こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2009年06月30日(火) 彼の好きなものを好きになる


 先週会った時に彼に薦められた映画のDVDを観ました。

 母親を亡くした少年が父親や兄の強い反対を受けながらも、

 バレエダンサーになる夢を叶えるというイギリスの映画です。

 彼はサントラ盤のCDを持っているほどこの映画が好きです。

 家族の気持ちを気遣いながら、自分の夢を叶えようとする

 ひたむきな少年の姿に心打たれます。

 主人公の少年を幼い頃の彼の姿と重ねながら、この映画を観ました。



 観終わった後、私はこの映画が好きだと思いました。




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 幼い頃に母親を亡くした彼。

 彼はその後、

 どんな思いで複雑な環境の変化と大人達の気持ちを見つめ、

 悲しみをこらえてきたのでしょうか。

 彼にそれを尋ねる代わりに、

 私もこの映画を好きになったと彼に伝えたいと思いました。



2009年06月29日(月) 返信


 日曜日の午前中、ふと彼にメールを送りたいと思いました。

 一瞬躊躇する気持ちを打ち消すように送信ボタンを押したくせに、

 送った途端に返信を待つのが辛くなって

 メールしたことを少しだけ後悔しました。



 メールを送った後、

 私は買い物に出かけたり、お部屋の掃除をしたりしていました。

 しばらくすると彼から返信がありました。

 月末の日曜日ということで彼は仕事で忙しそうでした。

 ハートマーク3つとお日様マーク9つが

 やけに明るく目立つ短いメールだったけれど、

 休日の午後にひととき彼と繋がったことで私は嬉しくなりました。

 忙しい仕事の合間を縫って返信してくれたのでしょう。

 先日の電話での約束を覚えていてくれたのだと思いました。





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 私の記憶する限り、今まで彼と一緒に観た映画は

 シアターとお部屋で観たものを合わせて16本になります。

 今度観る映画はスペインのバルセロナが舞台なので、

 観終わった後の彼のレクチャーがとても楽しみです。^^



2009年06月28日(日) 彼という人


 彼には友達が沢山います。

 彼に友達が多い理由は私にも分かる気がします。

 彼は基本的にとてもフレンドリーでオープンな性格です。

 そしてポジティブかつアクティブでもあります。

 人との付き合いにおいては義理堅く、几帳面です。

 これまでに出会った人達との思い出を大切にしています。

 彼はサービス精神が旺盛で人を笑わせることが好きです。

 私は彼が友達の悪口を言っているのを聞いたことがありません。

 こんな彼だから、

 私がもし男だったらきっと彼の友達になりたいと思うことでしょう。




 先日の旅行でドライブしていた時に、通行止めの表示がありました。

 カーナビでは先まで道があるように表示されていたので、

 私達は不思議に思いました。

 彼は車を止めると窓を開けて、

 山で山菜か何かを取っている二人のおばさんに声をかけました。


 「この先、通行止めになってるの?」


 二人のうち一人が彼を見て言いました。


 「まっすぐ行けると思いますよ。」




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 今まで表情を崩していなかった二人が顔を合わせ、笑いました。

