私季彩々
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内地では記録的な猛暑だというからそうなのかなと思っているが、北海道は冷夏なのではないだろうか? 山に行こうと天気をいつも気にしているのだが平野部でも雲が多い。山に行っても小雨交じりだろうからと敬遠しつつほぼ一月たってしまった。今週もだめっぽい。
水槽を買ったので、熱帯魚でもそのうち飼おうと熱帯魚屋さんに行ってみた。薄暗い室内は少し蒸し暑い感じだけれど、全面に並んだ水槽からこぼれる青く揺らぐ光が異次元にいるようなうつろな感覚を引き出させた。水槽の中を泳ぐ色とりどりの小さな魚達は私の姿に反応してすばやく集まって泳ぎ去っていくが、すぐに何もなかったかのようにゆらゆらとまわりだす。なまずは小さな水槽からはみ出すほど大きく、お腹の白をさらけだしている。エンゼルフィッシュが優雅な横顔を見せて次の瞬間には薄い後姿をちょと小ばかにするようにみせる。アルビノの白い子エビが底をのんびりと歩いている。太古の古代魚が口をあんぐりと開けて見下ろしている。 水槽上から静かに循環する水の音が鈍くこだまする。昔聴いた気のするエアレーションの音がない。揺らぐ水草は一つの宇宙を抱くようにテトラの群れを包み込んでいた。
私は何度も同じ所を眺めながら行ったり来たりしていた。どこも同じ空間に訳のわからない連中がいる。きれい、かわいい、グロい、おかしい。いろんな形容詞が舞う中で共通してるのは”こいつらなぁんにも考えてないねんなぁ”というところ。そのうち私も考えなくなっていた。
確か去年くらいだったか、NHKのシナリオコンテスト佳作だかで”オアシス”というのがやっていた。途中から見たのだけど何故か妙に心に残っている。深夜繁華街で開いている熱帯魚屋にやってくる人々を淡々と描いた作品だ。じっと覗き込む会社員。話し掛けるOL。悪態をつく年配者。こっそり水槽を叩いている上品な女性。そこに通って店員と交流する女性役は管野美穂だった。
青く光る水槽には気付かないほどはかなげに自分が映っている。ゆったりと泳ぐ彼らの眼にも私が映っている。その姿を天井から魚眼レンズで眺めたらどう映るのだろう。 この空間は間違いなく異次元だ。私はこの空間に一時囚われた。通路は閉ざされた私であって水槽の水は連なる外であった。
私の部屋には空の水槽がある。その水槽に水を入れる事が少し怖くもなった。いえ、一つなら綺麗で癒されるでしょう。けれどたくさんの水槽にいつも囲まれるというのはとても怖い気がしてしまったのです。
蒼い蒼い惑いの海に囲まるる 合わせ鏡の眼に映る我
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