彼が帰国する前日の夜に、
早く帰って私に逢いたいというメールを受け取っていました。
メールの文面から伝わる彼のストレートな気持ちが嬉しくて、
私は彼がグアムから帰国する便の到着時刻を調べました。
そして、帰国当日、ほぼ定刻通りに彼から着信がありました。
飛行機を降りるとすぐに私に電話をしてくれたようです。
私達は翌日のデートの待ち合わせの時間を決めました。
ほぼ一週間ぶりに会う彼は予想通り日焼けしていて、
鼻の頭の皮が破れて赤くなっていました。^^
ランチの後、ホテルのお部屋でお土産を頂きました。
綺麗な正方形の箱の中身はコーチのペアウォッチ。
中央にコーチのロゴでシグネチャーが描かれた美しいシルバーの文字盤
とシックな黒のレザーベルトが素敵でした。
彼のセンスの良さに感激しました。
「今日、俺、時計して来なかったんだ。」
彼はレディースの小さな時計を箱から取り出して私に手渡すと、
大きな時計を日焼けした左の手首に着けました。
「Tさん、素敵!!
凄く良く似合う!!
ねぇ、私も似合う?どうですか?^^」
私も左の手首に時計を着けてみました。
しばらく、お互いの時計を見せ合いっこしました。
「今夜はこれをして食事に出かけような。^^」
その日の夜は少しフォーマルな和食のレストランへ出かける予定でした。
「人が見たら、ペアウォッチだってすぐに分かりますね。」
「分かったっていいだろう。俺は気にしないよ。」
夜、愛し合った後、彼の腕の中で呟きました。
「時計、素敵だね。文字盤がすっごく綺麗。」
「う〜んと、決められないなぁ。^^」
それから、彼の日に焼けた胸に抱きついて言いました。
「大好き。
理由は分からないけど、好き。大好き。」
「俺も大好き。気持ちいいから好き。」
「気持ちいいだけ?」
「素敵で気持ちいいから好き。」
「一番好き?」
「一番好きだよ。」
私は生まれて初めて何の不安も無く心を預けられる相手に
出会ったような気がしました。
グアムに滞在している彼から何通かメールが届きました。
旅行や出張で遠い所へ行くと、いつもより頻繁にメールをくれる彼。
一昨日は電話で声を聞くことも出来ました。
しばらく話した後で、
初日のゴルフを終えた後の彼からのメールには、
ホテルのバルコニーから撮った
青く美しいビーチの画像が添付されていました。
グアムは去年行ったタイよりも紫外線が強いらしく、
彼は初日のゴルフで真っ黒に日に焼けてしまったそうです。
二人の間の距離と1時間の時差を楽しんでいたのも束の間、
明日の午後にはもう私達は同じ街にいます。
週末のデートが楽しみです。^^
彼がグアムへ出発する日の朝、
気をつけていってらっしゃいとメールを送りました。
すぐに携帯電話に彼から着信。
彼はちょうど車で一緒に行く友達をピックアップするところでした。
「空港に着いたら一時間ほど空くから、
またその時に電話するよ。」
彼の明るい声が聞こえてきました。
正午少し前に彼からのメールに気がつきました。
メールを受信した時刻から既に1時間が経過していました。
私はすぐに彼に電話をしました。
「あっ、ちょっと待ってて。
もう一度外に出るから。」
ちょうどフライトの時刻の一時間ほど前だったので、
出国手続きをしようとしていたのかもしれません。
「ごめんなさい。遅くなって。
今、大丈夫ですか?」
「外に出たから大丈夫だよ。」
「俺がいない間、ちゃんといい子にして待ってるんだよ。^^」
周りに友達がいないのか、
子供に話しかけるような優しい口調で彼が言いました。
「はい。^^
気をつけて行って来て下さいね。」
「お土産買って来るからね。^^」
「ありがとう。
また、メールしますね。^^」
たった5日間の短い海外旅行だけれど、
出発前に彼の声を聞くことが出来て良かったと思いました。
彼は旅行前にゴルフ用の眼鏡を購入しました。
先週のデートで嬉しそうにその眼鏡を見せてくれた彼。
週末には南国の太陽の下で真っ黒に日焼けした
彼の笑顔に会うことが出来るでしょう。
彼がグアムに発つ前日の朝、
メールを送ったけれど、一日彼からの返信はありませんでした。
返信の無い理由は幾らでも想像することが出来ます。
出発前の準備で慌しいとか、
前倒しした仕事に追われているとか、
気持ちは既にグアムに飛んで私のことなど忘れているとか…。
去年タイにゴルフ旅行へ行った時には、成田空港から電話してくれた彼。
