| 2022年05月24日(火) |
ぼんやりした日の出だった。ちょうど日の出の場所に雲がかかっていて、だいぶ昇って来てからようやっと太陽が顔を出すという具合。朝の太陽を少しでも見ることができて、おかげで背筋が伸びた。眠れなくて、どんよりしていたから。 SS君と散歩と撮影の日。息子と一緒に家を出る。込み合う電車に揺られながら都内へ。乗り換え駅でちょっと迷子になる。この駅は苦手だ。昔通ったセンターもこの駅で乗り換えだった。数年通ったのにいまだ慣れない。落ち着かないというか、お尻の脇がもぞもぞするというか。 駅の改札口脇で待ち合わせをしたのだけれど、このまま撮影行こうかと言ったら「さすがにパジャマはあれっすよ」と言うのでびっくり。そうなのか、これがパジャマなのか、と大笑いした。 彼の部屋までてこてこ歩く。SS君は自転車を引っ張って歩く。その間もひたすらSS君が喋り倒している。私は聞き役。それがいつものカタチ。今読んでいる本、最近読んで面白かった漫画の話、観た映画で印象に残った作品の話等々。尽きることなく続く。 着替えたと言っても単にシャツを羽織り草履をはき替えただけの姿。パジャマと特に変わりはないぞ、と思ったのだけれどさすがに言えず。心の中でくすっと笑った。 がっつり撮影、ではなく、いつの頃からか彼とは、彼のおしゃべりプラス撮影、というバランスになっている。それが、彼との間ではちょうどいい。今回も結局、てくてく歩いた結果、長く延びた公園で、ここでいいか、と何枚か撮影。特別なものは何もなく、散歩の延長で撮影した、みたいな感じで。 煙草が吸える貴重な喫茶店があるというので一緒に行く。この時もひたすら彼の話。タコピーの原罪という漫画の話に終始する。私はほぼほぼ、うんうん、それで?と相槌うっていたのみで、ひたすら聞き役。 別れる時彼が唐突に「飲みましょうよ」と言った。珍しいなと思ったのだけれど、りょーかい!と返事をし、別れた。
今日こそは早く寝よう。いつもそう思うのだ。いつも。今度こそ早く横になり、早く眠るのだ、と。なのに、それがいつもできない。 横になる、ということが遠すぎる。遥か彼方、だ。いつだってそうなのだ。悲しいくらいに。 たとえば、歯医者で横になることは必要不可欠であって、避けようがない。分かっている。分かっているのに、いつもじたばたしてしまう。 横になる=無防備になる=襲われてもおまえの責任(と、私が思ってしまっている)。いや、分かっている。そんなことはないというか、それは私の極端な反応だ、と。わかって、いる。 頭では十分すぎる程分かっていて、だから何とかしなくちゃとも思っているのだ、これでも。が、しかし、うまい解決方法がいまだ見つけられていないというのが現状。
帰り道Tから連絡があって、急遽最寄り駅で会うことに。どのくらいぶりだろう? 久しくあっていなかった。私が贈った煙草入れ用の小袋が破けてしまったのだという。とうとう限界がきたか。 でも、久方ぶりに会った彼女は顔色もよく、元気そうだ。どうしたのかな、と思っていると、左手をちらり私に見せて、指輪を買ってもらったんだ、野良猫から、家着きの野良猫に昇格したの、とうれしそうな顔を見せる。そかそか、と私もにこにこになりながら彼女の嬉しそうな顔をちらちらと見やる。満たされた、いい顔だ。よかった。本当によかった。 Tよ、自分の幸せ、大事にして、ね。
そして最後にひとつ。Nから連絡が。再犯を繰り返していた加害者のひとりの起訴が決定した、と。求刑は10年だそうだ。それを聴いてNは、どうしてこんなにも罪を重ねてきていた人間がたった10年なんだろう、と思ったそうだ。たった10年だけで罪は本当に償えるのだろうか、そう思った、と。 10年、か。それが短いのか長いのか私には正直分からない。私に分かるのは、今ここを精一杯生きている被害者に、そんな、起訴内容についてなど連絡してくるな!ということだ。善意の悪意、とでも言おうか。そこらへんが、連絡をよこした人間にはちっとも分かっていないのだな、と。そう思った。 とにもかくにも、Nよ、お互い、今ここ、を大事にしよう。他人を変えることはできないし、そもそも過去は変わらない変えられない。変えられるのは唯一、自分と今ここ、のみ。それに尽きる。 |
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