こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2009年10月30日(金) 抱き合う


 冬の足音が聞こえて来るような寒い日でした。

 朝から雨が降ったり止んだりのお天気で、

 時折車のフロントガラスを強く打つような激しい雨が降りました。

 私達はお魚屋さんでランチをした後、

 海に面した露天風呂がある温泉施設へ行きました。

 施設には家族風呂がありました。


 「家族風呂、入ろうか?^^」


 「う…ん。」


 「フロントに聞いてみるよ。^^」


 彼と一緒にお風呂に入ったことは数えるほどしかなかったから、

 私は恥ずかしくて曖昧な返事をしました。

 彼が空いているかどうかフロントに聞きに行ってくれましたが、

 既に予約済みで入ることは出来ませんでした。

 私は彼と一緒にお風呂に入りたい気持ちと

 恥ずかしい気持ちが半々だったので、少しだけほっとしました。

 私達は別々にお風呂に入り、50分後にロビーで待ち合わせをしました。




 夕方、市内のシティホテルにチェックインしました。

 一週間というのは私達にとって普通のインターバルだけれど、




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 愛し合った後、

 私の体の隅々まで満ち足りて、熱を帯びているようでした。




 彼が久しぶりと言って私を抱いたのは、

 その時までずっと私を抱きたいと強く願っていたから。

 そして、私もずっと彼に抱かれることを望んでいました。

 朝、運転席の彼を初めて見た時からずっと…。



2009年10月28日(水) 大好き


 今なら電話してもいいよとメールが来たから、

 オフィスにいる彼に電話をしました。

 電話に出るなり、彼は仕事がびっしりでとても忙しいと言うから、

 出来るだけ気持ちを抑えた口調で、


 「じゃあ、すぐに電話切りますね。」


 と言いました。

 彼はほんの少しだけ拗ねている私の気持ちを読み取って、


 「ステーキランチの美味しそうなお店があるよ。

  今度行ってみようか?^^」


 「近くに温泉があるからそこにも行こう。」


 などと私が喜ぶような提案をしてくれました。




 電話を切る前に私は、


 「何か言って。」

 
 と言いました。

 彼は会えない間にほとんど自分からメールをしない人なので、

 私は時々無性に優しい言葉が欲しくなります。


 「だ〜い好き!^^」


 私のご機嫌を取るように彼が言いました。


 「で、理沙子様はどうなの?」


 最近彼はよく私のことをからかって様付けで呼びます。




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 「やっぱり理沙子はSだよな。

  意地悪だから。^^」


 今のところ私は彼の気持ちを信じているから、

 以前の恋愛の時と比べて少しだけ強気でいられるのは事実。

 でも彼と私の気持ちの重さを天秤で量ったら、

 きっと私の気持ちの方が重くなると思っています。

 ただその重さを彼の前でなるべく見せないようにしているということを

 彼は気付いているでしょうか。




 その日の夜、彼から三つの候補のうち今度のデートで行きたい場所を

 選ぶようにというメールが届きました。

 去年彼と付き合い始めて間もない頃に、

 似たようなメールを貰ったことを思い出しました。

 私は三つの中から彼と一緒でなければ行くことのない、

 彼と一緒だからこそ行きたい場所を選んで返信しました。



2009年10月27日(火) 彼の手の温もり


 先週のデートで、私達は映画を観に行く予定になっていました。

 作品も上映時間も前日の電話で二人で決めていました。

 けれど、会った時に彼が映画を観ることに気乗りしない様子だったので、

 予定を変更して美しい自然に囲まれたダムを見に行くことにしました。




 駐車場に車を止めて、ダムの近くのカレー屋さんでランチをしました。

