なべて世はこともなし
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2008年03月09日(日) バルセロナ、48時間耐久戦(前編)

先週末、ちょっと出かけてきました。バルセロナに。というわけで、旅行記なのですが、どっかの別館みたいに、半年前の旅行記を10回近くに小出しにするつもりはありません。前編後編の2回のみ。次回も数日中に更新します。


バルセロナといえば、この日記の古い読者さんなら2006年9月に私の愛人(妄想)みねまいこと一緒に48時間の旅に出たことをご記憶かと(読んでない方は必読)。今回は、私の彼女であるMausi(仮名)と一緒に行きましたよ。


また48時間35分ほど。


なんでこんな懲りもせずにアホなことをしたかというと、話は去年の12月にさかのぼる。彼女へのクリスマスプレゼントを探しまわったのだが、何も見つからず。そんな時にエアリンガスがバルセロナまで金曜日の夕方から日曜日の夜までといういい日取りもかかわらず、往復税込み一人90ユーロ(14,000円)でチケットを売っていたのだ。


あ、「バルセロナで週末」というクリスマスプレゼントでお茶を濁せるってとってもステキだ!と判断した私はその場でチケットを予約。スペインまで往復90ユーロ(しかも週末)ってのはありえないほど安いのだが、その翌日にエアリンガスはセールを始め、往復60ユーロ(9000円)まで下がった…というのは実に口惜しい事実。


ま、そんなわけで、あくまでクリスマスプレゼントなんだから…というわけで、わざわざダブリン市内のMiki Travelさんにホテルの手配をお願いしまして、4つ星ホテル二泊朝食付きでおおよそ300ユーロ(47,000円)で手配をお願いしました。ヒコーキの運賃を入れて総計480ユーロというのは確かにビンボー人の私からしたら破格のクリスマスプレゼントですが、なんのこたーない、自分も楽しむんだから、まさにお為ごかし。


2月29日。4年に一度しかないこの日、いつもより1時間早く午後3時に会社を早退した私は、5時50分のフライトに間に合わせるために車で空港へ。そう、2泊2日程度なら、空港の一日7.5ユーロ(1100円)の駐車場に車を置いた方がバスより楽だしタクシーより安い。かくして、1時間かけて空港付近の長期駐車場へ。


自動チェックイン機で搭乗券を受け取り、手荷物検査を受けて搭乗口へ。が、そこにはヒコーキは1時間遅れるという案内。48時間35分しかいないのに1時間遅れると…滞在時間が大分少なくなるよな。


かくして、ゲートBエリアで時間潰しをすることになった私たちはパブへ。いつもほぼ例外なくゲートCエリアから発着するスタアラのヒコーキばかりを使う私にとってゲートBエリアはちょっと懐かしい感じがする。このゲートBエリアには行ったことのないゲートDエリアは知らんが、他にはないいいものがある。それがこれ。






まったくの蛇足ですが、この写真を撮ろうとしてカメラを取り出したら、「メモリーカードがありません」との表示。そう、前日の日記をアップして、カードをラップトップにさしっぱなしにしてきたらしい。慌てて1ギガのカードを11ユーロで買いました…何でもいいけど、メモリーカード、だんだん安くなってるよね。



パブ。


他のゲートにもパブはもちろんある。だけど、このゲートBエリアにあるパブだけが、改装されることなく放置されてダブリン市内の昔からあるパブのようないい雰囲気を醸し出しているのだ。普段は居心地のいいパブなのだが、どうやら強風のため、出発のヒコーキが軒並み1時間以上遅れているらしく、パブはかなり混み合っている。ま、みんな考えることは同じというわけ。


このパブで、ほかのパブでは見たことのない光景を目にする。なんと、パブが混み合っており、飲み物を買うためにパブの外まで行列ができているのだ。フツー、パブがどんなに混んでいて、カウンターの周りに人だかりができていてもそこに行列を目にすることはない。が、このパブではなぜかカウンターからパブの外に向かい実に整然とした行列ができているのだ。


最初一瞬何が起こっているか理解できなかったが、とりあえず列に並びギネスをゲット。ところが、私たちの乗るヒコーキは、ほかのヒコーキ同様に出発する気配なし。いつの間にかギネスを飲み干してしまった。カウンターを見ると、また外に向かって長い行列ができている。私はちょっとした実験をすることにした。


