a fish called datsu -だつという名の魚-
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2001年09月12日(水) やりきれない

 今日、滋賀から遊びに来た友達姉妹が札幌に行くと言った。昨日からの台風による大雨で、特急が運休しているので、やむを得ずに空港まで送りにいった。そこでも、天候不順で飛行機が運休したり、到着が遅れたりしていた。私は二人が無事に出発できるのかが不安だったので、飛行機出発のめどが付くまで一緒に待つことにした。友達が飛行機の予約をくり返し取り付けている間、私は暇だったので、辺りの様子をそれとなく眺めていた。
 すると前の方のカウンターで、何だか見たことのある後ろ姿があった。服のセンスといい、髪型といい、昔好きだった人の奥さんにそっくりだった。遠くに住んでいる人だったので、私は他人かも知れないと思い、余り気にしないようにして、暇つぶしをしていた。だが、空港内のレストランに入ってみると、その人が男の人と一緒だったので、夫婦でこちらの方に来ているんだろうかと何だか落ち着かない気持ちになった。
 そういえば、その数日前に姉妹を連れて摩周湖に行った。摩周湖はものすごい霧に包まれていて、10メートルも先の物が見えない状態だった。そこで路駐をしたら、後ろから来たバイクに乗った人が、バイクから降りてこちらを何度もギロギロ見ていた。余程迷惑な停め方をしたから、かなり腹を立ててるのだと思って済まなく感じていたが、それはもしかしたらあの彼だったのかも知れない。バイクのナンバーは、彼の住んでいるところの物だった。
 勝手なものだが、私は自分から彼へのメール文通を絶った。それから手紙を数通送ったが、彼から何も連絡が来なくて、とても悲しかった。彼との付き合いを止めてからの3年間、彼のことを忘れようと、ある意味死にものぐるいだった。だから、(他人かも知れないが)空港で会ったとき、私の他の何者かになろうとしていた3年間は何だったのだろうかと心が疼いた。
 姉妹を何とか送り届けて、家に帰り着くと、とてもホッとした。その一方、この楽しかった数日間が終わったことや、空虚だった片思いを思い出し、その上、アメリカの同時多発ゲリラ報道から感じる不穏な空気など、様々な寂しさでとてもやりきれなくなった。


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