 それから、電気バスに乗ってダムへ向かいました。

 その日はとても寒く、私はベージュのステンカラーコートの上に

 ペールブルーのマフラーを巻きました。




 バスを降りて、湖と緑の雄大な景観を楽しんだ後、

 私達は誰よりも先に停車中の帰りのバスに乗り込みました。

 手が冷たくなっていたので、私の右手を彼の左手に伸ばすと、

 
 「冷たいなぁ。」


 と言って、彼は私の右手を彼のジャケットのポケットに入れました。




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 初めは私達二人しかいなかったバスの中も、

 ダムの見学を終えた人達で次第に混んで来ました。

 私の右手はすっぽり彼の左ポケットの中に入っていたから、

 きっと他の人には私達が手を握り合っていることは分からなかった

 でしょう。

 それでも、バスに乗っている間ずっと、

 私は彼と秘密を共有しているような気持ちになって、

 何も言葉を交わさずにドキドキしていました。

 彼の大きな手の温もりを感じながら…。



2009年10月25日(日) 世界で一番綺麗な夜景


 「今まで何処の夜景を見たことがある?」


 黄昏時の展望台で彼が私に尋ねました。

 その場所は夜景が美しいことで有名でした。


 「函館、長崎、神戸、横浜、それから香港…。」


 「その広がりで言ったら、

  神戸や函館よりも綺麗な夜景が見られる場所があるよ。」


 「エンパイア・ステート・ビルから見た

  マンハッタンの夜景よりも綺麗なの?」


 「マンハッタンなんてそんな小さなもんじゃないよ。

  今度見に行くか?^^」


 「うん。^^」


 「来週行こう。Next week!^^」




 旅行中の約束どおり、翌週のデートの日、

 彼にとって最高の夜景を見に連れて行ってくれました。

 車が山道を上っていくにつれて、

 私の右側の視界に光の瞬きが飛び込んで来ました。


 「右を向くなよ。

  上に着くまで我慢していなさい。」


 「は〜い。^^」


 「凄く綺麗だから、理沙子はきっと騒ぐだろうな。(笑)」


 「あはは。^^」


 ホテルで彼に抱かれた後、

 ベッドでまどろんでいた私を外に連れ出したのは彼でした。

 彼はいつでも有言実行の人です。




 駐車場に車を止めて、展望台まで急な坂道を上りました。

 彼はいつものように手を繋いでくれました。

 坂道を上った後に、さらに展望台の階段を上りました。

 私は途中で息を切らしながら上りましたが、

 一回り近く年上の彼の方が平然とした様子でした。

 展望台の屋上に上ると、

 宝石箱をひっくり返したように光り輝く夜景が見えました。


 「綺麗…。

  信じられない光の数ですね…。」


 「だろう?^^」


 「今までに見た夜景の中で一番綺麗です。」


 「広がりが違うだろう。^^」




 夜景を見た後、私達はお寿司屋さんへ行きました。

 いつものように彼の贔屓の板前さんとお喋りしながら食事しました。

 この日は寒かったので、彼が鮟鱇鍋を注文してくれました。

 店内ではプロ野球中継が放送されていて、

 彼の故郷のチームが勝っていました。

 かつては彼の故郷には地元チームは無く、

 巨人ファンが圧倒的に多かったそうです。

 でも今では誰もが地元チームを熱狂的に応援しています。


 「もし日本シリーズで巨人と戦うことになったら、

  どちらを応援するかジレンマに陥ったりしないのかしら。」


 「それはあり得ないだろう。

  地元の野球ファンにとって巨人は元カノみたいなもんだからな。




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 彼はただ例え話をしたに過ぎないのに、

 私は彼のその言葉に嬉しくなりました。

 最後に彼が注文してくれた雲丹の握りを頂いてから、

 隣に座っている彼の方を見ました。


 「美味しかった。^^

  もうお腹いっぱいです。」


 「もう何も食べられない?

