ささやかな日々 / 浅岡忍

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2020年05月11日(月) 
 カウンセラーと主治医に会ったのは金曜日。それからあるプログラムに被害者として出席し、その後搬入・設営。あっという間に金曜日と土曜日は過ぎた。空を見やる暇さえ私に与えないくらいにあっという間に。
 日曜日、何となく寝床でごろごろしていると超がつくほど早起きした息子がもじもじしながらやってくる。「机の上見た方がいいよ!」。ん?机の上?と起き上がり作業部屋に入り驚く。カーネーションの鉢植えが置いてあった。
「どうしたのこれ?!」
「母の日だからだよ!」
「えー、君が買ったの?」
「うん、僕が選んだ!」
 その後私はひたすら、すごーい、とか、びっくりしたーと繰り返していた。それ以外の言葉がまったくもって思いつかなかったのである。まさか息子から今年母の日のお花をもらうことになるなんて夢にも思っていなかったから。
 しかもカード付。「朝顔のお花描いたんだよ!」というそれは、鉛筆で一生懸命描いてあった。丸い朝顔の花には縦線が幾重にも描かれており。ああ、今まさに満開の朝顔なのだな、と、思った。その背後には網々模様。これは?と尋ねると朝顔の弦が巻き付くための網なのだ、と。なるほど。
 そんなこんなで日曜日の朝は実に賑やかに和やかに過ぎた。息子、ありがと。心の中で何度も繰り返し言った。
 午後一番にホームセンターへ。足りない土とプランターを買おうとコーナーへゆくとちょうどたくさんの種類の種が並んでおり。ふと思いついて息子に声をかける。「この中でどれ育てたい?」「んー、育てるなら食べれるのがいいよねー」と息子。そして思いついたらしい、溌溂とした表情で「オクラ!」。え?オクラ?私は思わず訊き返す。「うん、オクラ、おいしそうじゃん!」。
 ふだん別にオクラが特別好きなわけでも何でもない息子の口からオクラとの答えがあるとは予想もしていず、私はぽかんとする。でも、せっかくだからと種を選ぶ。「これはたくさん早く採れるらしいよ」「じゃあそれにしよう!」。
 帰宅して早速種蒔き。「母ちゃん!オクラの種、青いよ!」。はじめましての種は確かに真っ青で。こんな色をしているのかとここでも吃驚。息子とふたりせっせと種を蒔く。
 気づけば日は傾き始めており。慌てて犬の散歩へ。私たちは普段歩かないコースを選んで歩いた。ここ曲がってみる? こっちの方がよくない? あ、ここ階段あるよ!等々。思いつくまま一時間、ぐるぐる歩く。犬の方が暑さにへばって、途中冷たい煉瓦敷の道端で腹ばいになって動こうとしない。「ねぇねぇお家帰らないとご飯食べれないよ?」「ミルクもあげられないよ?」息子とふたりで一生懸命犬を宥めて立ち上がらせ、帰宅。

 眠る前に本を読む。今手にしているのは最相葉月氏の「絶対音感」。面白い。絶対音感に悩まされたことのある人間にはとても興味深いし面白い。ちなみに私は音に色が加わって見える。Cは土色。Dは橙色。そんな具合に色のついた音符がころころ五線譜の上を踊っている。ピアノから離れてもう二十数年。それでもこの色付き音符は変わらない。音の溢れる人混みを歩く時はだから、ヘッドフォンで耳を塞ぐ必要がある。でないと頭が割れるように痛み始める。音が津波のように襲ってくるから。
 それにしても。今日は暑かった。夏が突然やってきたかのような暑さだった。空には雲一つなく、陽光が溢れ返っていて、見やれば眼が痛くなるほどだった。明日は撮影。少し雲がある方が嬉しいのだけれど、どんな具合になるだろう。


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