ささやかな日々

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2020年05月05日(火) 
他の種と違って、朝顔というのは劇的に変化を見せる種なのだろうか? 何十年ぶりに朝顔を今目の前で育てていて思う。こんな、朝首を傾げていた出たばかりの芽が、夕方には葉をぴんと広げる程になるなんて、思ってもみなかった。クリサンセマムなんて、か細い茎に葉に、ひょろひょろっと出してくるけれど、こんな、一日のうちに姿が変わるなんてあり得ない。不思議な気持ちで今、朝顔の育ちっぷりを見つめている。
朝のうち鱗のような雲が南の空を覆っていた。やがて散り散りになってしまったけれど、しばらく雲の様子を楽しむことができた。私は空を覆う雲の表情が豊かなほど嬉しくなる。どきどきする。この雲をコントラストを上げた状態でフィルムに撮ったらどんなに表情豊かな様子になるだろう、なんて想像して。

最近一日一度は家人と口論になっている気がする。今日もそうだった。彼にとってはこれまでとあまり変わりない言いっぷりなのだろうと思う。でも、「そんなバカげたことするつもり?」と言われた時、かちんと来て、思い切り言い返してしまった。彼は私にまさか言い返されると思っていなかったのだろう、驚いた顔でさらに畳みかけてきた。私も彼を遮って言い募った。という具合。
何というか。彼のこの、言葉通り人を小馬鹿にした言い方、私は嫌いだ。どうしてそんなにひとを下に見下すような言い方できるのかちっとも分からない。だから「私、あなたが同じことしても言わないよね?そんなバカげたことするの?なんて言わないよね?」とつい言い返してしまったのだ。
これまで積もり積もったものが、ぱーんと弾けてる。そんな気が、最近している。

家人と息子が菖蒲湯に浸かっている間、私はひとり、換気扇の下で煙草を吸った。まだ口論の残滓が私の中居座っていたので、気持ちを切り替えようとミルクキャンディーを口の中に放り込んでみた。甘い甘いミルクの味が瞬く間に口の中に拡がった。キャンディーをころころ舌で口の中転がしながら、こんなくだらないことで口論するなんて。それこそ馬鹿げてる。と、ひとりぶつぶつ言ってみた。
キャンディーをかりこりと噛み砕く頃には、気持ちもだいぶ落ち着いて、喧嘩をしたことがちょっと遠く感じられるくらいになっていた。いや、今さっきしたばかりの喧嘩なのに、もう「他人事」になっていた。ま、それが私の特性なんだろうけれども。

昼間吹いていた風は何処へ行ったのだろう。今窓の外ぴたり、風がやんでいる。闇は深く、沈んでいる。私も校正を済ませたら今夜は横になろう。

じっとりと、夜。


浅岡忍 HOMEMAIL

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