  あとはTさん(彼の名前)しか食べられないか。(笑)」


 「うん。^^

  なんて、私、18禁の顔してないですよね。^^;」


 「大丈夫だよ。^^」




 ホテルのお部屋に戻ってベッドで彼とキスをした時、


 「今の理沙子、18禁の顔してた。^^」

 
 と彼に言われました。

 それはきっと私が彼と二人きりの時だけに見せている

 恥ずかしいほど無防備な表情なのでしょう。



2009年10月23日(金) 最後にもう一度


 朝、彼の明るい声で目が覚めました。

 彼は窓際に立ち、ホテルの前のゴルフ場を眺めていました。

 私達のお部屋の大きな窓からは

 広大なグリーンで宿泊客達がプレイしている光景が見えました。

 彼は自分も今すぐにゴルフを始めたくて仕方がないような様子でした。



 私はまだベッドの中にいて、

 朝からゴルフのことで頭がいっぱいになっている彼のことを

 ちょっぴり不貞腐れて見ていました。

 しばらくすると、彼は、


 「俺、お風呂に行って来るよ。

  理沙子は行かないの?」


 と私に聞きました。


 「私は深夜に入ったから、もういいかも…。」


 彼はシーツに包まっている私に顔を近づけました。


 「Tさんがお風呂から出て来るまでに着替えてますね。^^」


 「何でもう着替えるんだよ!」


 「朝食に間に合わなくなるでしょう?」


 その日は遅くとも11時までにはチェックアウトをして、

 午後2時までに市内の動物病院へ

 岳を迎えに行かなければなりませんでした。


 「まだ時間はあるだろう?

  着替えるなよ。」




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 彼が部屋を出た後、私も浴衣を羽織りお風呂に出かけました。



 お風呂から戻ると、彼はベッドの上に寝転んでいました。

 私は彼の腕の中に滑り込みました。

 朝の眩しい光がダブルベッドに差し込んでいました。

 彼が私の黒いキャミを脱がそうとしたので、


 「明るくて恥ずかしい…。」


 と言いました。


 「カーテンを閉めようか?

  閉めても明るいと思うけど。^^」


 いつもはシティホテルで抱かれているから、

 大きな窓のあるリゾートホテルの室内は

 やけに明るく感じられるのでした。



 カーテンを閉めて私の所へ戻って来た彼は

 もう一度私を抱き寄せました。

 私達は残された少ない時間を惜しむかのように愛し合いました。



2009年10月21日(水) 紅葉を探しに


 自然公園には美しい山々に囲まれた大きな湖があり、

 湖の中には大小幾つもの島々があります。

 私達が訪れた週末は丁度その周辺の紅葉の見頃でした。
 
 観光バスが入れないような山道を車で登っていくと、

 空き地のような駐車スペースがありました。

 私達はそこに車を止めて、さらに細い山道を徒歩でのぼりました。

 道が凸凹していて歩きにくいので、彼が手を繋いでくれました。

 5、6分ほど歩くと穴場スポットとも言える展望台があり、

 そこからの眺めはまさに絶景でした。

 赤、黄、橙と色鮮やかに染まった山々と青い湖のコントラストは

 溜息が出るほどの美しさでした。




 自然公園を出ると、車は二日目のホテルに向かって走りました。

 ドライブの途中で彼は一人で車を降りると、

 全国駅弁人気ランキングで毎年トップになるという『いかめし』を

 買って来てくれました。

 車の中で早速包みを開けて、彼と一つずつ食べました。

 病み付きになりそうな素朴で優しい味でした。




 4時頃、私達は大自然に囲まれたリゾートホテルに到着しました。

 彼がマウンテンビューのお部屋をリザーブしてくれていたので、

 広い窓からは美しい山の景色を間近に見ることが出来ました。

 夕食前に館内の源泉かけ流し露天風呂へ行こうと話していたのに、




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 彼は放送が終わるまでずっとテレビの画面に釘付けでした。

 放送が終わると、彼はようやく浴衣姿で待っていた私に気付いて、


 「よく似合うよ。」


 と言ってくれました。(笑)




