こうして私はあなたを好きになった
綴りたいのは残された言葉、なつかしい匂い、
揺れる気持ち、忘れられない感触

2009年02月27日(金) ひとりでも幸せ


 ホテルのロビーのソファで彼を待っていた時、

 私は少しがっかりした顔をしていたのかもしれません。 

 朝の甘い会話の中で二人で決めた午後のプランが

 彼の急な仕事で流れたからです。


 「飽きたら飽きたって言ってね。

  私のことは気にしないですぐに言ってね。

  お願い。」

 
 私の隣に座った彼は温かな目で私を見つめると、

 少しおどけた調子で言いました。 




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 あの人との恋の後遺症にいつまでも苦しみ、

 少しずつ彼に惹かれていく自分が怖かったあの頃。

 いつか来るであろう彼との別れに怯えて口にした言葉でした。

 元々自分の口から出たその言葉を聞いて、

 私は思わず笑い出してしまいました。


 「何だか可笑しくて笑ってしまう。自分の言葉なのにね。

  男の人が言うから可笑しいのかな。」


 彼も笑っていました。

 それだけで気持ちが通じ合えた気がしました。

 別離を想像するのが可笑しいほど、

 その時の私達はお互いに満ち足りていたからです。



 ずっとあの人のことが忘れられずにいました。

 あの人との恋の傷を彼との時間で癒し、
 
 あの人との関係を繋ぎとめることで彼との恋の不安を埋めていました。

 でも、この日を境にして変化が訪れました。

 あの人との悲しい記憶は薄れ、

 小さな不安が入り込む隙もないほど

 彼の大きな優しさを感じるようになりました。


  ひとりでも幸せ、ふたりならもっと幸せ。


 素敵な日記書きさんがメールで送ってくれた言葉です。

 相手の気持ちを疑ったり、推し量ったりすることは

 好きという気持ちからどんどん離れていく行為。

 大切なのは相手が自分をどう思うかではなくて、

 自分が相手をどれだけ好きで理解したいかという気持ちなのだと

 思うようになりました。

 今、一人の時間も幸せに過ごせるような恋を

 二人でしたいと思っています。 



2009年02月25日(水) 出張先の彼から


 彼はほとんどメールをしない人です。

 たまに彼から届くメールも待ち合わせの時間の確認など

 用件を伝えるだけのものがほとんどです。

 だから、たまに彼から気持ちを伝えるようなメールが来ると

 とても嬉しい気持ちになります。



 昨日と今日、出張先の彼からおやすみ前のメールが届きました。

 どんな一日を過ごしたかを簡単に伝える短いメールだったけれど、

 遠い街で彼が私を思い出してくれたということだけで

 私の気持ちは温かくなりました。



 今日は午後フリータイムがあったとのことで、

 メールに画像が添付されていました。




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 きっと今度のデートの時に面白い話を聞かせてくれるでしょう。^^



