、女は男が支えなければならない。という考え方にいたっては、
あれれなんじゃこりゃ、と思った。
だから、岡ひろみは全然魅力がない。ひろみに自分を重ねて、いろんな
格好のいい男の人が支えてくれる状態がうらやましい、という読者心理が
当時あったかもしれないが。
昔ははっきりわからなかったけど、あの作品の中で一番魅力的なのは
お蝶夫人だったかもしれない。父親の支えがあるとはいえ、彼女は自分の足で
立っているようにみえる。

岡ひろみは一体なんだろう。自分の意志があるんだろうか?
周りの力でサポートされて伸びていく素材以上の何かがあったけ?
なのになぜ、みんなが岡ひろみに惹かれるのか。、、、謎。