私季彩々
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アメリカのテレビかと思うほどテロ事件一色の報道だ。当日はほとんど徹夜で見入ってしまったからライブの出来事がいかに緊迫したものかわかる。少ない情報を繰り返し伝え、確定できない推測を繰り返し、訂正は気がつかないうちに行われる。まさに混乱である。テレビというメディアが一瞬をどれほど引き伸ばして報道せざるをえないのか、常に映像と音声を流しつづけるという困難さを知る日々だ。
テレビも新聞もなかったら。
日が昇り日が沈む。腹が減り飯を食う。職場で人と会ってその話に驚くが合間の言葉では詳しい事はわからない。関心を惹起させるほどの話術でもない。そのまま仕事が流れていく。 彼は自らの家にある本に読みふける。妻の言葉に耳を傾け、犬の散歩に季節のうつろいを見る。
私が付き合った人の中にそんな人がいた。テレビはない。カーテンもない。曇りガラスから差し込む光は淡く、彼女は日とともに生活していた。けれどその寂光の中でも眠りについていた。不思議な雰囲気をもつ彼女に私は恋焦がれてしまった。
世の流れは絶えずして激変と暴落と殺戮に満ちている。映像は絶え間なくコメントは詰問的で無責任、夜は喧騒に満ち常に忙しく世界を飛び回る。
今テレビを消して電話を消して。ネットワークはこの窓から動かない。 その時私はどうなるだろう。その孤独に耐えられるだろうか。
曇りガラスの部屋は遠くなって随分長くなりました。
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