見積りの信憑性がなくなってしまうよ・・・ - 2005年08月01日(月) 今週に着工予定のお店の業者決定が終わった。店舗内装、厨房設備と数パターンの組合せでの選択がが出来るように各社に見積りをお願いしおり、それをいろいろなパターンに置き換えての金額を算出してみたが、最終的にはコスト面だけの判断ではなく他の要素も加味した中での決定とした。 その中で見積り上では一番高かった業者さんが金額を合わせますと言って来た。そこは見積り上で約10%の値引きを起こしていたが、それを更に大幅に下げて来たのである。それで確かに実行予算に近づいたことにはなるが、最初に提出された見積りは一体なんだったのか?通常は設計事務所側で設計変更や仕様変更を起こして金額を調整していくことになるが、それで追い付かない分を出精値引きとして更に調整して実行予算に合わせている。それが設計変更を殆どしない中での大幅なる値引きは正直なところ不信感にも繋がってくる。それじゃ、毎回この金額で出来るのか?またはそういう見積りが何故最初から出て来ないの?申し訳ないけどそこは選択肢の中から最初に外すこととなった。 最初からシビアな見積りを出して下さいとお願いしてあったにも関わらず下請け業者さんから出て来た見積りに自社のマージンを乗せただけのものでは到底承服出来るものではない。それを意識して出した見積りか否かは経験上すぐに分かることである。サラリーマン時代に図面を描きながら頭の中で原価計算が出来上がってしまうことに嫌気が差してしまうこともあったが、これはクリエーターにとって大きなマイナスであるとも思った。勿論コスト意識は必要であるが、設計施工の企業では自社の利益を考えた中での設計が求められてしまうし、そこで無駄な時間をかけての調整をしている暇はないのである。 でも、本当に良いものをつくろうとしたらそういうことを出来る限り頭から外した中で考えていく必要があるし、最低限のことを意識しながらより良いものをという視点から入らないと難しい。最初から予算に合う図面ではその予算なりのものしかつくれないが、予算以上のものを考え、それを如何にイメージを崩さずに予算内に納められるかを追求していくことが必要である。それが予算以上に見えるデザインということである。しかし、企業にとっては時間を如何に掛けずに素早く自社の規定利益を守るスタッフが評価されるが、本当の意味でのクリエーターとしてはどうなのかいつも悩みの種でもあった。だからこういう仕事はサラリーマンには難しいと常々思っていたのである。 話しが少し本題から反れてしまったが、サラリーマン時代も下請けさんからの見積りには厳しい見方をしていた。あきらかにいい加減な出し方をしているところは納得行くまで追求したし排除もしてきた。だから今回のことも、そういう出し方をしている限りは絶対にコストダウンは出来ないし、下請けさんのシビアなるコスト意識や指導をお願いしていたのだが一部の工事業種(設備関連)に関してはどうしても納得出来る範囲を越えつつあった中で、ちょっと引っ掛かっていたので今回はシビアな入札制とした。 他の工事項目に関してはそれほどの差はないけど、設備絡みに関してだけは毎回かなりの開きが出ていた。しかし、それを出精値引きということで処理していたのだが、それではいつまで経ってもホントのコストダウンには繋がらないし、下請け業者さんの意識改革も出来ない。真のコストダウンとは末端の施工業者、下請けさんから変えていかなければ絶対に出来ないと思っている。見積りは要は考え方なのである。これだけ掛かるかな?と思っていればそこから下がることはまず在り得ないが、それをもっと安く出来る方法があるかもしれないという意識があれば少しづつであってもコストダウンに繋がるものと思っている。 うちは設計事務所であり設計施工の業者ではないので、そういうところに比べたらかなりコスト意識は強いと思っているし、シビアに見積りをチェックしている心算である。納得出来ない価格設定に関してはその都度指摘をしていた。通常なら壁はクロスを貼って、床は塩ビタイルを貼り、既製品のテーブルを並べる位の実行予算であっても壁は塗り壁、床はフローリング、オーダー品のテーブルというのが本当にどうしようもない時以外は標準仕様と考えている。他の設備絡みに関しても標準仕様のレベルは高い。よく雑誌とかで坪単価○○万!とかと宣伝している業者さんがあるが、その金額で店がつくれないことはないけどポッチーランドとしての標準仕様との中身が全く異なるのである。だから価格だけで判断するような方との仕事は成立しない。手打ち蕎麦屋に入って「駅前の立ち喰いそば屋は300円だけど、ここは700円だよね。どうして?」って言われても、答える気にもならないのと同じである。根本的な違いが全く分かっていない・・・。 クライアントには何とかして限られた予算の中で出来る限りのことをしてあげたいし、それが出来るのがコスト意識を徹底して突き詰めていくことであると思っている。だからコストに関しては妥協したくないと思っているし、そういう中でこれまでの経験上に於いての大体の予算設定というものが出来上がっているのだが、それが少しづつ難しくなりコストアップに繋がってきている状況を打破する為の今回の措置でもある。 住宅と比べて店舗の工事費が高いと言われているのは、そういうコスト意識が施工業者さんには欠如しているということである。なんで住宅に出来て店舗に出来ないんだろうかが不思議で堪らない。 -
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