 ほんの短い間だったけれど双方の間に会話があり、

 和んだ空気が流れました。

 私は助手席でそのやり取りを笑って聞いていました。




 私は以前彼に


 「Tさんって市会議員になれそう。^^」


 と言ったことがあります。

 彼はちょっと不満そうに、


 「国会議員じゃないのかよ。(笑)」


 と言っていましたが。^^




 私は彼の恋人だから、彼が普段人に見せている魅力以外に

 私だけが知っている彼の魅力もあると思いたいのです。

 彼が周囲の人を惹きつけているものが光の部分だとするなら、

 不意に私に見せたものが彼の陰の部分だとしても

 私はきっと愛おしく感じることでしょう。



2009年06月27日(土) 記録更新


 先週のデートの夜の食事で、

 気持ちと言葉が何度かすれ違っていたのは、

 二人を挟んでいたテーブルのせいでしょうか。

 必ずしもそうではない筈だけれど、

 カウンターなら時々身体が触れ合う位に近くにいるから、

 気持ちが寄り添い易い気がします。



 二人でビールのジョッキを何杯飲んだでしょうか。

 胃が十分に満たされて、ほろ酔い気分になってきた頃、

 彼が最近観たNHKの特集の話から数年前に行った台湾の話を

 始めました。

 彼は時々ヨーロッパやアジアの歴史の話をするけれど、

 そこには彼の知識だけではなく彼自身の洞察が盛り込まれていて、

 私にはとても興味深く夢中になって聞いてしまいます。

 彼がとても雄弁で話し上手だということと

 私の好きな人の話だということの相乗効果で、

 彼の話を聞くことはとても楽しいのです。

 
 「こんな話、興味無い?」


 話の途中で彼が急に尋ねました。




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 彼は私の返事を聞いて微笑むと、話を続けました。




 彼は私が元彼とは遠距離恋愛だったことを知っていて、


 「俺達のベッドの回数はもう追い越しているんじゃない。」


 と笑って言ったことがあります。

 ベッドの回数だけでなく会話量も

 あの人との7年間の分をとうに追い越しているかもしれません。




 焼肉屋さんを出た後、彼は珍しく


 「バーで何か飲んで行く?」


 と私に尋ねました。

 結局その夜はバーへは行かずにお部屋に戻って抱き合ったけれど、

 いつか彼とゆっくり飲みながら話が出来たらいいなと思いました。



2009年06月26日(金) 女の習性


 抱き合った後、彼の腕の中で、


 「やっぱり友達になるなんて無理…。」


 と呟きました。

 彼とは普通に会話をすることも、

 一緒に食事やお酒の時間を共有することもとても楽しいことだけれど、

 会えばやっぱり求め合ってしまうから…。




 昨夜、私がシャワーを浴びるためにベッドを離れようとした時、

 彼が携帯電話を開いて何かを見ていることに気付きました。

 いつも帰る間際になると、彼は少しだけ素っ気無くなります。

 だから、この時も彼の気持ちは私から離れて、

 誰かからのメールを読んでいるのかもしれないと思いました。


 「何を見ているの?」


 平静を装って彼に聞いてみました。




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 私は少しだけ安心して、


 「来週はいつ会えそうですか?」


 と聞きました。

 彼は空いている二つの曜日を言って、


 「理沙子はどっちがいい?」


 と聞きました。


 「Tさんの都合のいい方でいいですよ。

  出来ればゴルフが入らない日。」


 彼は少し考えてから次のデートの日を決めました。

 もしかしたらゴルフにデートの時間を半分奪われてしまうことを

 諦めつつ、私は、

 
 「ゴルフ、入れないでね。^^」


 と言いました。


 「入れないでじゃなくて、入れて…だろ。(笑)」


 彼が冗談を言ったので、私は笑ってバスルームへ行きました。




 彼に会う日を中心にして一週間を過ごすようなことは

 したくないと思っていた筈なのに、

 時々私は彼に会う日を楽しみにして過ごしている自分に気付きます。

 それは新しいワンピースを選ぶ時だったり、

 観たい映画を探している時だったり…。

 会えない時の方が寧ろ恋に支配されてしまうのは

 女だけの習性なのでしょうか。



2009年06月25日(木) もう一度好きになる


 まばゆいほどに晴れた朝。

 彼がいつものように約束の時間より少し早めに迎えに来てくれました。

 私が彼の車の助手席に座ると、

 彼は私が彼の車に乗る度にシートの位置を調節しなくてもいいように、

 私の好みの位置に設定しておく方法を教えてくれました。


 「これからは、いつも1番のボタンを押せばいいから。」


 と彼は言いました。

 彼の車の助手席には色々な人が座ります。

 一番座る頻度が高いのはおそらく彼自身です。

 彼は仕事の後で飲みに行く時は必ず、

 代行のドライバーに自分の車を運転させて帰るからです。

 他にも彼の部下や友達が座ることもあるでしょう。

 それでも、毎週必ず彼の車に乗るのは私だけだから、

 私に彼の助手席の1番をくれたのだと思います。

 彼にとってみれば、きっとほんの些細なこと。

 でも、彼の「これからは、いつも…」の言葉に

 私は思わず嬉しくなりました。




 この日は彼に提案された2つのプランのうち1つを私が選んで、

 美しい湖を見に行きました。

 高速を降りて、夏の日差しに輝く緑の中を走り始めると、

 彼は車のサンルーフを開けました。

 眩しい青空が広がり、優しい小鳥のさえずりが聞こえてきました。




 午後1時を過ぎた頃に、

 山の上に建つ豪華なリゾートホテルに着きました。

 最上階のレストランで私達は窓際の席に座り、

 大きなガラス越しにその雄大な湖を眺めながらランチをしました。

 深い青色の水を湛えて沈黙するその姿は、

 まるでホテルが所有する一枚の絵のように完璧な美しさでした。

 その後、1階にあるティールームへ行き、

 彼はコーヒー、私は紅茶とケーキを頂きました。




 夕方、市内に戻ってからシティホテルにチェックインしました。

 私達はお互いの気持ちを確認するかのように抱き合いました。

 彼と肌を合わせているうちに先週からの不安がたちまち消えて、

 心も身体も満たされていくのでした。




 夜は彼が以前から話していた焼肉屋さんに連れて行ってくれました。

 カウンターだけのそのお店では基本的には自分達で調理するのですが、

 気さくなお店のご主人が時々焼き方を確認しつつ手伝ってくれます。

 途中でお店が混んで来たので、


 「ほら、もっとくっついて。^^」


 と彼が私に言いました。

 私が彼にピタッとくっつく真似をしたら、


 「わざとらしい!(笑)」


 と言われてしまいましたが。^^;




 カウンターは満席で、ほとんどの客がカップルでした。

 その中でも私達が一番沢山食べ、沢山お喋りしていたような気がします。


 「私、Tさんに何かしてって言われるの、好き。^^」


 「そうか…。^^」


 「従順でしょ?^^」


 「自分でそう言わなければ従順だ。(笑)」


 「うるさい?(笑)」


 「ああ、うるさい。(笑)

  いつも(デートの)後半がうるさくなるよな。」


 「それは…離れたくないからだと思う。

  食べてる時は大人しいでしょ?^^」


 「ああ、いつも何か口に入れてて。^^」


 「うん、いつも私の口を塞いでおいてね。^^」


 店内の適度な騒々しさに紛れて、

 私達は悪戯っぽく見つめ合いながら意味深なお喋りをしました。




 お部屋に戻って、もう一度彼と愛し合いました。

 彼は耳元で「可愛い。」と繰り返しました。

 私が感じながら「好き。」と呟くと、

 「好きだよ。」という彼の掠れた声が聞こえました。




 彼はいつも愛撫で私を先にいかせてから、繋がろうとします。

 二度目に彼と抱き会った後、彼に腕枕されながら、


 「先週と今日は何故かいけなかったです。

  凄く気持ち良かったのに、疲れてたのかな。」


 と私が呟きました。

 
 「じゃあ、来週は会ったらすぐにホテルに行こう。」


 そう言いながら、彼は再び私の身体を弄り始めました。

 快感に私の息が乱れ始めました。


 「ねぇ…。」


 「もう一度したい?

  どうして欲しいの?

