私季彩々
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寒冷前線が通過したような急な雨が、午後の弱くなりかけた明るさを覆った。すぐに止んだが、たっぷり吸い込んだ水分は冷機も一緒に閉じ込めて、秋の木々達を鏡のように映す黒いアスファルトに異世界を作った。
それに気付くのは、決まってこの頃の夜。オレンジ色の街路灯に、遮断機の下りる赤い点滅。アスファルトから立ち昇った冷たいウンディーネが、光源をぼんやりと浮かび上がらせる。車のヒーターがかかり始める頃、足元の不確かさがぼんやりと頭をよぎる。
ラジオからは、切れ目の無いインストゥルメンタルが流れる。終わりも無く、DJの差し挟む言葉も無い。こんなFMがあっただろうかと、不思議になるが、車は滑らかに進む。救急車がやけにゆっくり目の前を曲がっていく。 全てがゆっくりと、しかしスムーズに進む。時計は遅いが、ずっと早いペースで帰っているようだ。時計がゆっくり動いている。ただそれだけかもしれない。
今朝はほとんど眠れなかった。浅い眠りに怯えた夜のドライブは、眠気も襲わずにスムーズに流れた。気だるさは冷たい水の精と相性が良いのだろうか。けれど、きっといつか、見てはならないものに引き合わされそうな、そんな美しすぎる女性なのだろう。魅せられる畏怖に心が揺れるような、そんな気がする。
たぶん、そう遠くないうちに、雪が舞い降りることだろう。
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