まず、行列ができているカウンターの反対の端に、飲み干したギネスのグラスを持って立つ。そこで数分待つ。


カウンターの中を通り過ぎようとした店員のおばさんに懇願するように聞いてみる。


私:「あそこに並ばなきゃだめ?」
おばさん:「へっ?」
私:「いや、追加の飲み物頼むのに、また、並ぶのかなーって思って」
おばさん:「あんた、ここ(カウンター)に座っているの?」
私:「いや、(数メートル先の)あそこのテーブル」
おばさん:「ちょっと待ってな(Stay right there)」



…数分後、おばさんはこっそりとギネスを持ってきてくれた。で、こっちもこっそりとあたかもクスリの取引みたいに10ユーロ札を彼女に握らせる。いや、こういうの、好きだわ。こういう人間臭いところ、好きです。


ともあれ、遅れに遅れ、ヒコーキが出たのは予定より1時間半以上遅れた午後7時半過ぎ。パブで出来上がってしまった私はヒコーキに乗るなり熟睡。何やら離陸時に強風のためシャレにならんくらい揺れたらしいのだが、私全く記憶にございません。


と、都合よく記憶が飛んだところで機内販売のまずい白ワイン(5ユーロなり)を消費しつつヒコーキはバルセロナに到着。1時間半遅れて離陸したヒコーキは当然の帰着として1時間半遅れて到着。もともと10時前に着くはずだったヒコーキが1時間半遅れ、さらに、空港から市中心部までバスで30分ほどかかるから、とどのつまりが市中心部のホテルに着いたころには日付が変わっていた。これが「二泊二日」たるゆえん。


ホテルはダブリンで言えばSt Stephens GreenにあたるCatalunya Plazaにあるホテル。中心部の超一等地で、かつ、空港からの急行バスはこのCatalunya Plazaに着くものだから、楽。ちょっと高めの値段を払った価値はあったかも。




窓からCatalunya Plazaを望む。…って別に大した風景じゃあねえな。



金曜日の夜。バルセロナの夜。そのまま寝るのは惜しいと、ダブリンで言えばGrafton StreetにあたるLa Ramblaへ。すでに日付が変わったにもかかわらず、金曜日の夜ということも手伝ってか、まー、通りはすげー人の数。それよりも何よりも、暖かい。ダブリンからは厚手のセーターを着てやってきたのだが、そんなものはホテルに放置。





で、通りを歩いていて目についたカフェに。入った瞬間にミョーな既視感(フランス語で言うとこのDéjà vu)を感じた…ってよく見たら、みねまいと一緒に来たカフェじゃないか。そこで、なぜかChimay(ベルギービール)を飲んでこの日は終了。


翌朝。一人22ユーロ(3000円)という信じられない金額の朝食を食べる(宿泊代300ユーロに含まれてます)。朝食のビュッフェは焼きたてのパンからシャンペンに至るまで至れり尽くせり(だからと言って朝から調子こいてシャンペンを飲む私もどうかと思うが)。ともあれ、普段は朝ご飯など食べない私ながら、おなか一杯になり、いざ、戦闘観光開始。





まず、最初に向かったのは、Gaudiの最高傑作とも言える桜田家教会(サグラダファミリア)。建設開始から130年も経っているのに未だに建設中の教会。世の中広しといえども建築中の建物に8ユーロ(1200円)の入場料を課すのはここだけじゃあないだろうか。挙句の果てに、高さ100メートル超の尖塔がありエレベーターで昇れるらしい(別料金というのがせこいが)。が、土曜日ということもあってかエレベーターはなんと90分待ち。まったく、浦安のネズミ園じゃあるまいしと並んでいる人を横目に見つつ、スルー。






工事中なんだってば。でも入場料は8ユーロなんだってば



が、実は、本当は塔に昇りたかった。莫迦と煙と言われようと、私は高いところが好き。かくして、バルセロナが一望できる小高い丘にある公園Park Güellグエル公園へ。








