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2001年06月18日(月) 北方謙三『水滸伝1 曙光の章』

この作品には、吉川英治『水滸伝』を超えたのではないか、という評がある。
吉川英治を僕は作家の王様として仰いでいるので、なにぃと思った。
つまり吉川英治を超えた、とは小説に許される最高の評価なのだ。
僕にとってはね。
ぜひチェックしたいと思っていた。
それでなくても『水滸伝』は好きなのだ。
そして、読んでみたら……

すごい! いいぞ! これだ!
血湧き肉踊る男の物語だ。

北方謙三は、じつは今まで1冊も読んでいない。
現代日本を舞台にした「男」の物語なんて読みたかねえや。
と思っていた。
おかげでじつに贅沢な出会いを果たしたぜ。

中国の歴史の中なら男たちは、激しい抑圧に耐えて、不屈の闘志を見せる。
そして、兄弟より熱い契りの同志たち。
水滸伝の中にでてくる108人の英雄。
彼ら一人一人の性格や人生がていねいに書き分けられていくと、もともと骨太な物語が奇跡的な生命力を持って、現代の我々の前に浮上する…

と、別に帯のコピーを書いているわけではない。
とにかく面白かったのだ。

では、吉川英治との勝負は?

…残念でした。僕は吉川版『水滸伝』を読んでいないのでした。
今度読みます。

そして、この小説の最大の欠点は…、まだ完結していないこと!
最後まで読むには、たぶんまだ最低7.8年はかかるのだ。

あーあ。早く次が読みたいよう。

今度は北方版『三国志』でも読むか。


村松 恒平 |MAILHomePage