| 2021年07月29日(木) |
息子と台所に立つ。彼はどうしてこんなに、台所に立ちたがるのだろう? 不思議で仕方がない。と思って、はっとする。娘も幼かった頃、何度も何度も私のところに来ては「お手伝い、ない?」と訊いてくれていたっけ。思い出した。でも私は、悉く断ったんだ。いいよ本読んでて、とか、いいよ遊んでて、とか言って。彼女が「肩たたきしようか?」と言う時でさえ、いいよいいよ!と断ってしまっていた。年頃になった彼女が或る日言った、ママはこうだった、と。そのことを、今改めて思い出した。 そうして今隣に立つ息子を見直してみれば、なるほど、そういうものなのかも、なんて思ったり。その気持ちを私はちゃんと受け止めなくちゃいけないんだな、と。そう思えた。「私がいくら言ってもママは訊いてくれなかった」と娘に言わせたみたいに息子に言わせちゃだめだよな、と。 台所だけじゃなく水やりも手伝ってもらうことにする。私がフライパンを操っている間、彼に水やりを頼む。手摺にかかったプランター以外は全部やってくれた彼。ちょっとドヤ顔。その表情がちょっと可笑しくて心の中くすっと笑ってしまう。
夜遅く。手紙を書き始めようと机に向かう。もう一週間前に届いている手紙。返事が書けないでいた。 文通中の受刑者さんのおひとり。誕生学を誰かに教えられたらしく「すごいですね、赤ちゃんって親を選んで生まれてくるんですって」と手紙に書いてきてくれたのだ。自分も自分の両親を選んで生まれてきたんだから、劣悪な環境に甘えてこんな悪くなっちゃったのは全部自分のせいなんだからだめだめですね云々、と便箋7枚全部に、自分がどれほどだめだめかを書いてきていて。読んでいて苦しくなった。何度読んでも、嗚呼、となってしまった。 自分のせい、にしてしまえば、ことは簡単に収まるように見えてしまう。虐待をする両親を選んで生まれたのは自分のせい、虐待されるのも自分のせい、その中で生きてねじまがったのも自分のせい、とにかく、何でもかんでも全部、自分のせい。こうなったのは自分のせいなんだからで片付けちゃおうとする。 それ、違うから。 絶対違うから。 あなたが犯罪を犯した、そのことはあなたが責任を負わなければならない事柄だけれども、あなたが虐待されたことはあなたのせいなんかじゃないしあなたが選んでしたわけでも何でもないし!とにかく、あなたのせいじゃないのよ! …と、私は手紙を読みながら何度もうめき声をあげてしまった。 悩みに悩んで、2つの記事を選んでプリントアウトし、自分が書いた手紙に添えた。「こういう意見もある事柄なんですよー」と。そして、手紙の最後に大きく太字で「〇〇さんは、虐待されたり蔑ろにされたりするのが当たり前の存在なんかじゃぁないです、大切にされるべき大事な存在なんですよ」と書いた。 私の気持ちが伝わるかどうか、分からないけれど、でも、書かずにはいられなかった。 久しぶりに、手紙を書きながら悶々と、見えない何かと闘ってしまった。ちょっと、疲れた。 とりあえず。冷たいものでも飲もう。換気扇の下で煙草を吸いながら。 |
|