 おやすみ前に彼から届くメールは

 ほとんどそれがその日最後の一通になります。

 半ば寝落ちしつつ送信されたことはその文面から分かります。

 私からの返信が読まれるのは多分翌朝。

 それを知りつつ私は夢の中の彼に送ります。


  おやすみなさい、また明日。^^



2009年02月24日(火) 秋からの約束


 彼は時々私のことをうるさいと言います。


 「じゃあ嫌い?^^;」


 と私が聞くと、


 「好きだけど、うるさい。」って。


 「Tさんの方がいつも私より大きな声で話してるじゃないですか〜。」


 と私が反論すると、


 「声じゃなくて話している内容がうるさい。」


 と言われてしまいます。




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 先日のデートの帰りに車の中で、

 今度湖のサンクチュアリに白鳥を見に行こうという話になりました。

 秋頃から二人の間では度々その話をしていて、

 私はずっとその季節を楽しみにしていました。

 彼はネイチャーセンターに今年の白鳥達の都合を聞いておくよと

 言ってくれました。

 
 「雁を見た時と同じ位の近さで白鳥を見られるんですか?」


 何度か行ったことのある彼に聞きました。


 「もっとすぐ近くで見ることが出来るよ。

  滅茶苦茶うるさいんだよ。

  ガーガーガーガーって。」


 彼は白鳥の声をそっくりに真似て言いました。


 「えっ、じゃあ私よりうるさいでしょ?(笑)」


 「ああ、もっとうるさいよ。

  あれ以上うるさかったら大変だ。^^」


 「ひどいなぁ、もう!!」



 いつも私のことをからかう意地悪な彼ですが、

 私との約束は必ず守ってくれます。

 昨日の電話で、


 「ネイチャーセンターに聞いてみたよ。
 
  3月いっぱいは白鳥が見られるそうだ。」


 と彼が言いました。

 今度のデートで行こうという話に決まったので、

 近いうちに美しい冬の湖で

 お喋りな可愛い白鳥達に会うことが出来るでしょう。^^



2009年02月23日(月) 親密


 彼と一晩共にしたことによって

 確実に私達の仲は深くなったと思えるのでした。



 イタリアンレストランで彼とこんな話をしました。


 「しばらくの間、あなたは私に指一本触れなかったけれど、

  いつかこうなると思っていたの?」


 「それは…お互い求めたからこうなったんだろう。」


 彼には男女の関係の一切無い女友達が何人かいます。

 際立った女の魅力を何一つ持たない私が

 どうして友達の垣根を越えられたのか不思議でした。




 「今日、何時頃まで空いてる?」


 翌朝、ベッドの中で彼が聞きました。


 「お昼には帰るつもりだったけど、このまま一緒にいてもいい。」


 「じゃあ、そうしようか。

  一度チェックアウトするから、早く用意して来なさい。」




 私がシャワーを浴びていると、

 彼が誰かと電話で話す声が聞こえてきました。

 さっきまでベッドで聞いていたものとは違う厳しい声でした。

 彼はバスルームのドアを開けると、




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 二人で決めたばかりの午後のプランはあっという間に流れて、

 私達は慌しく部屋を出ました。