  何でもして欲しいこと言ってごらん。

  してあげるから…。」


 一度は鎮まっていた私の身体が、

 彼の舌と指で再び熱を帯び始めました。




 私が小さな叫び声をあげて達すると、彼は私を抱き締めて、


 「良かった…。」


 とほっとしたように言いました。


 「ありがとう。

  ごめんね…。」


 「こういうことで謝らないで。」


 「私だけが先にいっちゃうと、

  繋がった時にTさんが気持ち良くないような気がしてたの。」




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 彼は優しく静かに言いました。

 そして、こう続けました。


 「俺は感じてる理沙子が好き。だからいっぱい感じて。」


 私は愛された余韻の中で幸せな気持ちになりました。




 この夜は別れた後も寂しくなかったのは、

 彼からのおやすみメールのせいだけではないでしょう。

 今回のデートで私は自分の気持ちを再確認出来たから。

 私は彼という人が好き。

 好きな人と一緒にいられるだけでとても幸運なことなのだということを

 忘れずにいたいと思いました。



2009年06月24日(水) 彼のスタンス


 いつものように待ち合わせの時間を決めるために、

 彼から電話がありました。


 「元気?^^」


 「はい…。」


 「明日、何時頃なら会える?」


 「明日はゴルフは無いんですか?」


 「当たり前だろう。」


 当たり前だなんて知りませんでした。^^

 多分前回のデートから気持ちが落ちていた私のために

 一日時間を空けてくれたのだと思います。


 「明日、天気が良さそうだからまたどこかへ行こう。」


 「ほんとですか?