 私がお風呂から戻って来ると、

 彼は既にお部屋で湯上りのビールを飲んでいました。

 私が新しい下着をお部屋に忘れてお風呂に出かけたので、

 浴衣の下に何も着けていないことを彼に話すと、

 後ろから羽交い絞めされました。^^




 食事に出かけるために私がワンピースに着替え、

 洗面台の鏡の前で髪を整えていると、


 「俺も着替えようかな。

  綺麗なお嬢さんに釣り合うように。^^」


 と彼が言いました。

 彼は着ていたカジュアルなシャツをシックなものに着替えて、

 黒のジャケットを羽織りました。


 「Tさんはダンディですよ。^^」


 鏡の中の彼を見て私は言いました。




 日本料理のレストランで彼と食事をしながら、

 5月の初めての旅行の時と比べて

 私達の関係は随分変わったと思いました。

 あの時の私達は今よりもっとロマンチックだったような気がしました。

 最近はお互いに冗談ばかり言い合っている私達。

 安心感、信頼感は確実に増しているけれど、

 ドキドキする気持ちは少しずつ薄れているような気がしました。

 彼の優しさはいつも変わらず、それがあまりにもさりげないので

 私はいつの間にかそれに慣れてしまっているけれど、

 ささやかな幸せにも感動する気持ち、

 感謝する気持ちを忘れずにいたいと思いました。



2009年10月20日(火) 旅の始まりは


 彼と二泊三日の旅行に出かけました。

 迎えに来てくれた彼の車に私が乗り込むと、


 「後ろに岳がいるよ。」


 と彼が言いました。

 私が驚いて助手席の後ろを見ると、

 後部座席の下にうずくまっている岳がいました。

 彼の愛犬、岳は愛らしいミニチュアダックスフンドです。

 岳は今から自分が嫌いな場所に連れて行かれることを知っていて、

 怯えているように見えました。

 私は岳が可哀相になって、


 「岳も一緒に連れて行けたらいいのにね。」


 と言いました。




 動物病院に着くと、彼は岳を抱っこして外へ連れ出しました。

 それから助手席のドアを開けると、

 病院に預ける前に私に岳を抱っこさせてくれました。

 思わず頬ずりしたくなる柔らかい茶色の毛と

 じっと私を見つめるつぶらな瞳が愛らしくて、

 そのままずっと抱き締めていたい気持ちになりました。




 彼が岳を預けて車に戻って来ました。


 「帰りのお迎えの時にも岳に会える?」


 「いいよ。^^」


 「Tさんが私のことを『ワンコの次に好き』って言ってた気持ち、

  よく分かりました。^^」


 「俺、そんなこと言ったっけ?(笑)」


 「はい、私のことは二番目に好きだって。(笑)