 彼がフロントでチェックアウトしている間、

 私はロビーのソファーに座って待っていました。

 彼は戻って来ると私の隣に座りました。

 部屋を出た時には硬い表情だった彼の顔にも

 いつもの優しさが戻っていました。


 「どうしたの?」


 私の顔を覗き込んで彼が聞きました。


 「貴方の仕事のこと…心配になったから。

  私とずっと一緒にいたせい?」


 「関係ないよ。こういうことはよくあるんだ。」


 彼と一緒にいる時は、

 いつも彼の携帯電話に頻繁に部下からの連絡が入ります。

 彼はそれらを必ずチェックし、状況に応じて判断していました。

 メールで報告を受けるのみのこともあれば、

 その場ですぐに電話をすることもありました。

 ただ、以前彼は私に自分が現場に出て行かなければどうにもならない

 トラブルが発生することもあると話していました。

 責任の所在は全て経営者の自分にあるのだからと。

 たまたま今回それが私と一緒にいる時に起こったのです。


 「君は俺の仕事のことは心配しなくていいから。」


 彼は優しく言いました。


 「うん…。」


 「仕事のことは心配しないで、

  俺の体のことを心配してくれればいいから。^^」


 「体のこと?」


 「俺の体が急に具合悪くなって、

  君と出来なくなってしまうことだけを心配して。(笑)」


 「分かりました。^^

  でも急いでいるなら私をどこかで降ろして

  すぐに仕事に行って下さい。」


 「大丈夫。お昼を一緒に食べる位の時間ならあるよ。

  もうすぐランチタイムだから、

  少しここで待ってから行こう。」




  ホテルの中の中国料理のレストランで、彼と食事をしました。

  美味しいものを食べると、

  私達の話題は自然に楽しい方へと流れます。

  先日頂いたお土産のトートバッグのブランドのことや

  彼が以前はネクタイを集めるのが趣味だったことなど

  いつものように他愛ないお喋り。

  食事の間、彼は仕事の話題には一切触れませんでした。

  それから前の晩、

  お部屋が乾燥してお互いあまり眠れなかったという話になりました。

  彼は携帯電話でホテルの備品をチェックすると、


  「加湿器借りられたみたいだね。」


  と言いました。


  「じゃあ、今度借りよう?^^」


  私の言葉を聞いてすぐに嬉しそうな彼の笑顔が返ってきました。


  「このホテル、気に入った?」


  「はい。^^」




 夜、私からのお礼のメールに彼から返信。


  問題解決しました。ごめんね。


 午後一緒にいられなかったことを気にしてくれていたようです。

 彼の色々な面を知って、

 二人の気持ちが今まで以上に近づいたと感じられたお泊りデートでした。



2009年02月22日(日) お泊りデート


 デートの日の朝、彼から電話がありました。


 「今日、俺、ホテルに泊まろうと思うんだ。」


 突然の話に私が驚くと、

 その日は午後から荒れ模様になるという天気予報が出ていて

 帰りの交通手段が読めないので、 

 シティホテルのお部屋をリザーブしておくとのこと。




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 一緒に泊まろうとは言わず、そんな遠まわしな誘い方をするなんて、

