ささやかな日々

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2022年03月21日(月) 
朝は曇天だったけれど、時間が経つにつれ陽射しが降り注ぐ日。でも明日は雨予報。春になろうというこの時期の天気はいつだって忙しない。
Tちゃんにいつの間にか子供ができていたことを家人から聞かされる。俺も最近知ったんだよ、と。駄目もとでLINEにメッセージを入れてみる。しばらくしてあれ以来初めて、彼女から返信が入る。ありがとう、一言。本当は話したいことが山ほどある。でも、私はしばらくその五文字を見つめた後、画面を閉じた。もうこれで十分だ。私はもう、彼女の今を知らない。幸せになってね、Tちゃん。

宿根菫の紫式部が次から次に花を咲かせている。もう新しい子が咲く隙間なんてないんじゃないかと思うのに、これっぽっちの隙間を見つけては新たに花を咲かす。なんて勢いなんだろう。驚いてしまう。紫式部はそんなに勢いのあるひとだったっけか、なんて考えてくすっと笑ってしまう。いやいや、そんなつもりでこの名前がつけられたわけではあるまい、きっと。
ふと見ると、息子が蒔いたままうんともすんとも言わなかったプランターに小さな小さな緑色の芽が出ている。いまさら発芽? ちょっと吃驚してしまった。だってもう半年は経つのだ、蒔いてから。半年も土の中じっとしていた子らが動き出したってことなんだろうか。なんて律儀な子たちなんだろう、蒔いたら蒔いただけちゃんと発芽しなくちゃ、といわんばかりの姿。私はしゃがみ込んで頬杖ついてじっと見つめてしまう。頑張れ、新芽たち。

金、土、日、月、と息子が四連休。おかげで私はほぼ何も自分のことができていない。昨日今日は息子が前から観たいと言っていた映画につきあった。が。
いつもそうなのだが、彼は映画を観ながら実によく喋る。これあれだよね!ここああだよね!そうそう、そうなんだよ!という具合に、次から次に喋る。おかげで私は周りの目が気になってしょうがない。「ね、家じゃないんだから、静かにしなよ」「他の人もいるんだよ、静かにして!」と何度も言うのだが、そのたび、はーい、と返事は返ってくるものの、すぐそばから「でさ、あれがあれで…」と彼の喋りが始まる。もう気が気じゃない。ゆっくりじっくり映画を楽しむなんてとても無理だ。彼と行ったらだから、私はあくまで彼のストッパーにならざるを得ない。やむなし。
でも。
映画館も、時代によって様変わりするもんだなあとつくづく思う。私が思春期の頃なんて、映画館はもっと小汚かった。定員制でもなければ入替制でもなかった。おかげで私たち貧乏学生は、上映を2回3回と続けて楽しむこともできた。煙草を吸ってるおじさんもいればお酒を持ち込んでいるひとたちもいた。今のこの、きれいで静かすぎる映画館なんて想像もつかない、そういう場が私たちの映画館だった。正直に言えば、そんなのどかな時代の映画館が、私にはちょっと懐かしい。

気圧の変化によってよりも、ストレスや緊張で頭痛が起こる、いわゆる緊張型頭痛持ちの私は、このところ頭痛が頻発している。そんなにストレスがかかっているとは思えないのだが、何故だろう。あまりに立て続けにしつこい頭痛に襲われるので、鎮痛剤にお世話になる。日常がままならなくなるのだけは避けたい。
陽射しは明るいけれど、空から雲が抜けることはないようで。明日の雨予報がちょっと、憂鬱。明日は出掛けたいのだけれど。だって明日は亡き祖父の誕生日。少しでも祖父を想える場所で過ごしたい。雨であっても。


浅岡忍 HOMEMAIL

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