  でも、岳はあんなに可愛いからそう言うのも無理はないです。

  私がもっと若かった時だって岳ほど可愛くはなかったもん。^^」


 私達の車は最初の目的地に向けて走り出しました。




 ランチタイムは高速から下りて、

 以前から気になっていたお蕎麦屋さんへ行きました。

 彼は天せいろの大盛り、私は鴨せいろを頂きました。

 とても美味しかったです。




 一日目の宿泊先のホテルに着いたのは夕方の4時頃でした。

 通されたのはバルコニーとキッチンが付いた美しいダブルのお部屋

 でした。

 冷蔵庫に用意されていた飲み物とフルーツを頂きながら、

 しばらくソファに座って一休みしました。

 5時間近くずっと運転していた彼の方が疲れていた筈なのに、

 私の顔色があまり良くなかったのか、


 「大丈夫か?」


 と何度か彼に心配そうに聞かれました。




 しばらくお部屋で寛いだ後、市街が一望出来る展望台へ出かけました。

 私達の車が山の上の駐車場に着いたのは黄昏時でした。

 暮れなずむ空と海、港のある街の色がとても美しく、

 彼と二人で遠い異国の地を訪れているような気持ちになりました。




 夜は一ヶ月ほど前から予約していたバスク料理のお店へ出かけました。

 スペインとフランスにまたがるバスク国のお料理ということで、

 どんなメニューがあるのか興味津々でした。

 新鮮な魚介類や野菜など素材を生かした素朴で家庭的な味のお料理は

 どれもがワインにぴったりでした。




 最近疲れていると少しのお酒で酔ってしまう私ですが、

 この日も白ワイン1杯と赤ワイン2杯で相当酔っていました。

 酔うと眠くなるのもいつものことで、

 ホテルに戻ると彼が靴を脱がせてくれました。

 彼が入れてくれたバスタブの熱いお湯に浸かると、

 そのまま眠ってしまいそうになりました。

 ぼんやりとした意識の中で彼に悪いなぁと思いながら、

 白いバスローブを羽織り、彼が待つベッドに入りました。



 キスをして、バスローブの紐を解かれた記憶はあるのだけれど、

 それから先のことはほとんど覚えていないのです。




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 翌朝は疲れも取れて爽やかに目覚めました。

 ホテルのお洒落なレストランで美味しい朝食を頂きました。

 焼きたてのパンと自家製のジャム、絞りたてのフレッシュジュース、

 玉葱のポタージュ、オムレツとフレッシュサラダ、

 フルーツと自家製ヨーグルト、最後には美味しいコーヒーを頂きました。




 10時頃、ホテルをチェックアウトして、

 私達の次の目的地である自然公園へ向かいました。

 天気予報は大きく外れて、空は美しく晴れていました。

 彼も私も「誰のお陰でこんなに晴れたんだろうね?」と

 口々に言い合いました。^^



2009年10月14日(水) 深夜のメール


 深夜0時20分に彼からメールがありました。

 某銀行主催のゴルフコンペで一年を通して最高の成績を収めた

 プレイヤーに送られる総合優勝を勝ち取ったという嬉しい報告のメール

 でした。

 思えば去年の今頃、私達が初めてのデートをした日から二日後の

 深夜0時15分にも彼からメールが届きました。

 そこには一年間の成績のスタートとなったコンペの表彰式で、

 満面の笑顔で優勝のトロフィーを抱いている彼の画像が

 添付されていました。

 今回はその銀行主催のコンペの一年間の成績に対する総合優勝

 ということで、去年よりも更に大きなトロフィーが彼に贈られました。

 今朝、去年のトロフィーと今年のトロフィーを並べて撮った画像が

 彼から送られて来ました。




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 一番嬉しかったニュースを

 二年続けて真っ先に私に知らせてくれたことが嬉しくて、

 最近二年目を迎えた私達のお付き合いも

 またこれから素敵なことがあるような気がしてきました。



2009年10月13日(火) 笑顔の分量


 彼とデートした翌日に、

 彼にメールで『SSSの理沙子様』の意味を尋ねてみると、




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 私自身は全く意識していないのだけれど、彼がそう言うからには、

 もしかしたらそっちの気もあるのだろうかと思ったりするこの頃です。

 人前では偉そうにしているくせに、二人きりになると甘えん坊の彼。

 外で苛められている分、お部屋にいる時は意地悪してみたいかも。(笑)