 いつものあけすけな彼らしくなくて思わず笑ってしまいました。

 電話の後、

 私は短時間でその日と翌日の諸々のスケジュールを調整して、

 彼と初めてのお泊りデートをすることになりました。 



 彼は街の中心部から少し離れたシティホテルの

 最上階のお部屋をリザーブしていました。

 アンティークな家具でシックにまとめられた広いダブルのお部屋で、

 バスルームにはシャワーブースも付いていました。


 「こっちに来てごらん。」


 彼がカーテンを開けて私を呼びました。

 大きな窓からは美しい夜景が見えました。

 それは普段見慣れた街の別の表情でした。

 
 「綺麗…。」


 私が呟くと、彼は逞しい腕で私をぎゅっと抱き締めました。



 今すぐ抱きたいと彼が求めたので、

 食事に出かける前に彼に抱かれました。

 彼に抱かれるのは2週間ぶりです。

 私に何度もキスしながら、


 「ずっとこうしたかった。」


 と彼が耳元で囁きました。



 抱き合った後、

 私達はホテルの中のイタリアンレストランへ行きました。

 赤ワインを飲みながら美味しいお料理を頂きました。

 時間がたっぷりあるという気持ちから、いつもよりゆったり食事をし、

 沢山お喋りしました。

 彼が高校時代バスケット部の主将だった話や

 上京してから高校時代の初恋の女性に再会した話など、

 高校生の彼を想像しながら話を聞きました。

 どうして女は好きな人の現在だけではなく、

 それまでに至る歴史をも知りたいと思うのでしょうか。



 お部屋に戻ってから、しばらくじゃれあっていたけれど、

 長い一日の疲れからいつの間にか眠ってしまいました。

 翌朝目が覚めて、私がシャワーを浴びようとすると、


 「行かなくていいから、ここにいて。」


 と後ろから抱きすくめられました。

 私はどうにか彼の腕から逃れてバスルームへ。

 まだはっきりと目覚めていない身体に熱いシャワーを浴びてから、

 待たされてちょっぴり拗ねている彼の腕の中に戻りました。



2009年02月19日(木) 心配


 昨日、彼から今頃になって身体がだるいとのメールがありました。

 その後すぐに携帯電話に着信。

 用事が無いのに彼から電話があるのは珍しいことです。

 旅行の疲れが出てきたようで調子が悪いから、

 今日は仕事を早く切り上げると話していました。

 以前も耳の調子が悪くなった時に彼からメールがあったことを

 思い出しました。

 どちらかというとタフで疲れ知らずなイメージの彼なので、

 たまに体調が悪いと聞くとひどく心配になります。

 彼も普段元気なせいか、具合が悪いと気持ちも凹んでしまうようです。




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 と笑って言っていたけれど…。



 夜になって、お休み前の彼からメール。

 風邪ではなくて胃腸の調子が悪いかもしれないとのこと。

 原因がいまいち分からないところがますます心配。^^;