  嬉しい♪

  どこに行くんですか?^^」


 「明日までに考えておくから。^^」


 電話を切った後に思いました。

 離れている間、メール1通さえ送ってくれない彼だけれど、

 決して私のことを忘れているわけではないのです。

 いつも次に会う日までには必ず、

 デートに関する全てのことをセッティングしておいてくれるから。




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 メールが激減したことで

 彼の気持ちが冷めたのではないかと推測している私に対して、

 彼のスタンスは初めの頃と何ら変わりはないのかもしれません。

 彼からのメールがめっきり減ったのは、

 彼にしてみればもうアプローチの必要が無くなったからなのでしょう。



 今はもうメールという間接的な手段で私を知ろうとしなくても、

 彼は私の行きたい場所や観たい映画や食べたいものが

 容易く想像出来るのだと思います。



 私の喜んでいる顔を見るのが嬉しいと言っていた彼。

 明日はずっと彼の好きな笑顔でいられますように。



2009年06月23日(火) 翳りゆく恋


 前回のデートの会話を引きずっているのか、

 ルナ前で体調が良くないからなのか、

 気持ちがストンと落ちたままになっています。

 ただ、彼に望むようなことはもう何も無くて、

 先のことはどうでもいいような少し投げやりな気持ちです。

 彼には友達になって欲しいなんて言ってみたけれど、

 果たして自分は彼と友達でもやっていけるのだろうかと

 冷静に考えてみました。




 私は身体の関係が出来る前なら

 幾らでも心にブレーキをかけることができるのに、

 一度関係が出来てしまうと以前のようにブレーキをかけることが

 出来なくなってしまう気がするのです。

 気持ちをきちんとコントロールするためにも

 日々のメールは今までのように控えめの方がいいのかもしれません。

 メールは誤解を生みやすい伝達手段だから、

 少し言葉が足りなかったり、意味を取り違えたりするだけで、

 諍いの原因やストレスになるような気がするから…。




 彼は多分、私達の将来のことは何も考えていないと思うのです。

 今が楽しめればそれでいいと思っているはず。

 先日のデートで、




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 と彼は言いました。

 だから、元カノと私への想いを比べることも出来ないのだと。

 仮定の話…とはいえ、私は彼のこの言葉に少し傷つきました。

 一年後はお互い誰と付き合っているか分からないと言っていた

 彼の言葉とリンクさせてしまうのでした。




 私達の恋は今も少しずつ終わりに向かって進んでいるのかもしれません。

 彼は心のどこかでまた新しい人と付き合いたいと

 思っているのかもしれません。

 或いはこれらは全て私の妄想で

 単に私の気持ちが落ちているからなのか、

 あの人との別れの傷が今もトラウマになっているからなのか…。

 先週末からの彼の言葉や声や表情など様々なディテールが

 私達の恋に翳りを見せています。



2009年06月21日(日) 別れを口にした時が別れの始まり


 彼とデートした日の夜、彼からのお休みメールはありませんでした。

 デートの日のお休みメールだけはいつも届いていたのに、

 それさえも2回続けて来なくなっていました。

 まだ家に着いたばかりだと思い彼に電話すると、

 彼はもうベッドの中でした。


 「どうした?」


 寝惚けた彼の声が聞こえました。

 彼の隣で寝ている犬の鼾が聞こえてきました。
 
 ご主人様に似たのか立派な鼾です。

 
 「どうしたの?」


 彼はもう一度聞きました。


 「メール読んでないですか?」


 「読んだよ。もう寝てると思って返信しなかった。」


 「そっか…。

  私は起きてました。

  もう私達、終わりにしましょうか。」


 何だか無性に悲しくなって、私は別れの言葉を口にしていました。


 「今夜はもう止めにしよう。その話は。」


 「うん…。」


 「勘弁してよ。」


 「分かりました。ごめんなさい。」


 ほんの1、2分で私は電話を切りました。




 翌朝目覚めた時、

 お腹の辺りがずしーんと重くて体調も気持ちも最悪の状態でした。

 夜中の電話のことはすっかり忘れているのか、

 彼からは何の連絡もありませんでした。

 私は憂鬱な気持ちで

 ゴルフが終わったら電話が欲しいと彼にメールを送りました。

 お昼になってもメールの返信は無く、

 直接電話が来るのを待っていたけれど、

 私も仕事の研修の時間が迫っていたので自分から電話をしました。

 私の声は沈んでいたと思うけれど、彼はいつもの明るい声で、


 「今、ゴルフが終わってカツ丼を待ってるところだよ。(笑)」


 と言いました。

 私が次に続ける言葉を探していると、


 「どうした?」


 と彼はあっけらかんとした声で尋ねました。
 

 「全然メールの返事をくれないから…。」


 私は不満をそのまま口にしました。


 「なんだ。それで昨日からぐだぐだ言ってたのか。

  メールなんてどうだっていいだろうが。」


 彼の言い分も分からなくもないのです。

 5日後にはまた会えるし、前日には必ず彼からメールがあるのだから。

 
 「でも、最近100%私のメールに返事が無いし…。

  前はこんなこと無かったのに。」


 「そうか。メールの返事が欲しかったのか。

  それならそうとはっきり言えばいいだろう。

  今言ってごらん。メールを下さいって。^^」


 彼は自分のことをSではないと言うけれど、

 こういうところは紛れも無いSだと思う私です。


 「メールを下さい。」


 「じゃあ、これからは必ず返事するよ。^^」


 「うん。いつになってもいいから返事下さい。」


 「分かったよ。^^」


 「あともう一つ言いたいことがあるんですけど…。」


 「うん?」


 「私、本当は絶対Tさんと別れたくないの。」


 「分かったよ。^^」


 何だか完全に彼のペースになっているような気がして、

 悔しい気持ちで電話を切りました。

 自分から別れを切り出したくせに、自分から別れたくないだなんて言って

 自分が馬鹿みたいだとも思いました。

 電話の会話が中途半端だったので、

 研修の後でもう一度話がしたいと彼にメールを送りました。

 何だか私は少しずつ彼にとって重い女になっているような気がして

 なりませんでした。

 気持ちがネガティブなのはルナの前の体調のせいであることも

 分かっていました。




 研修が終わってから、私は街中で買い物をしていました。

 それからカフェに入って、その日の研修の復習をしていました。

 いつもは集中して勉強出来るのに、

 その日は携帯電話の着信音が鳴らないことが気になって、

 私はずっと上の空でした。

 研修が終わった時刻から1時間位経ってから、着信音が鳴りました。

 すぐに携帯電話のディスプレイを見ると彼の名前が表示されていました。


 「もう、お家なんですか?」


 「ああ、そうだ。昼寝していたよ。」


 彼はその日早朝ゴルフだったので、

 終わるとそのまま家へ帰ってお昼寝していたようです。


 「もう今日は電話は無いのかと諦めていました。」


 「今、起きたところなんだよ。

  用事は無いけど声が聞きたかったんだろう?」


 「ごめんね。

  でも、こういう風になっちゃうのってデートの翌日だから。

  次のデートが近づいてくれば平気でいられるから。」


 「それはそうだな。」


 「前にも話してたことだけど、

  私はいつかTさんと別れる位なら友達になりたいな。

  そうしたらずっと一緒にいられるから。」


 「考えとくよ。」


 「元カノの話を聞いててそう思ったの。

  嫌いになったわけでもないのに別れる位なら、

  Tさんと女友達との関係の方がいいなって。」




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 「私みたいな友達って誰もいないんですか?」


 「当たり前だろう。

  自分みたいなのがどこにでもいると思ってるのか?(笑)」


 「私、そんなにうるさいですか?^^;」


 「ああ、すごくうるさい。」


 「デートの翌日だけでしょ?」


 「デートの翌日と当日がうるさい。^^」


 「じゃあ…嫌いですか?^^;」


 「今のところ大丈夫だけど、うるさい。(笑)」


 「じゃあ、もう電話切りますね。」


 「今度会う日まで我慢して。^^」


 「何か言って…。

  今度会う時まで頑張れるように。」


 「何て言って欲しいの?」


 彼は分かっていてわざと私に聞きます。


 「私が言って欲しいこと。^^」


 「うるさくしなければ好きだよ。^^」


 「その初めの部分は省くか、心の中で言って下さい。(笑)」


 「うるさくしなければ…。(笑)」


 「そこじゃなくて…。」


 「好きだよ。^^」


 これが電話でなく会っている時だったら、

 私達は今頃抱き合ってキスをしていることでしょう。

 彼が電話をしてくれたことで気持ちは少し穏やかになったけれど、

 伝えたい想いが十分に伝えられないもどかしさが心に残りました。




 この日読んだ或る人のエッセイの中に、

 「別れを口にした時が別れの始まりである。」という言葉がありました。

 別れたいという言葉で彼の気持ちを試すのは

 絶対にタブーだとそのエッセイには書かれていました。

 別れを切り札にして自分の要求を通そうとするネガティブな方法を

 何度も繰り返されることによって、

 男は本当に女と別れることを考えるようになると書かれていました。

 女はどうしてこういう歪曲した愚かな方法で

 男の気持ちを繋ぎ留めようとするのでしょうか。

 彼が言っていたようにメールが欲しいならストレートにそう言えばいい、

 ただそれだけのことなのに。



2009年06月20日(土) 4分の1


 元カノを好きだった気持ちと今私を好きな気持ちは比べられないと

 彼が言いました。

 私は心の中で、本当は比べられるけれど言えないのだと思いました。

 私に言えない理由は彼は元カノをより愛していたから…。

 もっと言うならば彼は元カノのことは愛していたけれど、

 私に対しては愛している未満の気持ちだから…。

 でも、彼は私がそういうことを言うと私が話を作っていると言うので、

 彼の本当の気持ちは分からないのです。

 もしかしたら彼が以前言っていたように、

 彼は過去を否定したくないからなのかもしれません。

 彼は過去に付き合った人を悪く言うことは自分のプライドを傷つける

 ことでもあると言いました。

 元カノと私は似ているところがあると彼は言いました。

 それは映画や音楽や本に興味を持ち、

 そのような話題を共有出来るところだと。

 私は元カノの容姿や職業については尋ねたことがありません。

 多分それらを聞いてしまったら私は色々想像してしまって、

 無意味なジェラシーに苦しめられることになると思うからです。




 「ねぇ、じゃあこういう質問は?

