標準営業約款?蕎麦粉7割以上だって? - 2005年08月02日(火) 全国生活衛生営業指導センタ一の指導の下、今秋から麺類店に於いて標準営業約款制度と称した規約が求められることになったようだ。強制加入ではないようだが加入店は優良店舗である証のSマークと呼ばれる標識板を貼り出すことによって消費者へのアピールと共に未加入店である一般飲食店との差別化を図る目的らしい。これまでもクリーニング店や理美容店に於いて導入されているがサービスの向上や信頼度を増す為にはある意味必要なことと理解はしている。しかし、他の2つの業種と飲食業との大きな違いは共に環境衛生業ではあるが「生産」という飲食店のみの行為が存在しているという点である。 クリーニング業も理美容業も技術は必要であるが、そこに物を何らかの素材を使っての生産するという行為は存在しない。蕎麦屋は蕎麦や汁を自らのお店に於いて生産し、それを販売しているということになり、その生産に於ける位置付けを変に規制する規約にはどうなのかなと首を傾げてしまう。そこには隠された問題や課題、それを裏付けるものの不明瞭さなどが沢山存在しているのではなかろうか。 ■ 当店は蕎麦粉は7割以上使っています ■ 当店はつゆは自家製である・・・云々 他にも項目が沢山あるので詳細のリンク先は・・・ <標準営業約款制度> まあ、つゆは殆どのお店が自家製であるだろうが、中にはメーカーにレシピを渡して作らせているお店もある。それはどうなるんだろうか・・・?また、蕎麦粉の含有量が7割以上というのはどうであろうか?蕎麦店の多くは出前を併用している機械打ちである。少なくとも半分以上のお店はそれ以下の蕎麦粉ではなかろうか?いいとこ6割で同割り程度のお店が圧倒的に多いと思う。手打ちの新興店にはまず存在しないだろうが、所謂町のおそば屋さんの絶対数はこういう業態である。 また、含有量6割のお店が嘘をついて7割と申請して公示を受けたとしてもそれを偽りと証明する手立てはないのである。そして、町のおそば屋さんの多くは蕎麦粉とつなぎを混ぜ合わせた状態で仕入れているケースが多いし、そこまで来ると製粉会社の工場まで行って確認をしなければならないことにもなる。しかし、製粉業者さんには良心的なところが自主的に表記しているけど産地表記等の明確なる基準はない。手打ちのお店だって全てが二八や生粉打ちで打っている訳ではない。6割の手打ち蕎麦を出している店だって存在しているので、手打ちだからと言って必ずしもこの基準をクリアしているとは限らない。 そもそも蕎麦粉の含有量の表記が消費者へのアピールであったり、サービスの向上に繋がるとは到底思えない。一部のマニアやオタク系の人達がああだこうだと騒ぐだろうが、一般消費者にとってそういうことは問題ではないのである。絶対数のお店は誰によって支えられてるのか?それは日常的に利用して下さるサラリーマンや近所の人達である。そういう人達が求めているものは何かをしっかりと見極めなければどんどんお客様が逃げて行くことに気付かない。先日のイベントにしても然り。絶対数のお店にとっての活性化には繋がらないのである。規約の中には必要なものもあるけど、この二つの必要性ってどれくらいなのかな?逆にその規格をクリアーしていないところはダメな店と思われてしまうことも懸念しなければならない。一般消費者には7割だろうが5割だろうが、自分が満足する価格で美味しいものを出している店が良い店であり、客として求めている店でもある。 サービスの向上に繋がる手段とはこういうことを明確化するのではなく、他に沢山あると思うけども何故そういうことには目を向けないのか?蕎麦粉が7割入っていれば美味しい蕎麦となり、それ以下ではそうじゃないということにも受け取れる基準であるが、含有量が大切なのではなく、技術的にしっかりとした蕎麦を打ち、飲食店としての最低限のルールを侵すことなく真っ当な商いをすることが大切なのではなかろうか?それこそホールスタッフの怠慢なる無作法をなんとかしたらどうなのかなって思える店が沢山あるけどね。 こういう不明瞭なる規約の為に偽りを行う店は絶対に出て来るだろう。それから、そういう「Sマーク」と呼ばれる標識板を掲げることが本当に消費者へのサービスの向上になると思っていること事態が大きな間違いであり、完全なるお役所的な怠慢な思考である。それだったら保健所と一緒に一軒一軒厨房の中をチェックして廻りなさいと言いたい。ポッチーランドが手掛けたお店はきちんと清掃をしているが、中にはとんでもないお店が沢山あるということを分かっているのかな?ここでは書けないうような不衛生極まりないお店だって沢山あるんだよ。でも、こういう店が前記の基準を満たしてしまえばSマークが交付されることになる。それが消費者にとってプラスか?マイナスか?それ位のことすら分からずに本質的なことを無視しながらのこういう行為は益々消費者離れを招く結果になってしまうんじゃなかろうか? 新興店はどんどん増え続けているが、これまで蕎麦業界を支えてきた町のおそば屋さんの現状はどうなっているのか?そういうお店を何とかしてあげるのが組合であったり、生活衛生営業指導センタ一なのではなかろうか?町のおそば屋さんには現状を打破する為の考え方などをしっかりと持ち合わせているお店は少ないんだよ。何をどうして良いのか分からない中でもがき苦しんでいるということをちゃんと把握して欲しいな。多くのお店はその手立てが分からないというか、蕎麦屋の枠の中でしか物事を見て来ていないから分かる術もないし、残念ながら飲食業の中での地位も低く見られてしまうのである。 その原因としては個々のお店の努力が足りなかったということもあると思うが、この現状を打破する為に必要なる改革が求められていることに気付いている人やお店、企業は多いのだけど一向にそれが改善されないのは何故なのか・・・?これも生活衛生営業指導センターと組合との連携は図られていないような気がするが、こういうことこそしっかりと手を取り合って業界にとって何が一番必要なのかを考えなければならないのではと思う。 -
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