 彼の体調が早く快方に向かいますように。



2009年02月18日(水) 彼の声


 忙しい日の彼はいつも夜10時頃には寝てしまいます。

 だから、それ以降の私からのメールの返事は

 翌朝の彼からの電話で…ということになります。



 不思議なことに

 メールの返事が遅いと不安になったりするものなのに、

 電話で声が聞けると不安は一気に解消されます。




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 彼は自分自身の声が嫌いだと言っていたけれど、

 私は彼の声を聞くと温かい気持ちになります。

 多分飾り気の無い大らかな彼の性格が感じられる声だからでしょう。



 私が彼の来週の予定を聞くと、


 「まだ今週のデートも終わっていないのに。」


 と彼は大きな声で笑いました。


 「だって、オーナーさんはハードスケジュールだから、

  なかなか時間を空けてもらえないでしょ?^^」


 「時間が空けられないのはそっちでしょうが。^^」


 「けど、私達のデートって今までドタキャンになったことって

  ないですよね。」


 「遅刻して来るのはいつも誰かさんだけどね。」


 「今度は絶対約束の時間を守りますから!!」


 「今度とお化けには会ったことがないよ。(笑)」


 「あははは…。^^;」



 今お互いが好きだから一緒にいる私達。

 束縛も将来の約束もない私達だから、

 どちらかの気持ちが冷めたらそれで関係は終わり。

 そんな脆い繋がりだと知っているからこそお互いに優しくなれるなら、

 それでいいと今は思えるのです。



2009年02月17日(火) お帰りなさい


 「お帰りなさい。^^」


 彼の車の助手席に乗り込み、

 日焼けした彼の横顔を見て言いました。

 前の晩に帰国したばかりの彼は、

 慌しい仕事の合間の1時間半のランチタイムを

 私と過ごしてくれました。



 何度か訪れたことのあるシティホテルの中の中国料理のレストラン。




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 女の人の物は良く分からないと言いながらも、

 私のいつも着ている洋服によく合うようなデザインと色合いのものを

 選んでくれていたのがとても嬉しかったです。



 お料理を待つ間、

 彼が旅行中にデジカメで撮った沢山の写真を見せてくれました。

 美しいゴルフ場で友人3人とプレイを楽しむ彼。

 この中には彼のゴルフスイングの動画もありました。^^

 キッチンとリビング・ダイニング付きの広々としたホテルのお部屋。 

 何気ない街の風景やエスニックレストラン…。

 一つ一つ彼のコメントを聞きながら、それらの写真や動画を見ていると、

 旅の楽しさがリアルに伝わって来ました。



 今までで最短のデートだったけれど、

 とびきり楽しい時間を過ごしました。



2009年02月15日(日) 常習性


 昨日はバレンタインデー。

 彼から画像付きメールが届きました。

 南国のグリーンに立つ彼のナイスショット。

 今日が最後のプレイだと泣き顔マークが付いていました。

 メールの文面から帰りたくない彼の気持ちが伝わって来ました。



 大好きな人と過ごすべきバレンタインデーも

 今年は私にとってただの休日。

 去年の今頃に書いていた日記を読んでいました。

 一時は明らかに修復へと向かっていたあの人との関係。




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 この日記の中に書かれているあの人の言葉は

 間違いなくあの人の口からリアルに聞いたものだったけれど、

 そして私はその言葉を今度こそ信じたいと思っていたけれど、

 ほんの数ヵ月後、その言葉が嘘であることを知らされたのでした。



 私は今の彼から愛の言葉を聞いたことがありません。

 彼の私への気持ちがlikeからloveに変わることはずっとないでしょう。

 彼がどんなに私を求めている時でも愛の言葉を告げないのは

 嘘をつけない誠実さからか、

 心変わりした時に後腐れなく別れるためかどちらかでしょう。



 美しい嘘は麻薬のようなもの。

 一度甘い嘘を吐かれたら、何度でも欲しくなってしまう…。

 私は繰り返し嘘をつくあの人を責めたけれど、

 与える人と求める人、

 常習性という点においては私達どちらにも罪があるのでしょう。



2009年02月14日(土) 誓い


 電話がしたいと彼にメールをしたら、

 遠い南国の空の下にいる彼からすぐに着信。




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 いつでも会える距離にいる時よりもずっとレスポンスが早いなんて…。