「俺は何でも捨てるんだ。」
と先日のデートで言っていた彼。
それは携帯電話の中の読み終えたメールや
二度と見ることのない画像のことではあるけれど…。
彼にとって大切な人との繋がりは彼の心の中にだけあって、
それ以外のものにはまるで執着しないところがあります。
私は時々そのことを寂しいと思うと同時に、
初めからそれは彼の性質なのだと諦めているところがあります。
グアム滞在中はゴルフのプレイ中以外なら
いつでも電話していいよと言っていた彼。
来年は一緒にグアムへ行こうかとも言ってくれた彼。
これ以上何も望むことなどある筈もないのに…。
2010年01月23日(土) |
映画の中の男女のように |
テレビの画面に映し出される美しいラブシーン。
ベッドの上で彼に後ろから抱かれながら画面を見つめている私。
彼の指がショーツのリボンを解き、
濡れている私の中を優しく掻き回すのでした。
「やめてよ…。」
「もうぐちょぐちょだよ。
厭らしい音がするだろう?」
映画の中の男女が激しく求め合うシーンを見つめながら、
私は固くなった彼のものを受け入れていました。
映画を観終わった後、
ストーリーを把握出来ていない私に意地悪を言う彼。
「まぁ、今日の映画は難しかったもんな。(笑)」
「今度からちゃんと服を着たまま映画を観ましょうよ。
どうして映画を観ている時にああいうことをするの?」
「いいじゃないか。
映画館ではあんなこと出来ないんだから。^^」
夜、スペイン料理のレストランから帰って来て、
私達はベッドで寄り添ったまま眠ってしまいました。
目覚めた時に、私は昼間観た映画のことについて彼に質問しました。
映画の中で、渡すつもりのなかった激しい欲情を綴った男の手紙が、
手違いで恋焦がれている女の手元に届けられてしまうという
シーンがありました。
「何て書いてあったか分かる?」
薄暗がりの中で彼が聞きました。
日曜日にはグアムへゴルフ旅行に出発する彼。
「飛行機が落ちるかもしれないから、最後にもう一度しよう。」
と言いました。
抱き合った後、どうしてそんなことを言ったのか聞いてみたら、
「そう言えば、もう一度出来ると思ったから。^^」
と彼が無邪気に答えました。
デートの前、心身共に少し疲れていた私だったけれど、
彼と抱き合って、あと一週間また頑張ろうという気持ちになりました。
ベッドで彼と抱き合っていた時、
「凄い色っぽいよ…。」
と彼が囁きました。
彼は時々、私がいつも彼を挑発しているようなことを口にします。
「いつも私の方がTさんに迫られてると思うんですけど?^^」
「理沙子がその目で誘って来るからだよ。^^」
「それって私が色っぽいってこと?(笑)」
「誰にもそんな風に言われたことないです。(笑)
きっとTさんだけに通用する色気なんですね。^^」
瑞々しい若い肌、肉感的な身体、艶のある仕草など、
一般的に色気と呼ばれる資質は何一つ備えていない私。
それでも彼がいつも私を抱きたいと思うのなら、
それは私も彼に抱かれたいと願っているから。
色気とは、抱き合いたいと願う相手に無意識に送られる
サインのようなものなのでしょう。
お寿司屋さんで食事をした後、
ワインバーには寄らずにホテルに戻りました。
お部屋のクローゼットの前で、
日本酒で少し酔っていた彼が私の胸やヒップにタッチしました。
「やだ、くすぐったい。止めて。(笑)」
「こういう時って理沙子は本当に嬉しそうな声を出すよなぁ。^^」
彼は素早く服を脱ぐとシャワールームへ行きました。
彼の次に私がシャワーを浴びて部屋に戻ると、
「さっきから待ってるんだけど…。」
とベッドの中の彼が真顔で言いました。
「好き…。」
と私が呟くと、
「大好き。」
と彼が言いました。
帰りの車の中で私が彼を見つめると、彼がそっと私の左手を握りました。
「もう来週まで俺は無理!^^」
と彼が言いました。
この場合、無理というのはセックスのことです。^^;
「出来ないなら会いたいとは思わないんですか?」
「出来なくても会いたいと思うよ。」
「ただ会いたいと思うこともありますか?」
「あるよ。
でも会うと理沙子に襲われるから、やっぱり会えない。(笑)」
「ひどい。もう。(笑)」
おやすみ前の彼からのメールには、
早く逢いたいねと書かれていました。
私は携帯電話を握りしめたまま、幸せな気持ちで眠りにつきました。