 今日も少しの間、彼と電話で話しました。

 彼は先週末、仲間と飲みに行った後に

 酔ってどこかにジャケットを置き忘れてしまいました。

 お店やバーに連絡したけれど、結局ジャケットは行方不明。

 諦めて新しいジャケットを買ったそうです。


 「結局、出て来なかったよ。

  多分居酒屋に置き忘れて、誰かが間違えて持って行ったんだろう。」


 「そうなんですか。持って行っちゃうなんてひどいですね…。

  でも、こんなことの後にはきっと何かいいことありますよ。^^」


 「いいことあるよ〜。

  16日にな。^^」


 彼は甘い声で私達が旅行に行く日のことを言いました。


 「楽しみですね。

  晴れるといいなぁ。^^」


 好きな人が自分と同じ気持ちだと知っているだけで、

 女は無邪気に素直な言葉で話すことが出来ます。

 私達は旅行から帰って来た後のデートの約束もしました。



 こんなにしょっちゅう会っているのに、

 デートの日には半日以上一緒にいることがほとんどなのに、

 飽きないどころか会う度に楽しいと感じられる幸せ。

 彼と付き合うようになって私の笑顔の分量もぐんと増えました。



2009年10月12日(月) 雨の日のシティホテル


 午前10時半に彼と待ち合わせ。

 予報通り朝から冷たい雨が降っていました。

 一時間ほどドライブして、海の見える場所へ行きました。

 港に車を停めて、しばらく雨で霞んだ海を眺めていました。

 お昼にラーメンを食べた後、スパへ行きました。

 少し身体が冷えていたのでジャグジーに浸かって温まりました。

 待ち合わせのサロンへ行くと、彼も丁度スパから出て来たところでした。

 デッキチェアに座って、しばらく彼とお喋りしました。




 午後2時を過ぎた頃に市内のシティホテルにチェックインしました。

 お部屋でシャワーを浴びた後、

 ドライブの帰りに買ったチーズケーキを食べました。

 彼はデザートにも結構うるさい方だけれど、

 私の大好きなそのお店のチーズケーキは彼もお気に入りです。



 10日ぶりに彼に抱かれました。

 繋がる前に私は彼の指で繰り返しいかされました。

 耐え切れずに私が声を上げると、彼は私の唇を優しく塞ぎました。

 いつもは彼が辛抱強く私を導いてくれるのだけれど、




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 夜はホテルの中の日本料理のレストランへ行きました。

 私達はお酒を飲みながら鮑のコースを頂きました。

 食事を終えてお部屋に戻るためにシースルーエレベーターに乗りました。

 美しいアトリウムロビーは最上階まで広い吹き抜けになっています。

 向こう側の廊下には披露宴を終えたばかりの新郎新婦が見えました。

 彼は華やかなイブニングドレスを着た若い新婦を見て、


 「綺麗だな。遠目に見ると。^^」


 と言いました。

 そして、車の中や傘の下だと女性は綺麗に見えるという話をしました。


 「俺、若い頃は不思議だったんだよなぁ。

  車の中だとどうして女性は綺麗に見えるんだろうって。^^」


 「あはは、じゃあ私も車の中では綺麗に見える?^^」


 「理沙子はいつでも綺麗だよ。^^」


 彼はこんな私のことを綺麗だと言ってくれる優しい恋人です。




 お部屋に戻ると彼はすぐに部屋着に着替えて、

 ベッドの上でビールを飲み始めました。

 私はチーズケーキと一緒に買ったチョコレートを彼に勧めました。

 私もシャワーを浴びた後に

 赤いキャミとショーツを着けてベッドに入りました。

 一人ではほとんど見ないバラエティ番組も

 彼と二人で見ると楽しかったりします。

 テレビを見ながらキスをしたり、触れ合ったりしているうちに

 少しずつ欲しくなって来ました。

 やがて、彼がテレビを消し、部屋の照明を暗くしました。

 彼が私の耳にキスをしながら後ろから私を抱き締めました。

 そして、そのままの形で彼と繋がりました。




 家に帰ると、彼からいつものおやすみメールが届きました。

 メールの最後には『SSSの理沙子様』と書かれていました。



2009年10月08日(木) ゴルフコンペの結果


 昨日の夕方、ゴルフコンペの表彰式が終わった後、

 彼からメールがありました。

 コンペの順位表の画像付きのメールで、




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 最近ゴルフの調子があまり良くないと言っていた彼。

 でも去年と同様、シーズンの終盤にかけて調子が出て来たようです。

 去年の今頃、彼は銀行主催の大きなコンペで優勝しました。

 私達が付き合い始めたばかりの頃で、

 表彰式で優勝のトロフィーを抱いた彼の画像付きのメールが

 深夜私の元へ送られて来たのでした。

 彼のゴルフが絶好調の時に私達は付き合い始めました。

 今年はシーズンの初めから彼を見てきたから、

 彼が肩や腿を故障した時のことも知っています。

 年齢を気にするような発言をすることもありました。 

 でも彼にとってゴルフは好きな仲間と楽しむことが一番の目的です。

 ゴルフは良い時もあれば悪い時もあるのが当たり前で、

 だからこそ面白くて止められないと言う彼。

 それは彼の人生哲学にも通じるところがありそうです。




 先日のデートで彼とこんな話をしました。


 「私も来年からゴルフを始めようかな。」


 「俺は絶対一緒にやらないからな。」


 「あっひどい!