 ほんの少しの時間だったけれど、彼と国際電話。

 携帯で国際電話なんて生まれて初めてでした。

 声はクリアだし、通話は距離を全く感じさせないほどスムーズだし、

 ちょっとした驚きでした。

 現地に着いてから雨が一滴も降らずに毎日ゴルフ日和だと嬉しそうな彼。

 お酒や女性と比べてみても

 何よりゴルフが大好きだと言っている彼のことだから、

 もう帰りたくないと思うほどに楽しんでいることでしょう。



 昨日の日記を読んだ読者さんからメールを頂きました。

 愛されているのにどうして愛されていないと妄想するのか?という

 問いが書かれていました。

 同じような内容のメールを他の読者さんから頂いたこともありました。



 どうして付き合いが深くなればなるほど、

 相手の愛情を見失ってしまうのでしょうか。

 多分それは私と両親との関係にあるのだと思います。

 私は褒められない子供でした。

 非難され否定されて育てられた子供でした。

 どんなに頑張っても決して親を満足させない子供でした。

 そのような寂しさを持ったまま、誰か他人の男の人を愛そうとしたら、

 上手くいかなくなるのも当然のことのように思えます。

 好きな人との関係が悪くなると、私は心のどこかでやっぱりと思います。

 やっぱり私は男の人に愛されるタイプではないのだと納得するのです。

 愛されていないというのは妄想ではなく真実です。

 実際に私は前の夫からもあの人からも、

 激しい嫌悪感を表すような言葉を繰り返し聞いたのだから。



 明るい恋がしたいと思います。

 両親から得られなかった温かい愛情を

 付き合う男性に求めるのはもうやめようと思います。

 愛されなくてもいいと潔い気持ちでいればいいのです。

 大切なのは自分がその人の全てを好きだと思い、理解したいと思うこと。

 相手に何も求めなければ、関係はいつでも安定していられるでしょう。

 今その瞬間が輝いていれば、次の日別れてもそれでいいと思いたい…。

 多分、そう遠くない日に彼との別れは訪れるでしょう。

 私はその時彼を追い詰めないし、追いかけないつもりです。

 彼の記憶の中の私がいつまでも笑顔でいられるように。



2009年02月13日(金) 拒絶


 終わったはずの恋。

 打ち寄せては返す波のように、

 今もなお足元を濡らすのはなぜでしょう。

 あの人は私が気付くよりずっと前から冷めていたけれど、

 愚かな私はあの人に抱かれることが大好きでした。

 でもある時、もう求めるのは止めようと思いました。

 私を抱くことはあの人にとって苦痛だとはっきり知らされたから。

 私はこう宣告されたのです。




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 つまり、あの人にとっては苦痛以外何物でもないことを

 私は求めていたのでした。

 これはあの人から私への“NO.”つまり拒絶でした。

 心理的にも身体的にも私は彼を苦しめていたのです。



 私はセックスによって男の人に快感や安らぎを与えるどころか、

 苦痛や疲労感を与える女なのだと認識しました。

 多分それは私のセックスが稚拙で独りよがりだからでしょう。



 セックスの時、今の彼は、


 「他のことは何も考えないで。気持ちを楽にして。」


 と耳元で囁きます。


 でも、そんな時にもあの人の言葉が繰り返し蘇るから、

 私の心身が完全に開放されることは

 永遠に不可能なことのように思えるのでした。



 しばらく彼に会えない日が続くと、

 このまま会えなくなってもいいかなと思います。

 死刑宣告のような拒絶に比べたら、

 お互い求め合う気持ちを残したままの別離の方がずっといいと

 思えるから…。



2009年02月10日(火) I will miss you.


 彼が成田からかけると言っていた時間に電話が無かったので

 慌しいのだと思い、私からいってらっしゃいのメールを送信。

 それから1時間半後、彼から着信がありました。

 どうやら国内線が予定より遅れて成田に到着したようです。


 「今着いたところなんだ。」


 周囲に友達がいるからか、

 いつもより言葉少ない、照れたような声が聞こえてきました。


 「もうすぐ出国手続きでしょう?」


 「ああ、もう行かなきゃいけない。」


 「気をつけてね。」


 「メール、読んだよ。

  ありがとう。^^」


 「はい、気をつけていってらっしゃい。^^」




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 I will miss you.

 でも、来週の月曜日にはまた会えるのです。

 真っ黒に日に焼けた彼に会うのを楽しみにして待つことにしましょう。



2009年02月09日(月) 本当の二つのタイプ


 別れる時に出来るだけ悲しい思いはしたくない…そんな風に思う女は、

 恋をする資格など無いのでしょうか。


 「過去に好きだった人に言われたことを思い出して、

  悲しんでも仕方ないでしょう。」


 昨日彼に電話で言われました。

 私があの人のことを思い出す度に言われてきた言葉です。


 「楽しかった思い出も台無しになるから嫌なの。」


 「楽しい思い出は思い出。それは別でしょ。」


 「冷たい言葉ってどうしても忘れられない。」


 「俺は優しいだろう。」

 
 「うん、あなたはいつも優しいです。

  あなたと一緒に居る時やこうして話している時は

  これっぽっちも思い出さないのにね。

  一人になると色々考えてしまう。

  あなたと別れる時も傷つくのが怖いの。」


 「俺は別れ際にぐちぐちと女性を傷つけることはしないよ。」


 「あなたと別れる時は死別がいいなぁ。^^」


 「俺は死ぬのか。(笑)