この公園も実はGaudiの作品。さらには実は世界遺産に登録されているらしい。この公園の中にはGaudiの家もある。





負け惜しみと言われれば返す言葉もありませんが、たぶん桜田家の塔よりも眺めも気分もよかったと思う。それにしても一度行ったら忘れられないというくらい強いインパクトを持つ公園だと思った。


それにしてもバルセロナの温かいこと。この日の気温は20度超。それからバルセロナの港のあたりを散歩してるともう夕方に。ホテルに戻り、コンシェルジュにフラメンコが見たいと要望。いかにもよくある観光客からのリクエストだったのか、さっさとカウンターからチケットを出して売ってくれた。一人35ユーロ。高えよ。高いと知りつつ払ってしまうのは観光客が莫迦であるゆえんか。


で、午後7時過ぎに町に出てみたが、未だにレストランには客の姿はない。そう、夕飯の時間は8時過ぎから。考えてみると不思議。アイルランドにこの文化はない。ぼぼ6時くらいにレストランに行くとEarly Bird Menuというのがあって、ランチタイムとディナータイムの中間くらいのお得な値段で食事ができる。


で、ドイツに行くとこちらも午後6時くらいにレストランに行く人は多い気がする。で、アイルランドとドイツの中間にある(というにはちょっと無理があるが)フランスとかスペイン、イタリアでは午後6時にレストランに行く人はいない。この文化の断絶はどこから来ているのか調べてみると面白いかも。


かくして、裏通りの店を冷やかしたり、気がついたらいかにもアヤシゲなオスタル(アイルランドで言えばB&B…だと思う)が立ち並び、その前に所在なげに立つ女性(その目的はボクにはちょっとわからない)や、何かを売ろうとしているように見える男性(その目的は…以下略)が立つ通りなどを歩く。


いや、もちろん、狙ってここに行ったわけじゃあなくて、歩いていたらいつの間にかそこにいたわけで。引き返すのも癪だからそのまま悠然と歩いていった。観光客であふれる通りから一本はずれただけでまったく別世界が広がる。ちょっと不謹慎な言い方だけど面白いなあと思った。


そして、裏通りで見つけたレストランで夕食。もう、とことんシロートの観光客を地で行くことを決めた私たちの頼んだものは「パエリア」。その前にスペイン語で何か書かれていたのだが、たぶん、「前菜」と書かれていたのだろうと思いテキトーに注文。結果出てきたものがこれ。





これだけでも結構な食いであるというかなんというか。


で、手前左の貝の左にある物体。見栄を張ってもしょうがないから正直に言うが、初めて見るもの。何か植物のようで、果たしてどうやって食べていいかわからない。Mausiいわく、葉っぱを一枚一枚とって中のものを歯でこそぎ落とす…ってうめえもんじゃねえな。この食べ物の名前・物体の名前をご存知の方は後学のためにぜひ作者に教えてあげてください。


【追記】この物体、アーティーチョーク(朝鮮アザミ)と読者さんが教えてくださいました。「ドイツだと結構見かける」と突っ込まれましたが、私は見たことがありませんでした。地域性があるのか、私がビンボーなのでこれが出るようなレストランに行かないだけなのか…。





パエリアは…鍋に入っている段階で写真に撮ろうと思ったが、親切なウェイトレスさんがさっさと取りわけてくれたので皿からの写真となります。ちなみにMausiはあまりパエリアが気に入らなかったそうな。どうも、「肉と魚が一緒の皿に入っている」ということに抵抗感を感じるらしい。そういえば、アイルランドにもそういう人が多い気がする。この辺もいい比較文化論のネタになりそうな気がする。


で、食事のあとは件のフラメンコへ。


「飲み物代が含まれています」というから何が出てくるかと思いきや、サングリア一杯。この飲み物、飲みやすいのだが、過去に飲みやすいからとぐびぐび飲んでひでー目に遭っているので注意しながら飲む。






で、感想としては…うーん、歌っていた男性の声量がすごいなとか、踊っていた人たちも力強いなとか思ったけど、また行きたいかと言われると…もういいや。特に35ユーロを払ってまでは。


その後も飲んでたような気がするが、記憶にないので省略。話は翌朝日曜日へ。続く。




後編はすぐに更新するつもりですが、ご感想がないようなら書きません(脅迫)。というわけでご感想はこちらへ(掲示板へのリンクです)。




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