  Tさんと一緒にしたいなんて言ってないのに。」


 彼曰く下手な人と一緒にゴルフをすると自分の調子も狂うのだそうです。


 「だいたい、理沙子は普通だろ?」


 「普通って?」


 「運動神経だよ。

  普段の動作を見ていると、到底いいとは思えないから。(笑)」


 「普通というより…鈍い方かも。^^;

  でもダンスはTさんより上手だと思います。^^」


 「ダンスは運動神経よりリズム感だから。

  俺はリズム感ゼロだからな。^^」


 「私がゴルフを始めるとしたら、

  スクールに通って基本からしっかり教えてもらうつもりです。^^」


 「ま、あれだな。

  まずは打ちっぱなしに行ってみてどれだけ打てるかだな。」



 
 今週はお互いの都合が合わなくて会えないから、

 珍しく彼と私の間で何通かのメールが往復しています。

 彼と会えない間に会った時に話したいと思うことが増えていきます。

 今度のデートの日にはきっと彼からも沢山の楽しい話が聞けるでしょう。



2009年10月06日(火) 旅行プラン


 昨日は旅行の打ち合わせのために3回彼と電話で話しました。

 旅行中、彼の愛犬岳を病院に預けることになっているのだけれど、

 三日目の引き取りの時間に間に合うかどうかという心配がありました。

 彼はホテルを朝9時に出て高速道路を飛ばして帰れば、

 午後2時の引き取りの時間には間に合うと話していました。

 私は三日目は休日ということもあって道路の混雑と安全運転を考えると、

 旅行を一泊にするか二泊目のホテルを近場に変更した方が良いのでは

 と提案しました。




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 昨夜のメールと今日の最初の電話では、彼は私の提案には応じず、

 私が彼に一任するということで話がついていました。

 ところが、二度目に彼から電話があった時、彼はこう言いました。


 「色々熟考した結果、二泊目はもう少し近場で泊まることにしたよ。」


 彼は一度何かを決めた後にあれこれ考えたりする性格ではないので、

 私は少し驚きました。


 「今は行楽シーズンだし帰りの日は日曜日だから、

  道路の混雑状況が読めないからな。

  それに折角の旅行だから温泉も楽しみたいし。^^」


 「やっぱりそうでしょ。^^」


 「そんな勝ち誇ったように言うなよ。(笑)」


 「道が混んでいたら、

  いくらTさんがF1ドライバーのように飛ばそうとしたって

  無理ですから。(笑)」


 それから、私達は二泊目の宿泊場所やホテルについて話をしました。

 彼はその後すぐに、

 眺望の素晴らしい露天風呂があるホテルを予約してくれました。




 彼と電話で話しながら、

 彼も今度の旅行を楽しみにしていることが伝わって来ました。

 美しい景色や綺麗なお部屋、美味しい食事も勿論楽しみだけれど、

 何より一番嬉しいことは、いつもと違う街で

 日常の慌しさを忘れて彼と二人きりの時間を過ごせることです。



2009年10月05日(月) Friendship


 「俺は口が悪いから。」


 と彼自身が認めているように、

 時々彼の言葉をきつく感じることがあります。

 その場では私は気にしない素振りをすることが多いけれど、

 一人になった時にその時の彼の態度を思い出して、

 何となく冷めてしまう自分がいます。



 多分私が時々客観的になってしまうことは悪いことではないのでしょう。

 それに私よりも彼の方がもっと

 この関係を冷静に見ている気がするのです。

 私達には一定の距離がある方が長続きすると思うのです。

 いつか抱き合えなくなる日が来るとしても友情だけは残るような

 関係でありたいと思います。




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 私を見つめる彼の眼差しが冷たく感じられるようになったなら、