  元カノとのセックスと私とのセックス、どっちが気持ちいいですか?」


 きっと答えてくれないだろうと思いながら、私は聞きました。

 薄暗い部屋の中で彼の表情は見えなかったけれど、




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 意外にもそちらは即答だったので、

 私はかえって切ない気持ちになりました。

 身体のことは答えられるのに心のことは答えられないということ、

 そのこと自体が真実を伝えているようにも思えました。

 


 一夜明けてから一人で冷静に考えてみました。

 私達の関係は時と共に確実に深くなっているように思えます。

 先日、彼にそのことを言いました。


 「私達の関係って初めの頃よりずっとお互いが分かり合えて、

  良くなっているような気がする。」


 「それが普通当たり前だろう?」


 「でも、時が経てば風化してしまうような関係もあるでしょう?」


 「20代の頃じゃないんだから、

  そんな一夜限りの…みたいな恋はもうしないよ。」


 私が彼と付き合った期間は

 元カノと過ごした期間の4分の1にも満たないのです。

 愛情も信頼もこれから少しずつ積み重ねていくものなのかもしれません。



2009年06月19日(金) はしゃぎ過ぎた時間の後で


 私が彼の車の助手席に座るとすぐに、

 彼はその日のドライブプランを提案しました。

 それは私が行きたかった場所とほぼ一致していました。

 美味しいうに丼を食べたり、海が見える露天風呂に入ったり、

 岬の展望台からコバルトブルーの美しい海を眺めたりと

 とても楽しい時間を過ごしました。




 帰り道、私がある場所について日帰りでは無理かどうか聞きました。

 
 「そこは日帰りは勘弁してよ。

  でも、いずれそういう所も連れて行ってやるから。」


 「ほんと?お泊りで?^^」


 「俺が約束して連れて行かなかったことってないだろう?」


 「うん、そうですね。」


 「だから、いつとは聞かないように。^^

  いつか分からないけど、そのうち連れて行くから。」


 本当に彼が今まで約束してくれたことは全て叶えられていました。




 夕方の4時頃に市内のシティホテルにチェックインしました。

 私がドライブの途中で立ち寄ったお店で買ったチーズケーキを

 お部屋で食べました。

 先にシャワーを浴びてバスルームから出てきた彼は、

 服を着たままの私を強く抱き締めると、


 「ほら、早くしようよ。」


 と言ってキスをしました。




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 きっとイベントが沢山のデートだったから、

 少し疲れていたのだと思います。




 夜はいつもの中華料理のお店へ出かけました。

 食事の途中で私が元カノの話を持ち出したことで、

 話題が気まずい方向へ流れ出しました。


 「どうしてそうやって過去を気にするの?」


 「だって気になるんだもん。」


 結局この時の会話を

 私はこの日二回目のベッドの後まで引きずってしまうのでした。

 とびきり楽しいドライブデートを演出してくれた彼に

 嫌な思いをさせてしまったのは私でした。




 ホテルに戻ってもう一度彼に抱かれた後、

 私は彼の言葉で気になっていたことについて尋ねました。


 「元カノのことを好きだった気持ちと今私を好きな気持ちの

  どっちが強いかなんて比べられないって言ってたでしょ。

  そしてそれを説明したくないって。

  今説明してってお願いしても駄目?」


 「どうしてそんなに理屈っぽいんだよ。」


 彼は苛立って言いました。


 「理沙子が一人で話を作ってるから会話にならないよ。」


 「今日のTさんの話だと

  元カノとは好きなまま別れたことになるみたいだから。

  前に聞いた時にはTさんが別れようと言った時点で

  関係はもう終わってたって言ってたのに。」


 「未練なんて全く無いんだよ。

  終わったらもうそれで終わりなんだ。」


 「もし、街でたまたま会ったら?」


 彼は片手をあげて、

  
 「やぁ、元気?ってただそれだけだよ。」


 私は彼の話を聞きながら、

 私が元カノに嫉妬しているのか同情しているのか、

 自分の気持ちが分かりませんでした。

 ただ彼の2年前の別れ話を聞いているうちに、

 私はいつか訪れるであろう別れの予感に怯えてしまうのでした。



2009年06月18日(木) イベント付きデート


 仕事が終わって携帯電話を開くと、

 30分前位に受信した彼からのメールがありました。

 今から電話をしても良いかどうかという確認のメールでした。

 そのメールを読んでいる最中に彼からもう1通のメールを受信。

 これから電話が出来なくなるので夜にメールが欲しいという内容でした。

 多分明日のデートの時間のことだと思い、すぐに彼に電話しました。


 「遅くなってごめんなさい。今、大丈夫ですか?」


 「5分位なら大丈夫。

  明日何時に会える?」


 私が都合の良い時間を告げると、
  
 いつもの場所に車で迎えに来てくれるとのこと。

 明日は二人とも仕事がオフなので、

 いつもより早い時間から会うことにしました。


 「どこか行きたいんだろう?^^」


 彼は月曜日に私が電話で言ったことを覚えていてくれました。


 「はい、どこか遊びに行きたいなぁ。^^」


 「じゃあ、明日までにどこへ行くか考えておくから。^^」




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 あまり時間がない時はお部屋でのんびりするデートもいいけれど、