  明日乗る飛行機が落ちるって言うのか?(笑)」


 「くれぐれも向こうで危ないことはしないように。^^」


 「明日飛行機に乗る前に電話するよ。^^」


 「本当?」


 友達3人と一緒の旅行だし、

 その時の電話が出発前の最後の会話になると思っていたから、

 思いがけない彼の言葉が嬉しかったです。


 「朝8時頃に電話出来ると思う。」


 たまにしか電話をくれない彼だけれど、

 彼のあったかい声を聞くとほっとして穏やかな気持ちになれるのでした。



 先日の日記に書いたこと。

 女性には二つのタイプがいるという話。

 オーガズムを知っている女性とそうでない女性というのが

 その時の話だったけれど、

 女の人生が本当に幸せかどうかというのは

 別の所にあると私は思うのです。




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 もしなれたら、それが女にとって一番の幸せではないでしょうか。



2009年02月08日(日) 出発前のデート


 彼と付き合い始めてからまだ半年も経たないけれど、

 お互いに少しずつ馴染んできた部分があると思います。

 過去の恋に学んだように、すっかり馴染んだとお互いに思う頃は

 飽き始める頃でもあるから気をつけなければと思うのです。



 お互いに相手の感情が完全には読めない位でちょうどいいのだと

 思うのです。

 想いは想いのまま胸に秘めておくのがいいと思っています。

 口に出したらそれは重苦しい嘘のように聞こえるから。

 おかしなもので愛の言葉はどこか嘘に聞こえるからこそ、

 何度も繰り返し確かめずにはいられないのです。



 私は会えば冗談ばかり言っている彼が好き。

 別れ際には携帯電話のスケジュールに

 次のデートの予定を入れてくれたり、

 私のグラスが空くとすぐに次の飲み物を注文してくれたり、

 食後のデザートを私のためにオーダーしてくれたり、

 自分が半分かじったチョコレートを私の口に放り込んだり、

 一つのスプーンで二人でアイスクリームを食べたり、

 横断歩道を急いで渡る時にはそっと手を繋いだり、

 ベッドで私を強く抱き締め、一緒にいこうと囁いたり、

 抱き合った後にずっと腕枕をしてくれたり…。

 彼が与えてくれるこれらの全てのことよりも

 「愛している。」の一言が素敵だなんて思えないから。



 火曜日から彼は海外に行ってしばらく会えないので、

 週末はいつもより長い時間を彼と過ごしました。

 私達はランチの後に映画を観に行きました。

 それからホテルでゆっくり夜まで過ごしました。

 9時頃になって私達は行きつけの和食のお店に飲みに行きました。

 彼にしては珍しくカウンターではなくテーブルを選びました。



 彼はビール、私は白ワインから始まって、

 その後注文した赤ワインのボトルももうすぐ空になる頃、

 彼が声のトーンを抑えて言いました。




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 そのお店での私達の会話は、

 誰が聞いても愛し合った後の二人のものだったからです。



2009年02月05日(木) 未知なるもの


 「私は今まで男の人と繋がったままイッたことがないの。」


 愛し合った後のベッドの中で彼に言いました。


 「今まで一度も?」


 「そう、結婚していた時も、元彼とも。」


 私は彼の腕の中にいて彼の表情は見なかったけれど、

 静かに話す彼の声から驚いているのが読み取れました。


 「Tさんがセックスした女性はみんなイクことが出来たんですか?」


 「みんな普通にイケるもんだと思ってたよ。」


 「じゃあ、Tさんと付き合っていれば

  そのうち私もイケるようになるのかも…。」




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 「そうかなぁ。自分では分からないけど…。」


 優しく髪を撫でられながら、

 そのまま私は彼の腕の中で眠ってしまいました。



 彼はいつも自然体でセックスにも気負いがないのでした。

 彼は自分も楽しみながら、前向きな努力をしてくれる人です。

 何度か彼と繋がりながら

 オーガズムの一歩手前まで達したことはあるけれど、

 もう一つ先の扉が開けられずにいます。



 この世の中には二つのタイプの女性がいると

 誰かの小説の中で読んだことがあります。

 それはオーガズムを知る女性とそうでない女性だと。

 彼とのセックスはとても大らかでリラックス出来るから、

 いつか未知の扉が開かれる日を気長に待つことにしましょう。^^



2009年02月04日(水) 恋は必然


 彼はスペイン語が堪能です。

 日常会話程度の英語も不自由しないでしょう。

 私達は世界を旅することや語学を学ぶことに興味があるという点において

 よく似ています。

 あの人の科学的知識や発想は

 私にとって感嘆と尊敬に値するものだったけれど、

 共有する話題が尽きない相手としては

 彼は私が知る異性の中ではベストだと言えるでしょう。



 二人でお酒を飲んでいると、

 私は度々口が悪い彼のいじられ役にさせられます。

 
 「全く、声と態度がでかい。^^」


 彼の毒舌に負けじと反撃する私に彼が言いました。


 「ん、ひどいなぁ。もう。」


 ちょっと傷ついて言葉につまる私。

 
 「ね、私って無神経なところがありますか?」


 彼の顔を覗き込んで、マジになって聞きました。

 好き勝手なことを言い返していても傷つきやすいのが乙女心です。




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 お互いにねという最後の部分に

 彼が私をよく理解していることを知るのでした。

 私達はきっとお互いの心の機微に敏感だと思います。

 彼がもし同性だったとしても

 良い友人関係を築けたような気がするのです。

 つまり、私達はお互いの言葉を理解し易いし、

 気持ちを伝え合うことも容易いと感じるのでした。



 彼が経営するレストランのスタッフの面接の際に、

 小さい頃から楽器を習っていた学生に対しては

 彼はすぐに採用を決めてしまうと話していました。

 そしてそのような情操教育を受けた若い人達は、

 採用後も良い仕事をすると話していました。

 私達の日常的な感覚の基礎となるものは

 生い立ちや環境や経験であるというのが彼の考えです。

 彼の考えが正しいのであれば、

 男女が惹かれ合う運命も、今まで二人が歩いて来た道によって

 既に決められていることなのかもしれません。



2009年02月03日(火)