 自分の心の扉に錠をおろし潔くお別れしましょう。



2009年10月03日(土) 彼の人生観


 中華料理のレストランで、

 彼は紹興酒、私はシャンパンで食事を頂きながら、

 少しシリアスな話をしました。

 
 「ある企業の採用試験の最終面接で、

  『今までの人生を振り返って幸せだったか?』という質問があって、

  幸せだったと答えた学生とそうではなかったと答えた学生の

  どちらを企業は採用すると思う?」


 彼が私に尋ねました。


 「それは『幸せだった。』と答えた学生の方でしょう。

  考え方がポジティブだから。」


 「それはそうなんだけど、

  採用側の理由は『幸せだった。』と答えた学生の方が

  人に感謝する気持ちを持っているからなんだそうだ。」


 「それは納得ですね。」


 「俺は思うんだけど、誰の人生だって何らかの苦しみは伴うだろう。

  一生を送ってみれば誰の人生にだって良いことも悪いこともある。

  その運命は変えようがないんだから、

  あとはその人生を本人がどういう気持ちで生きるかだろう。」


 彼の話を聞きながら、

 私は彼のポジティブな考え方や人との付き合い方の根底にあるものを

 見たような気がしました。

 彼の普段の言動を見ていると、彼が家族や友人、

 かつての恋人に対しても感謝の気持ちを持っていることが感じられます。

 過去を切り捨ててきた私の人生と比べて、

 過去の思い出や人間関係を今も大切にしている彼の人生は、

 ずっと豊かなものに思えるのでした。



 彼は決して過去の過ちや失敗を他人のせいにしたりしない人です。

 私が過去の自分や過去の恋愛を悪く言うと、




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 彼は思い出を傷つけるような言葉は口にしません。



 私達の付き合いが三年後、五年後にどうなるのか、

 私には想像も出来ないけれど、

 いつか振り返った時に彼と過ごした日々に感謝できるような

 そんな恋をしていきたいと思いました。



2009年10月02日(金) 秋晴れ


 高く青い空が広がる爽やかな秋晴れの日、

 朝早い時間に彼からメールがありました。

 連れて行きたい場所があるから、

 待ち合わせの時間を早くしようとのこと。

 すぐに彼に電話をして、

 予定の時間よりも1時間ほど早く会うことになりました。



 彼が車で連れて行ってくれた場所は日本海が見える小さな町。

 彼が私に見せたいと思っていたのは、鮭の遡上でした。

 彼と付き合い始めてから、

 季節折々の自然に触れる機会がぐんと増えました。

 道路から川原に降りる時、彼は私の手を取ってくれました。

 産卵のために命がけの旅をして来た鮭達。

 力尽き果てて死んでしまっている鮭もいました。

 私は透き通った清流で泳いでいる元気な鮭達の姿を

 携帯電話のカメラに収めました。

 お昼は地元のお寿司屋さんで美味しい握り寿司を頂きました。

 猟師の町の新鮮な魚介を使ったお寿司はとても美味しかったです。



 帰りの車の中で彼は私にお昼寝するように言いました。


 「今のうちに寝ておいて。後で寝かさないから。」


 彼は助手席に座っている私の左手をギュッと握り締めました。


 彼が時々私の方を見て、


 「もう寝たか?」


 と声をかけるので、

 私はホテルに着くまでほとんど眠れませんでした。^^



 ホテルに着いてから夕食に出かけるまでの間、

 私達は抱き合ったり、お昼寝したりして過ごしました。




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 会えない間の小さな不安が嘘のように消えて、

 私の心と身体は好きな人と抱き合える喜びで満たされました。


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