 時間がたっぷりあるお天気の良い日には、

 二人でどこかへ出かけたいと思うのです。



 明日は良いお天気になりそうです。

 彼がどこに連れて行ってくれるのか楽しみです。



2009年06月15日(月) 影響


 私がこの日記でしばらく彼にメールをしないと宣言すると、

 必ずといっていいほど翌日あたりにメールしてしまうのです。



 昨夜、彼にメールを送りました。

 彼に薦められていた映画を観て、

 とても感動したことを伝えたかったからです。

 もしかしたら寝る前に彼から返信があるかもしれないと

 淡い期待を持って待っていました。

 ある程度予想はしていたことだけれど、

 彼からの返信はありませんでした。

 最近、デートが終わった後のおやすみメールと

 デートの前日のメール以外に

 彼からメールを貰った記憶はほとんどありません。

 だから私も返信が無かった時に不安な気持ちになりたくなくて、

 なるべく彼にメールを送らないようにしていました。




 今朝、彼がどうして返信してくれないのか無性に気になって、

 電話が欲しいとメールを送りました。

 今まで電話が欲しいというメールに対してリアクションが無かったことは

 一度もないからです。




 私が半分諦めた頃になって、携帯電話に彼から着信がありました。

 かかってきた時間と彼の声のトーンで、

 ゴルフのプレイ中であることが分かりました。


 「もうゴルフ場なんですね。」


 「そうだよ。もう始まってる。」


 今週は東京から来客があって一緒にゴルフをするという話は

 彼から聞いていました。

 私は今日は彼が空港までお客さん達を迎えに行って、

 午後からゴルフなのだと思っていました。

 だから午前中は彼と連絡がつくだろうと思っていたのです。

 ところが、実際はお客さん達は昨日にはもうこちらに到着していて、

 昨夜から彼は接待をしていたようです。


 「ごめんなさい。私、勘違いしていたみたいです。」


 本当は特別な用事などなかったから、

 私は彼の声を聞くことができただけで満足でした。


 「お昼頃には終わるから、また電話するよ。^^」


 彼はそう言って電話を切りました。




 お昼休みに彼から電話がありました。

 用事も無いのに彼に出先から二度も電話をかけさせてしまったことで、

 私はひどく恐縮していました。


 「週末はゴルフは無いんですか?」


 「ああ、無いよ。前に言っただろう?」


 そんなことを聞くためにわざわざ電話したのかと

 彼に呆れられることを心配していたけれど、

 彼の声は優しく私の気持ちを理解しているようでした。


 「この間はまだはっきりしないって言ってから…。」


 「その日は多分ゴルフは無いよ。

  どこか行きたい所があるのか?^^」


 「はい。^^」


 「どこだよ。言ってごらん。映画か?」


 「今思いつかないけど、どこか行きたいです。^^」


 「じゃあ、考えておいて。^^」


 「昨夜、メールしたんですよ。」


 「ああ、昨夜は外で飲んでた。」


 「帰り遅かったんですか?」


 「もう忘れた。(笑)