「車の雪を下ろすから、ロビーで待ってて。」
彼はそう言って、先にホテルの部屋を出て行きました。
ちょうど私がロビーに着く頃に、携帯電話に着信がありました。
「今、ロビーにいます。」
「じゃあ、外に出て来て。」
エントランスを出ると、駐車場から出て来る彼の車が見えました。
私達がホテルに滞在していた間に車の上に積もっていたはずの雪は、
既に取り払われていました。
彼の車に乗り込んで、彼の横顔を見つめました。
深夜に寝起きで雪下ろしをしてくれた彼に、
「寒かったでしょう。ありがとう。」
と言いました。
「チェックインが早かったから、凍ってなくて良かったよ。」
彼は『どうってことないよ。』という表情で前方を見つめていました。
薄暗がりの中で、
彼の横顔はいつもより少しだけ年を取っているように見えました。
「どのくらい好き?」
とベッドで私が聞いた時に、
私の身体が折れそうな位にきつく抱きしめてくれた彼。
愛おしい気持ちがこみ上げて来て、
私はしばらく彼の横顔を見つめていました。
信号が赤になった時、彼が私の視線に気づきました。
ホテルに向かう車の中で彼が私の手を握る時、
それは私を抱きたいというサインだけれど、
帰りの車の中でそっと握ってくれる彼の手の温もりは
別れの寂しさを和らげてくれる彼の優しさです。
いつものように彼の車を見送りながら、
彼が私を大切にしてくれるように私も彼を大切にしたいと思いました。
今年初めてのデート。
ランチの後、私達はシティホテルのお部屋で映画を観ました。
ベッドの上でお互いの身体に触れ合いながら観ていたので、
半分も観ないうちに映画に集中出来なくなってしまいました。
彼がお部屋の照明を落として、
「やっぱり、こっちを先にしよう。」
と言いました。
数日前に婦人科を受診したばかりだったし、前日まで出血があったので、
私は正直言ってこの日のセックスが少し不安でした。
それでも、彼にキスや胸への愛撫を繰り返されるうちに、
私の身体は次第に熱くなっていきました。
彼の指が私のその部分に到達した時、
「凄いよ。脚まで濡れてる…。」
と彼が囁きました。
「欲しかった?」
「ずっと欲しかったよ。」
「一週間ぶりね。^^」
「一週間じゃないよ。十日だよ。」
私達は強く求め合い、今年初めて一つになりました。
夜は中華料理のレストランへ行きました。
彼は紹興酒、私は赤ワインを飲みながら、美味しいお料理を頂きました。
お店を出ると、外は雪が降っていました。
ホテルまでの帰り道、彼はずっと手を繋いでいてくれました。
「Tさんは私のことが好きなんですね。^^」
白い雪で覆われた舗道を歩きながら私が言いました。
「そうだよ。^^」
「キスして。^^」
「ここでか?」
「全く大胆だよなぁ。^^」
彼が笑って言いました。
ホテルのエレベーターの中で二人きりになると、
彼はもう一度私にキスをしました。
今度は少しだけ長いキスでした。
先週のデートで彼とセックスした時から、不正出血が続いています。
お正月明けの明日、婦人科を受診することにしました。
彼にそのことをメールすると、すぐに電話がかかって来ました。
「明日、病院へ行くのか?」
「はい、あれからずっと出血が続いているので。」
「心配だよ。お腹は痛くないの?」
「痛みはそうでもないです。
でも、このままの状態が続いていたらTさんと出来ないです。
もし私と出来なくなっても付き合ってくれますか?」
「大丈夫だよ。」
「多分何でも無いと思うけど。
不規則な生活をしていてなることもあるみたいだし…。」
「明日、何時に行くの?」
「11時です。」
「終わったら電話して。」
「はい。
そういえば、明けましておめでとうございます。^^」
メールでおめでとうは伝え合ったけれど、
この時が今年初めての彼との電話でした。
「今年も宜しくね。」
「はい、いっぱい…宜しくお願いします。^^」
「いっぱい、いっぱい宜しく。^^」 「じゃあ、また。」
「明日、電話するんだよ。」
「はい。」
予約はしたものの婦人科を受診することは不安でした。
でも心配してくれる彼の声を聞いて、
私の身体はもう私だけのものではないような気がしました。
今年も彼といっぱい一緒に過ごすために、
自分の身体を大切にしようと思いました。
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