Web Masterの日記



理不尽な判決に怒り

2008年01月08日(火)

一昨年、福岡で3人の子供が犠牲になった飲酒運転追突事故の判決が下された。
あまりにも理不尽な判決に閉口すると同時に怒りが込み上げてきた。
判決の焦点は、被告人の犯した罪が危険運転致死傷罪の適用が
されるのかどうかと検察側が求刑した懲役25年が言い渡されるのか。
しかし、今回の法廷で裁判長は危険運転致死傷罪の成立を認めずに
予備的訴因として追加された業務上過失致死傷罪を適用し、
酒気帯び運転とひき逃げに関しては道路交通法違反とみなして
被告人に対して懲役7年6月を言い渡した。

この判決を理不尽と言わずして何と言えばいいのか?
全くもって理解に苦しむ判決である。
3人の幼い子供の命を奪っておいて懲役7年半かよ…。

危険運転致死傷罪が適用されなかった理由として、
1.他の接触事故を起こしていなかったから。
2.アルコール検査で酒気帯び程度しか検出されなかったから。
3.80〜100km/h走行時に12秒間の脇見運転は異常とは言えないから。
明らかにおかしくないか、これって。
1については、この事故以外の接触事故がなければ正常ってことだというのか?
2については、事故後に逃走して水を飲んだりと隠蔽工作をしていたはずで、
検査をしたのは事故後、かなり後になってからだったのでは?
3については、80〜100km/h走行時に12秒間の脇見運転は、
はっきり言って異常すぎるだろ。

被告人に明確な殺意がなかった事は認める。
しかし、被告人は飲酒運転で一般道にも関わらず100キロの猛スピードで運転し、
衝突事故を起こしながら、自分の保身のために現場から逃げて
挙句の果てには証拠隠滅を謀るべく事故後に大量の水を飲んで
酔いを醒まそうとする行為に及んでいることを、なぜ重く見ないのか?
単なる脇見運転で済まされるレベルの行為ではない事は明らかである。
そもそも100キロで脇見運転ってどんな運転なんだ?

しかし、こんなくだらない理由で危険運転致死傷罪が適用されないのであれば、
この法律を作った意味が全くないとしか言えない。
そもそも、過失と故意の差なんて本人しか分からないし、
本人が「故意です」と言うわけもない。
焼酎ロックで9杯も飲んでおきながら運転して事故を起こしたら
すべて故意だろうが!

そもそも、酒を飲む前は当然意識はしっかりしているんだし、
飲酒運転は良くないなんていうのは当たり前に思っているはずだ。
人としての理性に負けて酔った状態でハンドルを握った瞬間、
もう過失とは言えないだろう。
事故の原因を作ったのは正常に判断できる状態の被告なんだから。
しかも事故後は自分を守ることしか考えず、転落した車の救助など
一切、行わずに逃走しているのだから悪質極まりない。
飲酒せずに正常に運転していて、ブレーキとアクセルの踏み間違い、
ハンドル操作のミスなどの事故は過失と言えるかもしれないが、
飲酒運転した時点で何を言われても文句が言えないはずだ。

包丁を振り回して3人殺せば死刑は確実だが、飲酒運転の結果3人殺しても懲役。
もっとも大きな違いは「明確な殺意」があるかどうかなのかもしれないが、
飲酒運転をすることが、もう明確な「不特定者に対する殺意」と
判断してもいいのではないだろうか。
1.5トンから2トンもあるものを酔った状態で運転していれば、
それだけでもう凶器なんだからね。
どうも車というものは使い方で簡単に人を殺すことが出来るというのに
何か軽視されているように思える。

法の上での判決が下されたわけだが、
人が3人死んでいるという事実に変わりはない。
この法廷は、危険運転なのかどうかではなく、3人の子供が衝突事故によって
命を落とした事実を、もっと見つめなければいけないと思う。
このような判決がまかり通っていたのでは、
飲酒運転事故は永久に無くならないし、中には
「あんな事故を起こしても、あの程度で済むのか?」などと間違った解釈をして、
酒を飲んでも平気で運転する輩が減ることはないだろう。

「悪法でも法である」という言葉がある。
法律を学んだことがある人なら必ず耳にする言葉だ。
自分も大学時代に少しだけ法律を学んだが、その時に教授から教えられた言葉だ。
端的に言えば戦前の日本における治安維持法のような
守る必要のない法律と言えど、1度成立してしまえば、
守らなければならないということである。
しかし、どんなに良い法律(そんなものは聞いたことがないけど)でも
適用する裁判官の資質によっては悪法に変わってしまうのだ。

極端な話、自分は飲酒運転で事故を起こしたら、有無を言わさず
危険運転致死傷罪で当たり前だと思っている。
しかも、ひき逃げ(逃走)して人の命を奪っている悪質な奴には
懲役25年でも短すぎる。
「死刑」か「無期懲役」が妥当だろうとさえ思っている。

平成19年9月19日施行の道路交通法により、飲酒運転者に対する厳罰化、
さらに飲酒運転ほう助行為者(運転者の周辺者)に対する罰則が整備された。
同乗者や車や酒を提供した人にも罰則が適用されるようになり
昨年の秋頃にうちの店にも警察官が来て
「飲酒運転させないTOKYOキャンペーン」の説明をし、チラシを置いていった。
だけど、こんな判決が出たのでは飲酒運転撲滅なんて絵に描いた餅のようだ。
本気で飲酒運転撲滅を考えているなら、もっと戒めになる判決結果が出るべきだ。
来年5月までに開始される裁判員制度がこの法廷でもあったのなら
絶対に危険運転致死傷罪の最高刑である懲役25年だっただろうな…。

飲酒運転を無くすためには飲酒および酒気帯び運転の刑罰を、
早急にもっともっと重くするべきである。
酒気帯びでも免許取り消しとか、罰金を100万円以上にするとか。
日本の道路交通法は穴や矛盾がたくさんありすぎる。
これを機に本気で道交法の法改正を望みたい。
道交法を含めた飲酒運転に関する法の改定を急がないことには、
飲酒運転がもたらす悲劇は今後も続いていくのではないかと危惧してしまう。

いずれにしても、このまま終わってしまったら遺族だけでなく世間も納得しない。
検察は控訴するとのことなので上級審に期待したい。
というか、検察もっとガンバレよ。
この事件に関して、被告の逃げ得だけは絶対に許されないのだから。


なんか久々に頭にきたニュースだったので、
熱くなってダーッと一気に書いてしまった(・ω・;)

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