  1時頃かな。

  どんなメールだったの?」


 「後で読んでみて下さい。^^」


 「そうするよ。^^」




 電話を切って1分経つか経たないうちに、また彼から着信がありました。




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 「映画、凄く良かったです。」


 それから、私は彼が薦めてくれた二本の映画の感想を伝えました。


 「気に入ってくれて良かったよ。^^」


 「今度、ビデオ持って行きますね。」


 「あれ、返さなくていいよ。」


 「頂いていいんですか?」


 「俺のとこ、もうビデオデッキ無いし観れないから。」


 「ありがとうございます。^^」




 彼から連絡があるまで不安な気持ちで待っているよりも、

 自分から連絡して良かったと思いました。

 彼に会えなくて寂しい時には、

 言葉の足りない短いメールを何度も往復させるよりも

 電話で彼の声を聞く方がずっと穏やかな気持ちになれるのでした。




 彼の好きな映画を一つ観る度に彼との話題がまた一つ増えます。

 彼は本当に様々な映画を観ていて、

 それは彼の多様な側面を表しているように思えるのです。

 まだ彼と付き合い始めてから8ヶ月と少しだけなのに、

 これほど彼の影響を受けているのは、

 私がいつも彼の好きな映画を通して彼という人を知ろうとしているから。

 彼の好きな映画を観ることは、私にとって彼と話をすること、

 彼と抱き合うことと同等の意味を持つような気がします。



2009年06月13日(土) 会えない日の過ごし方


 今度会う日までの時間を

 彼が誰とどんな風に過ごすのか分かっているから、

 私は会う前日までメールはしないつもりです。

 正直言うと、それは私にとってはそれなりの我慢なのです。

 本当は毎日おやすみメールぐらいは送りたいし、

 送って欲しいとも思います。

 でも、多分彼には毎日誰かとメールを送り合うような習慣が無いし、

 もし毎日メールを送り合うようになったら、

 私は少しずつ彼に対して我侭になっていくに違いないでしょう。

 一つ前の恋と違うのは、私達のコミュニケーションは

 携帯やチャットなどの媒体に全く依存していないということです。

 だからなのか、彼が発した言葉を思い出す時には、

 その場の空気や彼の表情や触れ合う身体の感触まで

 リアルに思い出すことが出来ます。



 彼には幾つかの楽しみを共有出来る友達が沢山います。

 その中にはゴルフや美味しいお酒を一緒に楽しめる女友達もいます。

 私が彼の友達と違うのは、

 共有出来るものが少しだけ多いことと特別であることです。




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 彼は明日、女友達二人とゴルフに行きます。

 もう一人男性を誘っているけれど返事が来ないという彼に、


 「両手に花だから、3人でもいいじゃないですか。^^」


 と私が言うと、


 「どっちも既に枯れてるけどな…。^^」


 と彼はシニカルに言いました。

 二人のうち一人はバーのママさんだから、

 それなりに美しい人だと思うのに、


 「客の中で誰も彼女をそういう風に見る人はいないよ。

  逆にそういう店だと長続きしないもんなんだよ。」


 と彼が言いました。

 彼の言いたいことは何となく分かります。

 私も彼のように長年同じバーに通うとしたら、

 私が恋をしてしまいそうなマスターがいるお店ではなく、

 私がどんな恋をしていても、ふと気持ちを休めたくなるような

 そんな雰囲気のお店であって欲しいと思うから。

 そうは思うものの、私だっていずれは彼女達と同じ年齢になるのです。

 そうなった時に、

 私はもう彼の目には恋愛の対象として映らなくなるのでしょうか。




 「今度会う時までにあのビデオを観ておいて。」

 
 と彼が言いました。

 私と付き合い始めてから、

 今まで眠っていた部分の知的好奇心が刺激されるようになったと

 彼は言いました。

 それは私にとっても同じことです。

 彼と会えない時間に彼が薦めてくれた映画や音楽に触れることは、

 短い言葉を交わすメールよりも

 ずっと深いコミュニケーションのような気がします。



2009年06月11日(木) 惚れた弱み


 食事を終えてレストランを出ると、彼が腕を差し出してくれました。

 彼と腕を絡めて歩けるのは雨の日の私の特権だと思っていたけれど、

 この日は傘も無いのにホテルまでの帰り道を腕を絡めて帰りました。




 ほぼ毎週会っていて会う日はほとんど半日以上一緒にいるのに、

 それでも二人の時間はあっという間に過ぎてしまいます。

 彼とお喋りしながらランチをしていた時も、

 シアターで映画を観ていた時もあんなに気持ちははしゃいでいたのに、

 ホテルで彼と抱き合った後は

 時計の針の進み方がとても速く感じられるのです。




 ホテルに戻ってから

 もう一度抱き合うつもりで二人でベッドに入ったのに、

 そのまま素肌をくっつけて眠ってしまいました。

 私が目覚めた時、彼はまだ眠っていました。

 しばらくすると彼が半分寝ぼけた声で、


 「今、何時?

  もう帰ろう。」


 と言いました。

 私は彼にもう一度抱いて欲しくて、1時間早い時刻を告げました。

 彼が帰ろうと言ったのに私が引き止めたのはこの時が初めてでした。

 彼はいつもと同じように私を抱いてくれたけれど、

 求めて抱かれた後は求められて抱かれた後より

 彼の態度が素っ気無く感じられるのでした。




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 翌朝、私が時間がある時に話をしたいと彼にメールを送ると、

 1時間ほどして携帯電話に着信がありました。


 「ほら、電話したよ。」


 私が拗ねるのを知っていて彼は意地悪を言います。


 「しばらく会えないから話したかったの。」


 来週末まで彼は公私共に忙しく会うことが出来ません。

 
 「こういうのはしばらくって言わないだろう?