 一週間頑張りましょうと朝メールを送ったら、

 しばらくして彼から電話がありました。

 彼は仕事に向かう車の中です。


 「おはよう!元気?^^」


 まるで学生に声をかける元気な先生のようです。^^


 「元気ですよ。」


 「それなら良かった。」


 先週末から私が元気がなかったのを心配してくれていたようです。


 「今日の予定は?」


 「今日は仕事の後に美容院へ行こうと思ってます。」


 「ますます磨きをかけてきて。(笑)」


 「あはは、そうですね〜。

  Tさんは長い髪と短い髪どちらが好きですか?」


 「別にどちらが好きってことは無いよ。

  だらしなく長いのは好きじゃないけどね。」


 「じゃあ、もっと切ろうかな。」


 ちなみにこの時の私の髪は肩にかかる位の長さでした。


 「今でも別に長いってことはないんじゃない。」


 「うん、そうですけどね。

  まぁ、どっちかと言えば今はショートの方が主流だし。」


 「俺も髪切りに行かなきゃ。」


 彼の行きつけの床屋さんはこの前場所を教えてもらったんだっけ。


 「じゃあ、また。

  お互い頑張ろうね。」


 「はい、ありがとうございます。」


 彼に対しては基本的に敬語で話します。




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 昨夜久しぶりに前の日記を読みました。

 2003年頃の日記を読みながら、ちょうどあの頃のあの人と私の関係が

 今の彼と私の関係なんだろうと思いました。

 相手の良い所しか見えなくて、

 それに相応しい自分であろうと努力している関係。

 あの日記を初めから読んでいくと、どちらが悪いのでもなく、

 少しずつ二人の関係が馴れ合いになっていくのが分かります。



 最近以前の日記からの読者さん達からメールを頂きました。

 あの日記を読み返すと胸が痛むけれど、

 やはりあのまま残しておこうと思います。



 あの人が言っていました。



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 私は長いことあの人のその言葉を切望していたのです。  

 それを聞くことが出来たのは、

 皮肉にも私達の気持ちが離れ離れになってしまった後でした。



 恋愛には旬があります。

 旬を過ぎた後に絆を深めていくのが結婚。

 旬を過ぎた後にも信頼が残るのが友情。

 そのどちらでもなく行き先を失った恋は、

 旬を過ぎるとやがて消滅へと向かいます。

 恋人と過ごした月日が長ければ長いほど、

 変わり果てた恋を最後まで見届けることに痛みを伴うのでしょう。



2009年02月02日(月) カウンセリング


 あの人が吐き捨てるように口にした私への言葉。

 普段は忘れているけれど、

 ふとした時に耳元で何度も何度もリフレインするのです。

 あの人からあれほど冷酷な言葉を引き出したのは私なのでしょうか。

 私も同じようにあの人を傷つけていたのでしょうか。



 あの人との恋のトラウマを彼に話したら、


 「言った当の本人が忘れてしまっているかもしれない過去の言葉で

  苦しんでも仕方がないよ。」


 と彼が言いました。


 「急に冷められたら辛いから、

  私に関心が無くなったらすぐに言ってね。」


 「じゃあ、今から徐々に苛めておこうか。(笑)」


 「どんなことで男の人は女に飽きるの?」


 「それは相手によるよ。」


 「私だったら、どんな理由でTさんに飽きられる?」


 「そんなの、全くわからないよ。(笑)」


 「今好きだからでしょ。」


 「そうだよ。」


 「あの人も最初はそう言ってた。

  自分から私を嫌いになることなんてありえないって。

  きっと自分の方が飽きられて、捨てられるんだろうって。

  あなたは女性に振られたことがないような気がする…。」


 「俺だって振られたことはあるよ。




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 「私とあの人は散々言葉で傷つけ合ったから。

  どうして私はそうなってしまうのかな。」


 「それは貴方の生い立ちとも関係があると思う。」


 その言葉を聞いて、実母を幼い頃に亡くした彼の家庭環境を

 思い出しました。

 彼は幼少時代から気持ちに蓋をすることに慣れていたのでしょう。



 あの人と私は…こうなって仕方がなかったのかもしれません。

 7年という年月にピリオドを打つには、

 とことんまで傷つけ合うしか方法がなかったのでしょう。

 使い古しのボロボロのシャツにも愛着があります。

 そのシャツを捨てるにはまだ少し時間がかかりそうです。



2009年02月01日(日) 露天風呂での約束


 檜の露天風呂の縁に並んで座って

 彼と話をしました。

 簾の向こうには灰色の冬の空と白い河が見えます。


 「温泉に行ってもなかなかこうやって

  二人でお風呂に入れる所って無いよね。」


 彼が言いました。


 「温泉行きたいなぁ。」


 「いいよ。いつかね。」


 「ね、近い所でいいから旅行に行きたい。」


 「そうか。じゃあ行こうか。」


 「ん、ね、指切り。」


 ほとんど無理やり彼と指切りをしてしまいました。

 彼は優しく笑っていたけれど。



 指切りしながら思いました。

 この約束はきっと果たされないだろうと。




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 これは女の直感なのでしょうか。

 それともあの人との別れのトラウマなのでしょうか。

 でも、彼との時間が幸せであればあるほど、

 きっとこの幸せはいつか消えてしまうと思うのでした。

 

 彼が湯船から上がる時に

 一緒に出るのが恥ずかしくて後に残っている私に言いました。


 「そこ、上がる時に気をつけろよ。滑るから。

  本当にそそっかしいんだから。」


 彼は誰にでも優しい。

 先日行ったおでん屋のおばあちゃんにも

 すれ違う小さな子供にも。

 私は彼のそんな公平な優しさが好き。

 彼の特別な愛を貰えなくても

 彼の周囲に分け隔てなく与えられる優しさの中にいられれば、

 それでいいと思えるのでした。



 昨日は彼に会えない週末でした。

 別れたあの人の言葉がトラウマになって

 時々悲しみで胸がいっぱいになります。

 7年も一緒にいたのにあの人との恋は終わりました。

 美しさのかけらもない無残な終わり方でした。

 落としたガラスのグラスのように粉々に砕けた7年の恋は、

 始まったばかりの彼との恋にも悲しい影を落としています。


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理沙子

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