  そういうこと言ってると月に一度にするぞ。」


 「Tさんは月に一度でも大丈夫なの?」


 「俺は無理だけど。」


 二人とも一週間に一度は会いたいと思っているはずなのに、

 時々こういう意地の張り合いをしてしまいます。

 多分会った日の直後に想いが強いのは私の方で、

 会えない日が続くほど想いが強くなるのは彼の方なのだと思います。


 「私、Tさんのこと好きになっちゃった…。」


 惚れた弱みが私の気持ちを切なくさせます。


 「ありがとう。

  俺もだよ。」


 私達の関係には彼のその言葉だけで十分でした。

 それ以上重い言葉を口にする前に私は電話を切りました。



2009年06月08日(月) 伝わる気持ち


 昨日私がメールをしたので、今朝彼から電話がありました。

 彼はゴルフのプレイ中だったのでお昼休みにかけ直すと言って、

 電話はすぐに切れました。

 正午過ぎに彼から携帯電話に着信。

 彼はちょうどプレイを終えたところでした。


 「音が反響して聞こえますね。

  どこからかけてるんですか?^^」


 「公衆電話のボックスの中。(笑)」


 「お風呂の中で話をしているみたいに聞こえます。^^」


 私がお盆休みの予定を聞くと、

 彼が電話ボックスから出て来る音が聞こえました。

 私の話が人に聞かれても差し障りのない内容だと思ったようです。

 彼は今の段階で決まっているゴルフの予定などを教えてくれました。

 彼が電話口で笑うので、


 「だから、鬼が笑う質問だって言ったでしょ?^^」


 「いや、来年のことじゃないし鬼が笑うほどのことでもないけど、

  俺が笑うよ。(笑)」


 「Tさんは数ヶ月先まで予定が詰まっているから聞いておかないと。

  2ヶ月後、私達が一緒にいるかどうかも分からないけど。^^」


 「俺は別れるとかそんなつもりは全く無いよ。」


 私のことは何も聞かずに、

 彼の気持ちだけを伝えるところがいかにも彼らしいと思うのです。

 彼はいつでも自分自身の気持ちに正直です。


 「どうして?」


 「どうして…ってさ…。」


 またドアを閉める大きな声がしました。




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 「また、入ったんですか?^^」


 「そうだよ。人がいるからさ…。」


 「いけないおじさん。(笑)」


 「お仕置きするぞ。(笑)」


 「あはは…。^^」


 「でさ、俺シャワーを浴びて来てもいいですか?」


 「はい、もちろん。^^」


 今週のデートの話はまた明日の電話でするということにして、

 電話を切りました。




 週末のデートの時、彼から返してもらったCDの袋を

 そのまま部屋に置いていました。

 今朝、思い出して袋を開けてみたら、

 中には私が彼とのドライブで聞くために貸していたCDの他に、

 私が欲しいと言っていたビートルズのカバー曲を集めたCDと

 観たいと言っていたジャズマンの映画のビデオが入っていました。

 会話の中で何気なく言った私の言葉を

 ずっと覚えていてくれた彼の気持ちに感謝しました。



2009年06月07日(日) 溢れる想い


 彼に会いたくてたまらなかった一週間と一日。

 会える日の前日、彼からの電話を切ったすぐ後に私からかけ直しました。


 「言い忘れたことがあるの。会いたい…。」


 「明日だろう?」


 「うん。」


 「俺もだよ。待ってるから。」


 ただそれだけの短い会話。

 彼の甘い声を聞いて、あと一日待てると思いました。




 そんな風に想いを募らせて彼に会った週末。

 ホテルの部屋のソファで彼にキスされながら

 
 「会いたかった?」


 と聞かれた時には想いが溢れ過ぎて、


 「うん…。」


 と答えるだけでした。




 その夜、食事のために外に出ると雨が降っていました。

 彼は車の中から傘を持って来てくれました。

 二人で一つの傘を差して歩きました。

 誰か知っている人に会ったとしても何も不思議ではない夜の街。

 彼はいつでも人目を気にするようなことはありませんでした。

 ごく自然に雨の日は私に傘を差しかけ、

 冷たい風の日は彼のコートを私の肩にかけてくれるのでした。

 スタッフの人ともすっかり顔なじみになったお店で、

 私達は美味しいお酒と夏メニューになったばかりのお料理を頂きながら、

 本や映画や歴史など色々な話をしました。




 ホテルに戻ってから、私はソファに座って寛いでいました。

 彼は隣に座ると私の肩を優しく抱きました。

 そして、ボタンが2つ開いた白いシャツからのぞく肌に触れると、


 「ここ、誘ってるの?」


 と聞きました。




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 と私が言うと、彼はちょっと悔しそうに

 
 「じゃあ、行かない。」


 と言って服を脱ぐとバスルームへ行きました。




 ルナが始まってから5日目だったけれど、

 昼間抱き合った時には少量ながら出血がありました。

 二度目の時には彼は私の身体を気遣って私に触れ過ぎることはせず、

 私が彼の身体に沢山のキスをした後、すぐに私の中に入ってきました。

 まだ十分に濡れていない私の中に

 硬い彼のものが軋むように入って来ると、

 甘い痛みと共に私の身体が痺れるように感じていくのが分かりました。




 深夜、ホテルを出る時もまだ雨が降っていました。

 ホテルのエントランスで、彼は私に、


 「ここで待ってて。」


 と言って通りに出てタクシーを拾うと、

 私がタクシーに乗るまで傘を差しかけていてくれました。

 私は運転手さんに行き先を告げると、

 サイドガラスから彼を見て手を振りました。

 彼も少し眠そうな顔で手を振ってくれました。

 車が走り出して振り返ると、リアガラスの向こうに彼が見えました。

 私が手を振ると彼も笑って手を振っていました。



2009年06月03日(水) 恋の引力


 彼からの5回の着信履歴が

 私の携帯電話の今日の日付で残っています。

 本当は先週から明日会う約束をしていたのだけれど、

 彼との電話で延期することにしました。



 「明日、会えるの6時過ぎになるけどいい?」


 「実は昨日からルナが始まっちゃったんです。」


 「そんなに悲しそうな声出すなよ。(笑)

  別の日にするか?」


 「明日会うのを楽しみにしてたのに〜。」


 「仕方ないだろう。毎月あることなんだから。」


 「先月と先々月はデートの日を

  上手く避けて通ることが出来たんですよ。^^」


 「だから、それはたまたまなんだから。

  そんなにがっかりすることないだろう。(笑)」


 私の声がそれほど落胆しているように聞こえるのか、

 彼は面白がって笑っています。


 「別に会おうと思えば会えるんですよ。

  3日目に会ったこともあるし。^^」


 「じゃあ、明日はご奉仕して。(笑)」


 「もう!(笑)

  Tさんはどっちがいいですか?

  明日会うのと終わってから会うの…。」




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 「う〜ん、どうしよう。」


 彼が提案してくれた別の日にも私の飲み会の予定が入っていたりして、

 なかなかスケジュールの調整がつきません。

 一度は友達との飲み会をキャンセルしようとして電話を切りました。

 でも、しばらくして彼から電話がありました。


 「やっぱり、飲み会には出た方がいいよ。

  自分から誘った友達も来るんだろう?」


 「はい。」


 「土曜日、研修の後に会おう。

  その日いつものホテルが取れるかどうか調べてみるよ。」


 彼は友達との約束を大事にする人です。

 自分が友達との約束をキャンセルしたりしない人だから、

 私にもそうさせることは気が進まなかったのでしょう。



 数回彼との電話のやりとりがあった後、

 最終的に土曜日に会う約束をしました。


 「土曜日、部屋を取っておいたから。」


 「ありがとうございます。^^」


 「この方がお互いすっきりするだろう?」


 「はい。」


 「土曜まで我慢出来るか?(笑)」


 「大丈夫です。^^」

 
 「今度、あの中華のお店に行こう。」


 「はい。^^」


 先週はテーブル席がいっぱいで予約が取れなかった

 私達のお気に入りのお店です。



 全ては私の体調やスケジュールの都合で

 デートの日を何度も変更することになったのに、

 彼が最後まで今週会おうとしてくれたことを嬉しく感じました。

 もし今週会えないとしても、来週になれば必ず会えるのに…。

 恋をする二人には見えない強い引力が働いているのかもしれません。

 あの人との関係のように二人の間に引力が無くなってしまったら、

 その時は恋はもう終わってしまっているのでしょう。


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理沙子

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